仲介手数料の「自由化」を提案したい!

仲介手数料の「自由化」を提案したい!

2026年の夏、仲介手数料をめぐる議論がSNSで再燃しました。「上限を撤廃するべきだ」「両手仲介を禁止するべきだ」「定額制にしたらどうか」。毎日のようにさまざまな意見が飛び交い、賛成と反対がぶつかっています。

この展開、ゆめ部長にとっては「いいね!もっと議論しようよ」です。上限規制、両手仲介、囲い込み、新しい料金体系。論点はそれぞれ違いますが、根っこにあるのは「いまの仲介手数料や不動産仲介の仕組みを、このまま続けていいのか?」という問いだと思うからです。

そこで、改めて自分なりに考えを整理してみました。

結論から言うと、ゆめ部長はずっと「仲介手数料は自由化するべき!」という立場です。ただし、2026年の議論を見ていて、以前より強く感じることがあります。それは、自由化するなら「順序」を間違えてはいけないということです。

上限を外すことより先に、不動産業界の質を底上げする。そして、質を証明できるプロから段階的に自由化する。これが、今回ゆめ部長から提案したい仲介手数料自由化の形です。

この記事では、なぜこの「順序」が大事なのか、両手仲介の禁止になぜ反対するのか、そして、どのような形で自由化すればよいと考えているのかをお話しします。

なお、この記事は制度への提言です。仲介手数料の仕組み・相場・計算方法は、▶︎ 「不動産売却の仲介手数料ガイド|仕組み・相場・損しない選び方を徹底解説」で詳しく解説しています。

▼この記事でわかること(結論)
  • ゆめ部長は仲介手数料の自由化に賛成
  • ただし順序が大事。業界の質の底上げが先
  • 両手仲介を一律に禁止する案には反対
  • 提案は実務経験・透明性とセットの段階的な自由化

不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が解説します。ゆめ部長は財閥系大手仲介会社から中小の不動産会社まで複数の会社で経験を積み、現在は売却専門の「真っ直ぐ不動産」を運営しています。大手・中小の両方を知るからこそ語れる「仲介手数料への本音」をお伝えします。

※本記事は2026年8月の最新情報に対応しています。

手数料の上限規制と現場のズレ|業務量は物件価格に比例しない

仲介手数料の上限は、宅建業法にもとづく告示で決められています。400万円を超える物件なら、速算式で「成約価格×3%+6万円(税抜)」。つまり、基本的には物件価格が高くなるほど、仲介会社が受け取れる報酬も大きくなる仕組みです。

ところが、現場でかかる手間や業務量は、物件価格に比例しません。

たとえば、都心の1億円の中古マンション。権利関係が明確で、管理組合もしっかりしていて、取引事例も豊富なら、比較的スムーズに調査できることがあります。それでも、仲介手数料の上限は306万円(税抜)です。

一方、500万円の古家付き土地では、境界の確認、近隣トラブルの有無、建物の状態、残置物の処分など、確認しなければならないことがたくさんあります。調査や交渉に手間がかかっても、仲介手数料の上限は21万円(税抜)です。

価格は20倍違っても、業務量が20倍になるわけではありません。むしろ、価格の安い物件のほうが手間のかかるケースもあります。

こうした低価格帯の採算問題を受けて、2024年7月には800万円以下の物件について、仲介手数料の上限を最大33万円(税込)とする特例ができました。

▶︎ 「低廉な空き家等(800万円以下)は仲介手数料が最大33万円|適用条件と計算例

それでも、「物件価格を基準に報酬の上限が決まる」という根本の仕組みは変わっていません。しかも実務では、法律上の「上限」がそのまま請求額になっているのが現実です。なぜ「上限=相場」になってしまうのか、そのからくりは次の記事で書きました。

▶︎ 「売買の仲介手数料は高すぎる?|「上限=相場」のカラクリと適正価格の見抜き方

国土交通省も、最高裁判例(最判昭43.8.20)を引用して、報酬は「取引額、媒介の難易、期間、労力、その他諸般の事情が斟酌されて定められる性質のもの」という考え方を示しています。

