空き家の売却は解体すべき?|古家付き土地のまま安く売らないための判断基準
親から相続した実家。転居してから誰も住んでいない家。いざ売却しようとすると、多くの売主さまが悩みます。「解体して更地にしてから売るのか。それとも、古家付き土地のまま売るのか?」
先にお伝えすると、まだ使える建物なら、急いで解体する必要はありません。 中古戸建として建物価値も含めて売る方法があります。詳しくは ▶︎ 古い家を高く売る方法|建物価値ゼロと決めつけず中古戸建として売る で解説しています。
この記事で扱うのは、建物を使い続けるのが難しいケースです。売却することが決まっているなら、解体費・固定資産税・土地の流通性を確認したうえで、早めに解体して更地で売るのが有力な選択肢だと考えています。
古家付き土地は、解体費を差し引いて値付けしていても、それ以上に安く成約しているケースを何度も見てきました。この記事では、その理由と土地の商品化、高値売却を目指す方法、解体前に確認したいポイントを実務経験をもとに解説します。なお、3,000万円特別控除を使える可能性がある場合は例外として解体時期に注意が必要なので、後半で詳しく説明します。
- 古家付き土地が相場より安く成約しやすい理由
- 使えない古家なら早めに解体して更地で売るのが有力な理由
- 解体費を差し引いても価格差が生まれる「商品力」の問題
- 解体前に確認したい解体費・固定資産税・土地の流通性
- 3,000万円特別控除を使える場合に確認したい解体時期と期限
不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が解説します。ゆめ部長は財閥系大手仲介会社から中小の不動産会社まで複数の会社で経験を積み、現在は売却専門の「真っ直ぐ不動産」を運営しています。大手・中小の両方を知るからこそ語れる「土地の商品化」をお伝えします。
※本記事は2026年8月の最新情報に対応しています。
古家付き土地は相場より安く成約している|査定をしていて何度も感じること
一戸建てを査定するとき、ゆめ部長は中古戸建だけを見て価格を決めることはありません。新築戸建・中古戸建・土地について、現在販売中の物件と過去の成約事例を幅広く調べます。そこで、これまで何度も気になってきたことがあります。
古家付き土地は、安い金額で成約しているケースが多い。
もちろん、古家付き土地の価格を考えるときは、建物の解体費を織り込みます。たとえば、更地なら5,000万円で売れそうな土地に200万円の解体費がかかるなら、古家付きでは4,800万円前後で考える。ここまでは普通の話です。
ところが、実際の成約事例を見ると、それだけでは説明できないほど安いケースが珍しくありません。ゆめ部長の実務感覚では、更地の土地と比べて坪10万円〜20万円ほど弱い古家付き土地の成約事例を目にすることもよくあります。
「注文住宅がこれだけ値上がりしている今でも、こんなに土地を安く買えるなら、建売住宅を買わずに、少し予算を伸ばして地元の工務店で好きな家を建てられるんじゃない?」
査定をしながら、何度そう思ったかわかりません。では、なぜ解体費を考慮してもなお、古家付き土地は安くなりやすいのでしょうか。ゆめ部長は、土地の商品力を十分に引き出せないまま市場へ出され、本来の実力を発揮できずに負けているケースが多いからではないかと考えています。
理由1|古家があると、土地の魅力を見せ切れない
買主さまは、不動産や建築のプロとは限りません。古い建物が残った土地を見ても、「解体したらどのくらい広く感じるのか」「ここに新しい家を建てたら日当たりはどうなるのか」と、完成後の姿を頭の中だけでイメージするのは意外と難しいものです。
古家が残っていれば、土地の真ん中に立って「ここにリビングを配置して、この方向に大きな窓を作れば明るそうだ」と想像することもできません。一方、古家がなくなれば敷地全体が見えます。日当たり、隣地との距離感、道路との高低差なども確認しやすくなり、「ここに新しい家を建てる」というイメージが一気に具体的になります。
普通に考えても、古い建物が残ったままの土地と、きれいに整えられた更地が、同じように高く評価されるはずはありません。
理由2|検討する買主さまが減ると、価格交渉でも弱くなる
古家付き土地では、「売主さまの負担で建物を解体して引き渡します」という条件を付けて販売することがあります。それでも、現地には古い建物が残ったままです。
更地なら検討する買主さまでも、古家があることで候補から外してしまうケースがあります。つまり、最初から検討者の母数を減らしてしまうのです。
