不動産売却で価格交渉を受ける?断る?|値引きの相場と対処法を宅建マイスターが解説

不動産売却で価格交渉を受ける?断る?|値引きの相場と対処法

マイホームを売却するときの「きっと、値下げ交渉されるよなぁ」という予感。残念ながら、高確率で当たります。そして、実際に満額じゃない申込が届いたとき、価格交渉はどこまで受けたらいいのか、断ってもいいのか、断ったらチャンスを逃してしまわないか…こんな悩みを抱える売主さまがたくさんいます。

そこで、数多くの高値成約を実現してきたゆめ部長が、価格交渉の相場・買主さまの駆け引きの手口・対処法まで、悩める売主さまへのアドバイスをまとめます。少しでも参考になれば嬉しいです!

▼この記事でわかること(結論)
  • 価格交渉は「来る前提」で備えるのが正解
  • 価格交渉の相場は100万円未満の端数が最多
  • 売出は査定上限+5%、期間限定チャレンジもOK
  • 対抗策は「断る・交換条件・キャッチボール」の3つ
  • 値下げの恩は引渡しトラブルでは通用しない

不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が解説します。ゆめ部長は財閥系大手仲介会社から中小の不動産会社まで複数の会社で経験を積み、現在は売却専門の「真っ直ぐ不動産」を運営しています。大手・中小の両方を知るからこそ語れる「価格交渉の受け方・断り方」をお伝えします。

※本記事は2026年7月の最新情報に対応しています。

不動産売却の価格交渉は「来る前提」で備える

不動産売却では、購入申込と同時に価格交渉がくることが多いです。

  • ダメもとでチャレンジしてくる人
  • 現金購入で少し予算オーバーの人
  • 気に入っているけど住宅ローンの返済が厳しい人
  • とにかくケチな人
  • 悪いところを指摘して安く買い叩こうとする人

などなど…いろんなお客さまがいます。

売主さまは、価格交渉があると機嫌を悪くしてしまうかもしれませんけど、もし、自分が購入する立場だったらどうでしょうか…?

100万円未満の部分…たとえば、80万円でも値下がりしたらすごく嬉しくないですか?そのお金で新しい家具や家電を購入できると思ったら、一気に購入意欲が増してくるような気がしませんか??

実際、「不動産購入では価格交渉するのがあたり前。とりあえず、やれるだけやってみて欲しい。」そう考える買主さまも数多くいるのが現実です。また、現地を見てもいないのに「価格はいくらまで下がりますか?」というメールの問い合わせもよくあります。

とはいえ、価格交渉が必ずくるわけではありません。起こる確率は、市場の状況によって大きく変わります。

ここ数年は売り手市場が続いたため、価格交渉なしの満額申込が珍しくありませんでした。一方、その前の買い手市場の時代は、ゆめ部長の経験で80%以上の確率で価格交渉がありました。

売り手市場と買い手市場は数年ごとに変化します。今後、市場が買い手市場へ転換すれば、価格交渉アリの申込があたり前の市場へ戻る可能性があります。売り手市場が続くことを前提にはできません。

相手の立場を予想して、不動産市場を的確に捉える。そのうえで、価格交渉が来る前提の売却戦略を立てる。これが大事だと考えています!

高いか、安いか。それは市場が決める

価格交渉の大きさを決める最大の要因は「市場」です。ゆめ部長が体験した、忘れられない取引を1つ紹介しますね。

ゆめ部長がまだ新人営業マンだった18年ほど前、売れ残り物件がすごく増えていた時代の話です。1億3,000万円で販売されていた土地に、3,000万円の価格交渉をしました。販売価格の20%を超える、強烈でドキドキする交渉です。

この土地の売主さまは不動産業者、つまり、不動産のプロでした。1年以上売れ残り、社内で損切りを決断する時期に来ていたこともあり、最終的に、2,700万円引きの1億300万円で契約がまとまりました。この成約価格、今の相場から見れば半額です…。売主さまは大損、買主さまは資産形成に大成功です。