本来、報酬は物件価格だけではなく、案件ごとの難易度や労力も踏まえて決まる性質のものなのです。

2026年、自由化の議論が再燃|3つの流れと反対論

2026年8月時点の議論を、ゆめ部長なりに整理すると、大きく3つの流れがあります。

流れ①:上限撤廃+両手仲介の禁止

報酬を自由にする代わりに、1つの取引で売主さま・買主さまの両方から手数料を受け取ることを禁止すれば、利益相反を抑えられるという考え方です。

流れ②:上限撤廃+囲い込みの禁止

両手仲介そのものは認めつつ、取引前の報酬提示や物件情報の公開を徹底したうえで自由化するという考え方です。

流れ③:市場の側からの料金設計の多角化

制度はそのままに、定額制・相談料型・業務量に応じた変動型など、新しい料金体系を打ち出すサービスが登場しています(2026年8月時点)。

もちろん、反対論もあります。「上限がなくなれば、不当に高額な請求が増える」「値下げ競争になって、サービスの質が落ちる」「いまの3%は、業界がなんとか回る絶妙な水準だ」。どれも一理ある意見だと思います。

ただ、ゆめ部長は「自由化に賛成か、反対か」だけで議論するのではなく、なにを自由化して、なにを守るのかを考えることが大事だという意見です。ここからは、3つの流れと反対論について、ゆめ部長の考えを1つずつお話しします。

ゆめ部長の立場|3つの流れについて考える

囲い込みの一律禁止|反対。ただし「悪い囲い込み」は根絶

囲い込みの根絶は、真っ直ぐ不動産の看板です。ただ、ゆめ部長はずっと、囲い込みには「悪い囲い込み」と「良い囲い込み」があると主張してきました。

悪い囲い込みとは、売主さまにメリットがなく、同意も得ずに物件情報を止めて、会社の利益を優先する裏切り行為です。売主さまの選択権・自己決定権を奪うものですから、これは根絶するべきです。

一方で、売主さまが仕組みとデメリットを理解し、同意したうえで情報を絞る売り方もあります。たとえば、レインズに登録しない代わりに、売主さまの仲介手数料を0円にする選択肢。真っ直ぐ不動産の0円売却プランが、まさにこの形です。

▶︎ 「新人でも売れる物件に仲介手数料を払いますか?|0円売却プランなら無料

だから、ゆめ部長は「囲い込みを一律に禁止するべきだ」という意見には賛成しません。判断基準は、「売主さまが知って、選んでいるかどうか」。ここで線を引くべきだと考えています。

両手仲介の禁止|反対

両手仲介を一律に禁止する案にも、ゆめ部長は反対です。

両手仲介を禁止する理由として、よく挙げられるのが利益相反です。売主さまと買主さまは利益が相反するのだから、1社が両方を担当するのではなく、それぞれ別の仲介会社が担当するべきだという考え方ですね。たしかに、担当を分ければ「1社が対立する両者を担当する」という問題は解消できます。

でも、それだけで利益相反の問題がなくなるわけではありません。

不動産仲介には、「売主さまVS買主さま」だけでなく、「売主さまVS不動産会社」という利益相反もあるからです。ゆめ部長は、これを「二重の利益相反」と呼んでいます。

▶︎不動産仲介の利益相反とは?会社を分けても消えない二重構造|業界20年のプロが解説

売主さま側と買主さま側を別の会社が担当していても、不動産会社には「早く成約させて売上を確定させたい」という事情があります。期限やノルマに追われた担当者同士が、依頼者から預かった本音の価格を伝え合い、早々に話をまとめてしまうことだってあります。つまり、片手仲介にすれば利益相反がすべて解消するわけではないのです。