買主さまが1組しかいない状態で、「300万円下げてくれたら買います」と価格交渉を受ければ、売主さまも悩みます。一方、ほかにも検討している買主さまがいれば、「その金額なら今回はお断りします」と強気に交渉できます。
土地の商品力を高めることは、買主さまを増やし、売主さまの交渉力を高めることにもつながります。
理由3|販売が長期化すると、売主さま自身が値下げしたくなる
商品力が弱ければ、問い合わせや内覧も増えません。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月……と、なかなか買主さまが見つからない状態が続けば、最初は「この価格で売りたい」と考えていた売主さまも不安になります。
「もう少し値下げした方がいいですかね……」
こうして販売期間が長くなるほど、売主さま自身が疲れてしまい、値下げを受け入れやすくなります。
商品力が弱い → 検討者が少ない → 競争が起きない → 価格交渉で弱くなる → 販売が長期化する → さらに値下げする。
古家付き土地が安く成約している背景には、こうした流れもあると考えています。この考え方は、真っ直ぐ不動産が重視している「不動産売却力」のうち、特に物件力を高める取り組みです。
▶︎ 不動産売却力の方程式|物件力×(営業力+撮影力+宣伝力)で数百万円の差がつく
200万円を投資して300万円プラス?|土地を商品化する価値
では、土地の商品力を高めると、どれくらい違いが出るのでしょうか。先ほどの例で考えてみます。
本来、更地なら5,000万円で売れる土地。解体費が200万円かかるなら、古家付きの理論上の価格は4,800万円程度です。ところが、実際には4,500万円ほどで成約している古家付き土地を目にすることがあります。
もし売主さまが先に200万円を投資して解体し、きれいな更地として5,000万円で成約できれば、古家付きで売るより売却価格は500万円アップします。そこから解体費200万円を差し引いても、売主さまには300万円のプラスです。
もちろん、解体したから必ず5,000万円で売れるわけではありません。この数字も、あくまで考え方をわかりやすくするための一例です。ただ、5,000万円の土地で300万円なら約6%。ゆめ部長がこれまで古家付き土地と更地の成約事例を比較してきた実務感覚からすると、決して強気すぎるシナリオではありません。
むしろ、この記事では保守的な想定として考えています。
解体費を差し引いてもなお価格差がある。そこに「商品化」の価値があります。
解体したら終わりではない|「売りたい土地」に整える
土地の商品力を高める方法は、古家を解体するだけではありません。老朽化したブロック塀があれば必要に応じて撤去する。雑草だらけにならないよう除草し、除草シートを敷く。侵入防止のロープを張っておく。
隣地から植栽が越境しているなら、隣地所有者へ相談したうえで剪定させてもらうこともあります。こうした作業をしておくだけでも、土地の印象は変わります。
古家を壊した跡地ではなく、買主さまが「ここに新しい家を建てたい」と思える土地に仕上げる。 これが、ゆめ部長の考える「商品化」です。

物件は磨けば光る。そのまま売るのは手抜き仲介
土地も同じです。少し手間と費用をかけることで、買主さまから見た印象も、売却の結果も変わる可能性があります。
使えない古家なら、早めに解体して更地で売るのが有力な選択肢
ここまで見てきた通り、古家付き土地は、解体費を差し引いてもなお更地より安く成約するケースがあります。建物を使い続けるのが難しく、解体時期に影響する税制上の問題もなければ、ゆめ部長は古家を長く残したまま売るより、早めに解体して更地で売る方法を積極的に検討します。
古家がなくなれば土地全体を見てもらいやすくなり、検討する買主さまが増える可能性があります。買主さまが増えれば価格交渉を断りやすくなり、販売の長期化による値下げも防ぎやすくなります。
さらに、誰も住まない古家を残しておくこと自体にも、建物の劣化や管理、火災・不法侵入などのリスクがあります。売却することが決まっているなら、古家付き土地として時間をかけて売るより、早めに土地の商品力を高めて高値売却を目指す。 これが、ゆめ部長の基本的な考え方です。
空き家をそのままにするリスク|使わないなら早めに方向を決める
「急いで売らなくてもいいかな」と考えている売主さまにも、知っておいてほしいことがあります。