このように、不動産のプロでさえ、市場が悪ければ、これだけの価格交渉を受け入れる判断をします。逆に、売り手市場であれば、強気で断っても次の買主さまが現れてくれるものです。

つまり、価格交渉を受けるべきかどうかを判断する要素は複数あり、市場の状況を読みながら判断するのが重要だということです。査定のときだけでなく、販売中も市場の温度感を確認しておきましょう。最近はSNSの情報を追うだけでも有益な情報をキャッチできる時代ですからね。

価格交渉の金額相場|100万円未満の端数が最多

販売価格4,980万円の不動産売却で考えてみましょう。

1番多いのは…

「4,900万円」か「4,800万円」でしょう。

「100万円未満は値下げできるもの」と認識している不動産会社が多い印象です。まぁ、不動産の価格設定は「4,900万円」とか「5,000万円」よりも、「4,980万円」のように端数で「80万円」を付けることがよくあるので、そう思われても仕方ないかもしれませんね。でも、実は、「80万円」には特に根拠はないんですよ。

2番目は…

4,950万円」とか「4,930万円」だと思います。

気持ちだけでも下げてください!お願いします!という感じですね。あるいは、中古物件で不具合があり、その補修費用ということで値下げ交渉されることもあります。

3番目は…

4,700万円」とか「それ以下」です。

やれるだけやってみる。という価格交渉です。売主さまが早く売りたい事情があればまとまるかもしれない。そんなラッキー狙いのチャレンジだと言えます。

ゆめ部長の感覚では、この3つのパターンを踏まえた価格交渉の目安は、物件価格の5%が上限だと思います。5,000万円の物件なら、最大で250万円くらいまでは交渉がくるかもしれない…と覚悟しておくとよいでしょう。

ただし、最近は例外が増えています。相場を大きく超える強気すぎる値付けが増えた結果、交渉幅の上限も広がっています。1,000万円を超える価格交渉が入り、それが通ってしまう取引もあるほどです。ちなみに、先日レインズで成約物件を見ていたら、1億円近く値下げしている事例を見かけました。

つまり、交渉幅は、販売価格ではなく「相場からの乖離」に比例しやすいと覚えておいてください。

また、買取業者から20%前後の価格交渉を持ち掛けられることもあります。業者買取の相場は市場価格の70〜90%(中央値80%)ですから、これは価格交渉というより「買取水準の提示」です。一般の買主さまの交渉とは分けて考えましょう。

▶︎ 買取の仕組みと判断基準は不動産売却は買取と仲介どっちを選ぶべき?|判断基準と業者買取の裏側を暴露で詳しく解説しています。

500万円級の大幅交渉がきたら?

500万円の価格交渉でも、販売価格が1億円なら「まぁ…それもアリかな。」と思いますけど、5,000万円前後の不動産だと「ちょっと待ってよ…」と言いたくなりますよね。ゆめ部長の感覚だと、5,000万円に対する500万円=10%の交渉はやり過ぎの水準です。

ここで知っておいてほしいのが、買主さま側の駆け引きの手口です。

ネットで価格交渉のコツを調べると「最初は大きめの金額でチャレンジしておき、断られたら譲歩したように見せるのが、大きな交渉を勝ち取る秘訣!」という情報が出てきます。500万円の交渉は、本命の交渉金額を通すための「ふっかけ」かもしれないわけです。

手口を知っていれば、大幅な交渉に動揺する必要はありません。強すぎる交渉は即お断りでOKですけど、念のため条件は聞いてみましょう。

  • 特約(買い替え特約など)
  • 契約不適合責任
  • 残置物
  • 契約解除条件
  • 手付金額
  • 住宅ローン審査の進捗状況
  • 引渡日

などに関して、売主さまの希望条件を全て受け入れてくれるというなら、一考の余地があるかもしれません。

受けられる金額があるなら、売主さまから逆提案するのが王道です。たとえば「500万円の交渉は難しいけど、200万円引きの4,800万円なら契約しませんか?」「1ヶ月以内の決済に応じてくれるなら300万円引きまで応じます。その代わり、契約不適合責任は免責にしてください。」のように返答して、買主さまの出方を待つわけですね。

特にチャレンジ価格で販売しているときは、相場との差額を交渉されている可能性が高いですから、他のお客さまからのお問い合わせ、内覧済みのお客さまの結果などを総合的に見て、冷静に考えてみてください。

最初から価格交渉分を上乗せして販売スタートするのもOK!