そもそも、両手仲介そのものが売主さまを裏切る行為ではありません。両手仲介になれば報酬が増えるからこそ、「なんとか自社で買主さまを見つけたい」という動機が生まれ、悪い囲い込みにつながることがあります。でも、問題なのは両手仲介という取引形態ではなく、売主さまに隠れて会社の利益を優先する行為です。

▶︎ 「両手仲介とは?会社の利益が約2.5〜3.5倍に膨らむ仕組み|片手仲介との違い」で解説しています。

さらに、一律禁止には低価格帯への弊害もあります。800万円以下の物件では、仲介手数料の上限は最大33万円(税込)。手間のかかる古い物件まで片手仲介に限定されれば、仲介では引き受けにくくなり、「買い取りますよ」に流れて売主さまが安く手放すリスクが高まります。

だから、禁止するべきなのは両手仲介ではなく、売主さま・買主さまの利益より会社の利益を優先する行為。ゆめ部長はそう考えています。

新しい料金設計|賛成。売主さまの選択肢が広がるのは歓迎

3%より大幅に安い定額制など、新しい料金設計が出てくること自体は大歓迎です。売主さまの選択肢が増えて、サービス内容と料金を比較して選べるようになるのは、健全な競争だと思っています。

これまでの不動産仲介では、法律上は「上限」であるはずの仲介手数料が、そのまま相場のように扱われてきました。そこに、取り扱う物件を絞ったり、広告費を抑えたり、SNSや横のつながりを活用したりして、従来より安い料金を実現しようとするサービスが出てくる。こうした挑戦は、業界にとってプラスだと思います。

もちろん、料金が安ければ何でもいいわけではありません。悪い囲い込みをしていないか、売主さまの意向に反して業者買取へ誘導していないかなど、会社の利益を優先する仕組みになっていないかを見ることは大切です。

ただ、これは新しい料金サービスだけの話ではありません。従来型の仲介会社にも同じことが言えます。

大事なのは、「3%だから安心」「安いから怪しい」と料金だけで判断しないこと。さまざまな料金とサービスが生まれ、売主さまが内容を比較して選べるようになることを、ゆめ部長は歓迎しています。

仲介手数料を自由化するなら|先に必要なのは不動産会社の質の底上げ

ゆめ部長は、仲介手数料の自由化に賛成です。ただし、いきなり上限だけを外せばいいとは考えていません。大事なのは「順序」です。

まず必要なのは、不動産会社の質を底上げすることです。

囲い込みが疑われる。物件調査は浅い。説明も足りない。そんな状態のまま「これから仲介手数料は自由です」と言われても、売主さまは安心して任せられませんよね。

「いまの3%は、業界がなんとか回る絶妙な水準だ」という意見もあります。でも、前半で見たように、業務量は物件価格に比例しません。1億円のマンションより、500万円の古家付き土地のほうが手間のかかるケースもあります。難易度や労力が違うのに、すべての取引で同じ料率がちょうどいいとは思えません。

一方で、「上限をなくしたら、不当に高い仲介手数料を請求する会社が出てくる」という心配もあります。これはもっともです。だからこそ自由化するなら、契約前に「どんな仕事をするのか」「報酬はいくらなのか」「なぜ、その金額なのか」を明確にする仕組みが必要です。

「値下げ競争になって、サービスの質が落ちる」という心配については、少し違う見方をしています。安さで勝負する会社があってもいいし、料金を下げずにサービスを磨いて勝負する会社があってもいい。その違いを売主さまが比較して選べることのほうが大切です。

むしろ、いまの不動産仲介で問題なのは、会社ごとの「質」が見えにくいことです。料金はほとんど同じなのに、どこまで調査するのか、どんな販売活動をするのか、担当者にどれだけの知識と経験があるのか。その違いは、売主さまから簡単には見えません。