2023年の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家900万2千戸のうち、一戸建ては352万3千戸。そのうち285万1千戸が「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」に分類されています。これは285万戸すべてが放置されているという意味ではありませんが、売却にも賃貸にも出されていない一戸建て空き家が非常に多いことはわかります。
そして、誰も住まない家を長期間そのままにしておけば、リスクは増えていきます。放火などによる火災、不法投棄、伸びた植栽の越境、害虫・害獣、雨漏りや腐食による建物の劣化。時間が経つほど管理の手間は増え、建物も傷みます。
制度も変わりました。2023年の空家法改正では、放置すれば「特定空家等」になるおそれがある空き家を「管理不全空家等」として、市区町村が指導・勧告できる仕組みが導入されています。
指導を受けても改善せず勧告まで進むと、敷地に適用されている固定資産税の住宅用地特例が外れます。空き家になっただけで即座に外れるわけではありませんが、「建物を残しておけば、いつまでも固定資産税が安い」という考え方は通用しなくなってきています。
使う予定も貸す予定もないなら、管理し続けるのか、売るのか。早めに方向を決めることをおすすめします。売却すると決めていて、建物を使い続けるのも難しいなら、古家を残しておくリスクまで含めて解体時期を考えてください。
(出典:総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査/国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報)
解体前に確認1|解体費は先払い|最近は木造でも坪5万円超が珍しくない
まず確認したいのが、解体費です。解体費は、土地が売れて売却代金を受け取った後ではなく、基本的に先払いになります。そのため、売主さまは先にまとまった資金を用意しなければなりません。
また、解体費は建物の坪数だけでは決まりません。前面道路が狭く重機が入りづらい、隣家との距離が近い、ブロック塀や庭木の撤去が必要、残置物が多い、アスベストを含む建材が見つかる――。こうした条件によって金額は大きく変わります。
最近の1都3県では、木造住宅でも坪5万円を超える見積もりは珍しくありません。「30坪だから○○万円くらいだろう」と坪単価だけで予算を決めず、必ず現地を見てもらって見積もりを取ってください。
さらに、この記事で考えるのは解体費だけではありません。除草や老朽化した工作物の撤去など、土地の商品力を高めるための費用も含めて、いくら投資して、どこまで成約価格を高められそうか。 査定時にここまで考えることが大切です。
なお、売却するために建物を取り壊した場合、その取壊し費用などを譲渡所得の計算上「譲渡費用」として差し引けることがあります。判断に迷う場合は、税理士へ確認してください。
最後に、現場から1つだけ。解体業者は、金額の安さだけで選ばない方がいいです。近隣へのあいさつや養生が雑だったり、工事車両の停め方が悪かったりすれば、売却前から近隣トラブルを抱えることになります。解体後も、その場所で売却活動は続きます。
価格だけでなく、対応まで見て業者を選びましょう。
(出典:国税庁 No.3255)
解体前に確認2|固定資産税は上がる|でも「6倍になる」は正確ではない
次に確認したいのが、固定資産税です。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、200㎡以下の小規模住宅用地なら固定資産税の課税標準が価格の6分の1まで軽減されます。建物を解体して更地になると、この特例は使えなくなります。
そこでよく言われるのが、「家を壊したら、固定資産税が6倍になる」という話です。でも、正確には違います。
更地などの非住宅用地にも負担調整の仕組みがあります。小規模住宅用地の「1/6」と非住宅用地の法定上限「70%」を単純比較すると4.2倍相当ですが、実際には前年度の課税標準額なども関係するため、何倍になるかは土地ごとに異なります。また、建物を解体すれば、建物分の固定資産税はなくなります。
もう1つ重要なのが、固定資産税は毎年1月1日時点の土地・建物の状態を基準に課税されるということです。住宅がある状態で1月1日を迎え、その年の途中で解体して年内に売却まで完了すれば、売主さまが翌年度の「更地になった土地の固定資産税」を負担することはありません。