この提案は「早く売る」よりも「高く売る」ことを優先したい売主さま向けです。

査定金額は「4,700万円〜5,000万円」のように、下限〜上限の幅で提示されます。ゆめ部長が目指すのは、この幅全体を5%押し上げた「相場+5%」の成約。つまり、4,935万円〜5,250万円のゾーンです。

そこで、売出価格は査定上限+5%(この例では5,250万円)をオススメします。この+5%が、そのまま価格交渉のバッファになるからです。交渉を受けても着地点は目標ゾーンの中に収まりますし、交渉が来なければ、そのまま最高値での成約になります!

もう少しチャレンジしたいなら、さらに+100万円〜200万円を上乗せして販売スタートするのもアリです。ただし、これは「期間限定のチャレンジ」だと理解してください。あらかじめ期限を決めておき、反応が弱ければ査定上限+5%のラインへ戻す。期限を区切れば、売却計画を崩すことなく、高値の可能性を試せるからです。

なお、SUUMOなどのポータルサイトは500万円単位で条件を絞り込めるため、5,000万円前後が相場なら5,480万円を上限にすると良いでしょう。これを超えると予算に合ったお客さまの検索にヒットしなくなり、内覧数が減ってしまいます。

相場+5%は、無策で狙って届く数字ではありません。不動産の魅力を引き出し、価値を高めて販売するからこそ届く水準です。

▶︎ 相場より高く売るための戦略はマンション・家を相場より5%高く売る方法|競争を巻き起こす売却戦略で詳しく解説しています。

対処法は3つ|断る・交換条件・キャッチボール

それでは、ここまでに出てきた対応も含めて、価格交渉がきたときの対処法をあらためて整理しましょう。選択肢は「断る・交換条件・キャッチボール」の3つです。

断る|成約価格の決定権は売主さまにある

成約価格の決定権は、売主さまにあります。受けたくない価格交渉は断ってOKです。

不動産会社が「受けたほうがいいですよ」と説得してくるかもしれませんけど、応じる義務はありません。「価格交渉は一切受けません!」と言い切ることで、すんなり満額で成約することもあります。不動産取引って本当に不思議なものです。

ただし、鉄の意志で断ることと、柔軟に対応することのバランスは大事です。高値売却よりも早期売却の優先順位が高いなら、許容範囲内の交渉は受けるのが得策な場面もあります。

交換条件を出す|値引きの代わりに条件で取り返す

不動産は高額な商品ですから、いつの間にか感覚がマヒしてしまいますけど、「100万円未満の端数」といっても数十万円にもなります。そのため、交渉金額に応じて他の条件を提示するのだっておかしい話ではありません。

たとえば…

交渉金額が低いなら、引渡日を1ヶ月以内にして欲しいとか、手付金を10%にしてもらうとか、買主さまが応じやすい範囲でお願いするのも良いと思います。

一方、交渉金額が大きいなら、3ヶ月の契約不適合責任や1週間の設備保証を免責にしてしまうのも良いでしょう。この場合、売買契約書に「売主が価格交渉を受けて金額を〇〇万円から〇〇万円に値下げして契約をするため、〇〇の保証は付けないものとします。」などの文言を入れておくと安心ですよ!