逆に、更地のまま翌年1月1日を迎えれば、住宅用地特例が外れた状態で課税される可能性があります。つまり、ここでも大切なのはスケジュールです。「固定資産税が6倍になるらしい」という言葉だけで、解体を諦める必要はありません。
(出典:総務省 地方税制度/固定資産税)
解体前に確認3|更地にしてから売れる土地か|1都3県でも流通性は土地ごとに違う
もう1つ、先に解体するかどうかを判断するときに重要なのが、土地の「流通性」です。更地の商品力を高めても、長期間売れ残る土地なら、解体費や固定資産税の負担が重くなる可能性があります。
真っ直ぐ不動産の対応エリアは、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県です。そのため、ここからは1都3県での売却を前提に考えます。
2023年の住宅・土地統計調査を見ると、全国の空き家率13.8%に対して、1都3県は次のとおりです。
- 埼玉県:9.3%
- 神奈川県:9.8%
- 東京都:10.9%
- 千葉県:12.3%
いずれも全国平均を下回っています。ただし、「1都3県だから早く売れる」と単純には判断できません。
駅徒歩5分の整形地と、駅から遠く接道条件も厳しい土地では、流通性がまったく違います。同じエリアでも、土地の広さ・形・用途地域・接道・価格帯によって売れ方は変わります。
だから、解体する前に周辺の成約事例を調べます。確認するのは、いくらで売れたのかだけではありません。
販売開始から成約まで、どのくらいの期間がかかったのか。
ここまで見ることが重要です。売却までの時間に余裕があり、似た条件の土地も短期間で成約しているなら、先に商品力を高め、高値売却へチャレンジする価値があります。
逆に、周辺でも土地が長期間売れ残っているなら、古家付きのまま販売をスタートするなど、別の方法を検討した方が安全です。「売主さまの土地なら、更地にしてからどのくらいの期間で売れそうか?」解体する前に、ここまで査定してもらってください。
(出典:総務省統計局 令和5年住宅・土地統計調査)
それでも大手が「古家付きのまま売りましょう」と勧める理由
では、なぜ多くの不動産会社は「先に解体しましょう」と積極的に提案しないのでしょうか。もちろん、古家付きのまま売る方がいい土地もあります。ただ、大手仲介会社で働いてきた経験からすると、もう1つ大きな事情があります。それが、税金のリスクです。
売主さまへ解体を勧め、その結果3,000万円控除などの特例を使えなくなれば、大きなトラブルになりかねません。会社として考えれば、「古家付きのまま売りましょう」と提案した方が安全です。
「買主さまが決まったら、引渡しまでに売主さまが解体する」という条件を付けて販売する方法もあります。ただ、この方法では買主さまが更地になった状態を見る前に契約を決めることになります。土地の商品力を最大限に見せ、できるだけ多くの買主さまを集めて高値を狙うという意味では、どうしても弱くなります。
もちろん、先に解体するなら解体費・固定資産税・土地の流通性を確認する必要があります。ただし、3,000万円控除などの税制が関係しないケースまで、「古家付きのまま売る方が安全」とは限りません。ここからは、3,000万円特別控除を使える可能性がある売主さまに限って、解体時期で注意したいポイントを説明します。
例外|3,000万円控除を使える可能性があるなら解体時期に注意
ここまで説明してきた「使えない古家なら早めに解体して更地で売る」という考え方には、例外があります。3,000万円特別控除を使える可能性がある場合です。ここで制度を細かく覚える必要はありません。この記事で押さえてほしいのは、親が住んでいた旧耐震の実家を相続したケースと、売主さま自身が住んでいた家を売るケースでは、解体後のタイムスケジュールが違うということです。
親の旧耐震実家を相続した場合|先に解体しても3,000万円控除を使える場合がある
親が一人で住んでいた旧耐震の実家(昭和56年5月31日以前に建築)を相続した場合、一定の条件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」を使える可能性があります。ここで大切なのは、相続後に売主さまが先に建物を解体して、更地として売却する方法も対象になることです。
この場合、自分が住んでいた家の3,000万円控除とは違い、「解体してから1年以内に売買契約」という条件はありません。期限は、原則として相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。相続した時期によっては、実際には3年を超える猶予があります。
また、2024年以後の譲渡では、一定の条件を満たせば、古家付きのまま売却した後に買主さま側で取壊しをする方法も認められています。つまり、相続した旧耐震の実家では、期限まで余裕があるなら、先に解体して土地の商品力を高め、高値売却へチャレンジする時間を取りやすいということです。
(出典:国税庁 No.3306)
自分が住んでいた家を売る場合|解体すると「1年以内」の時計が動く
相続ではなく、売主さま自身が住んでいた家を売る場合はルールが変わります。古家付きのままなら、一定の条件を満たすことでマイホームの3,000万円控除を使えます。
しかし、先に建物を解体する場合は、取壊しから1年以内に土地の売買契約を結ぶ必要があります。 さらに、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するという期限もあります。
つまり、自分が住んでいた家では、解体した瞬間から「1年以内」という時計が動き始めます。だからこそ、先に土地の流通性を調べて、「この土地なら1年以内に売買契約まで進められそうか」を確認してから解体することが大切です。
(出典:国税庁 No.3302)
もし1年を過ぎたら?|3,000万円控除を失っても「3,000万円損」ではない
「1年を過ぎたら3,000万円控除が使えなくなる」と聞くと、ものすごく大きなリスクに感じるかもしれません。ただし、3,000万円控除を使えなくなったからといって、3,000万円をそのまま失うわけではありません。
長期譲渡所得の税率20.315%で考えると、3,000万円控除を失うことで増える税負担の最大部分は約609万円です。さらに、先ほどの商品化の例を当てはめてみましょう。
古家付きなら4,500万円。200万円をかけて解体し、商品化した更地を5,000万円で売却できたとします。売却価格は500万円アップし、解体費200万円を差し引けば、商品化による実質的な価値アップは300万円です。
この300万円にも長期譲渡所得の税率20.315%がかかると仮定すれば、税引後の効果は約239万円。つまり、仮に期限を過ぎて3,000万円控除を使えなくなったとしても、「約609万円が、そのまま丸々マイナス」ではありません。 商品化によって増えた約239万円分を考慮すれば、この例での差は約370万円になります。
もちろん、370万円も小さな金額ではありません。だから、期限は絶対に軽く考えてはいけません。一方で、「1年を1日でも過ぎたら取り返しのつかない大損になるから、最初から解体しない方がいい」とまで考える必要もありません。
大切なのは、税金だけを見て怖がることでも、反対に期限を無視して解体することでもありません。周辺の成約事例から1年以内に売買契約できそうかを確認し、土地の商品力を高める効果と税務リスクの両方を比較して判断することです。
なお、これは長期譲渡所得を前提にした単純化した計算例です。実際の譲渡所得や税額、特例の適用可否は売主さまごとに異なるため、必ず税理士または税務署へ確認してください。
売却先を最初から決めつけない|一番高く評価する買主さまは土地ごとに違う
最後に、売り方の話です。商品化した土地を買うのは、注文住宅を建てたい個人の買主さまだけではありません。アパートなどを建てたい事業者もいれば、新築戸建ての用地を探している建売会社もいます。場合によっては、隣地所有者が一番高く評価してくれることもあります。
そして、誰が一番高く買うかは土地ごとに違います。広くて形の良い土地なら、分割して建売住宅を建てたい会社が高く評価するかもしれません。駅に近く、容積率を使える土地なら、共同住宅用地として評価される可能性もあります。個人の買主さまにとって、注文住宅を建てるのにちょうどいい土地もあるでしょう。
だから、最初から「この土地は建売会社へ売る」と決めつけないでください。
「この土地を一番高く評価してくれるのは誰なのか」まで考えて、売却戦略を組み立てる。
これが大切です。
真っ直ぐ不動産の真っ直ぐ売却プランでは、建物を解体するかどうかの判断から、税制の期限を踏まえたスケジュール、土地の商品化、どの買主さまを狙うのかまで一緒に組み立てます。
▶︎ 売り方で、結果が変わる|不動産売却のプロに全部任せる真っ直ぐ売却プラン
どのプランが合うか迷ったら ▶︎ 【かんたん診断】ぴったりの売却プランはどれ?|真っ直ぐ不動産の3つのプランを比較
ご相談はサポートページからお気軽に。
よくある質問
Q1. 解体してから売るのと、古家付きのまま売るのは、どちらが得ですか?