キャッチボールする|1度の交渉で決めなくていい

ゆめ部長が実際にサポートした売却で、1年3ヶ月も高値で販売を継続し、価格交渉を断り続け、最終的に38万円の交渉だけで成約を勝ち取った売主さまがいました。

最初の価格交渉は200万円弱の金額でしたが、売主さまは即NGの回答をしました。その後、80万円ならどうでしょうか…?という再交渉にもNGを出し、次に50万円は…という再々交渉に対して38万円が限界だと回答し、最後に買主さまが折れました。

1度の価格交渉で決めなければいけないというルールはありませんから、上記のように、何度かキャッチボールをしてみることも戦略として検討しましょう。

なお、強気の交渉ができるかどうかは、実は、交渉の場面より前に決まっています。物件力×(営業力+撮影力+宣伝力)——ゆめ部長が「不動産売却力の方程式」と呼ぶ売却活動の質を高めて、内覧数を増やし検討者を増やしておくこと。次の買主さま候補が控えている状態なら、断る選択も、キャッチボールも、余裕を持って選べるからです。

▶︎ 売却活動の質を数百万円の差に変える考え方は不動産売却力の方程式|物件力×(営業力+撮影力+宣伝力)で数百万円の差がつくで詳しく解説しています。

断る・交換条件・キャッチボール。どれを選ぶか、どう組み立てるかは、担当者の交渉力に大きく左右されます。

▶︎ 交渉を任せられるパートナーの選び方は不動産売却はどこがいい?不動産会社の選び方5つの基準|大手と中小も比較で詳しく解説しています。

「値下げしたんだから、それくらいガマンしてよ!」は通じません!

最後に、余談として、価格交渉を受けた後のトラブルについてお話しておきます。よくあるのが、売買契約時には判明していなかったことが発覚し、買主さまが怒り出すケースです。たとえば…

  • 洗濯機を動かしたら巾木が腐っていた
  • 家具を動かしたら壁に大きな穴があいていた
  • エアコンを残置する約束を破った

このような時、売主さまは「こっちは価格交渉を受けたんだから、それくらいで文句言わずにガマンしたらどうなんだ!」と主張したくなります。

それに対して買主さまは「このことが判明していたらもっと価格交渉をしていたよ!後で不利な話が出てくるのはフェアじゃない!」と反論します。

この争いは、残念ながら売主さまが負ける可能性が高いでしょう。価格交渉を受けて契約したら、売主さまは「譲ってあげた」と思ってしまいますけど、買主さまはそんな恩を感じていないですし、「大きな穴があいていないマイホームを購入したつもりだ!」という主張はもっともだと思います。

価格交渉の話は売買契約で終わり。売買契約後〜引渡までの話はまた別であることを理解しておいてくださいね。

まとめ|価格交渉は「来る前提」で戦略を立てる

この記事のポイント:
  • 価格交渉は「来る前提」で備えるのが正解
  • 価格交渉の大きさは市場が決める
  • 価格交渉の相場は100万円未満、上限の目安は5%
  • 大幅交渉には逆提案で出方を待つのが王道
  • 対処法は「断る・交換条件・キャッチボール」の3つ

価格交渉は来る前提で販売価格を設定することも検討してみてください。そして、価格交渉が来たときは、いくらまでなら受けるのかを考えておき、断る・交換条件・キャッチボールの選択肢から対応を選びましょう。希望条件は不動産会社に遠慮なく伝えてOKです!

交換条件を出すためには、日程・保証・残置物・引渡条件などの希望を事前に確定させておかなければいけません。販売開始前に担当者としっかり相談しておくことをオススメします。

そして、断るか、受けるか、どの対応を選ぶにしても、判断の物差しになるのは市場です。下記の「ゆめ部長の売却語録」の10番にも掲げているとおり、高いか、安いか。それは市場が決める。信頼できるプロと一緒に市場を読みながら、納得できる着地点を見つけてくださいね。

ゆめ部長の売却語録20選

価格交渉は、販売活動の最終盤にやってくる勝負どころです。物件の価値を高めて競争を巻き起こし、交渉の主導権を売主さま側に引き寄せる売り方をプロに全部任せたい売主さまは、売り方で、結果が変わる|不動産売却のプロに全部任せる真っ直ぐ売却プランへ。

自分の物件に合った売り方をプロと一緒に考えたい売主さまは、【かんたん診断】ぴったりの売却プランはどれ?|真っ直ぐ不動産の3つのプランを比較へ。

この記事の内容を知っておけば、高値成約を目指す作戦を立てやすいですね。良い条件で売れるように、頑張ってください!

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