建物を使い続けるのが難しく、売却することが決まっているなら、解体費・固定資産税・土地の流通性に問題がなければ、早めに解体して商品力を高めるのが有力な選択肢です。
古家付き土地は、解体費を織り込んで値付けしていても、更地より弱い価格で成約している事例をよく見ます。土地の魅力を十分に見せられず、検討する買主さまが減ることで、価格交渉でも売主さまが弱くなりやすいからです。ただし、3,000万円特別控除を使える可能性がある場合は例外として解体時期に注意が必要です。
Q2. 解体すると固定資産税が6倍になると聞きました。本当ですか?
「必ず6倍になる」という説明は正確ではありません。
住宅用地の特例が外れるため土地の固定資産税は上がりますが、更地にも負担調整があります。また、建物を解体すれば建物分の固定資産税はなくなります。固定資産税は毎年1月1日時点の状態で決まるため、「いつ解体して、いつ売るか」まで含めて考えることが大切です。
Q3. 相続した実家です。3,000万円控除を使うには解体が必要ですか?
必ず解体しなければならないわけではありません。
親が一人で住んでいた旧耐震の実家など、一定の条件を満たす場合には、耐震改修をして売る方法のほか、売主さまが先に解体して土地を売却する方法も、古家付きで売却した後に買主さま側で取壊しをする方法もあります。適用条件は細かいため、実際に利用する際は税理士または税務署へ確認してください。
まとめ
- 古家付き土地は、解体費を織り込んでも更地より安く成約しているケースが多い
- 使えない古家で税制上の問題がなければ、早めに解体して更地で売るのが有力な選択肢
- 土地の商品力を高めれば、検討者が増え、価格交渉でも売主さまが強くなれる
- 解体前に、解体費・固定資産税・土地の流通性を確認する
- 3,000万円特別控除を使える可能性がある場合は、例外として解体時期と期限を確認する
使える建物なら、その価値を捨てずに中古戸建として売る。使い続けるのが難しい建物なら、土地の価値を眠らせたまま売らない。
この記事でお伝えしたかったのは、この考え方です。特に、売却することが決まっていて、建物を使い続けるのが難しいなら、解体費・固定資産税・土地の流通性を確認したうえで、早めに解体して更地で売るのが有力な選択肢です。
古家付き土地は、解体費を差し引いて値付けしていても、それだけでは説明できないほど安く成約しているケースを何度も見てきました。土地の商品力が弱ければ、検討する買主さまが減る。競争が起きない。価格交渉で売主さまが弱くなる。販売が長期化すれば、売主さま自身も疲れて値下げしたくなります。
だからこそ、先に古家を解体して土地の商品力を高め、できるだけ多くの買主さまに検討してもらい、本来の価値を出し切って高値売却を目指します。ただし、3,000万円特別控除を使える可能性がある場合は例外です。解体前に適用条件と期限を確認してから判断してください。
大切な資産を、「古家付きだから仕方ない」と安く手放さないでください。
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