だから、自由化より先に必要なのは、不動産会社の質を底上げし、その違いが売主さまから見えるようにすること。

これが、ゆめ部長が考える仲介手数料自由化のスタートラインです。

提案|質の証明とセットの段階的な自由化

では、どうすればいいのか。ゆめ部長が提案したいのは、いきなり全面自由化することではありません。まずは一定年数以上の実務経験がある宅建士から、段階的に仲介手数料の自由設定を認める。そのうえで、「サービス内容・報酬の透明性」もセットにするという考えです。

一定年数以上の実務経験がある宅建士から始める

まずは、一定年数以上の実務経験がある宅建士に限定して、仲介手数料の自由設定を認めることから始めてはどうでしょうか。

もちろん、実務経験が長ければ、それだけで質の高い仕事ができるとは限りません。それでも、自由化の第一歩として考えるなら、資格名や曖昧な評価よりも、一定年数の実務経験という外から確認できる基準のほうが線を引きやすいと思います。

宅建士の上級資格「宅建マイスター」の研修テキストには、「取引に内在する危険を察知し、法務局・区市役所だけでなく、近隣聞き込みや分譲会社へのヒアリングなども含めた十分な調査をしたうえで、顧客が納得するまで説明をしてトラブルを未然に防ぐ必要がある」と書かれています。

これだけ読むと、あたり前のことに見えるかもしれません。でも、現実の不動産取引は一点物のスピード勝負です。リスクを予見できても、「〜の可能性があります」という一般的な文言を契約書に記載するだけで、問題が起きてから対応する「後追い」になってしまうことがあります。

本来求められるのは、リスクを見つけ、必要な調査をして、売主さま・買主さまが納得できるまで説明する仕事です。当然、それには時間も労力もかかります。

だからこそ、一定の実務経験を積んだ宅建士には、案件の難易度や業務量に応じて、自分の仕事に見合う報酬を設定できる余地があっていい。まずはそこから自由化を始める。これが、ゆめ部長の提案です。

サービス内容と報酬を事前に見える化する

もう1つ必要なのが、サービス内容と報酬の透明性です。自由化するなら、「どんな仕事をするのか」「いくら受け取るのか」「なぜ、その金額なのか」を契約前に明確にする必要があります。

「なにに、いくら払うのか」が見えるようになれば、売主さまは料金だけではなく、サービスの内容と価値を比較して会社を選べます。

安く必要最低限のサービスを提供する会社があってもいいし、料金は高くても、徹底的に調査して販売活動に費用と時間をかける会社があってもいい。大事なのは、売主さまが違いを理解したうえで、自分に合う会社を選べることです。

先に見せて、選んでもらう。

仲介手数料を自由化するなら、料金の自由と透明性はセットにするべきだと考えています。

本音|「穴があるから商売が成り立つんだよ」と言われて

最後に、本音の話をします。この提言を知り合いに話したとき、こんなことを言われました。

「穴があるから商売が成り立つんだよ」

たしかに、その通りだと思う部分もあります。囲い込みが疑われる業界だからこそ、「囲い込みできない仕組み」に価値が生まれる。業界に問題があるからこそ、その問題を解決しようとする真っ直ぐ不動産が選ばれる面はあります。

ただ、ゆめ部長が望んでいるのは、その問題が残り続けることではありません。むしろ、業界全体の質が上がって、いつか「囲い込み対策」を強みにしなくてもよくなることです。

業界の穴を残して儲けるのか。

それとも、

穴そのものがなくなっても稼げる会社を目指すのか。

ゆめ部長は後者を選びたいと思っています。

よくある質問と回答

仲介手数料が自由化されたら、手数料は高くなりますか?

必ずしも高くなるとは限りません。いまの制度でも、上限より安い料金を設定することはできます。自由化すれば、安さを重視する会社もあれば、サービスの質を高めて高い報酬を設定する会社も出てくるでしょう。大事なのは、高い・安いだけで判断せず、サービス内容に見合った料金なのかを比較することです。仲介手数料の適正価格の考え方は、「売買の仲介手数料は高すぎる?|「上限=相場」のカラクリと適正価格の見抜き方」で詳しく解説しています。

いまの制度でも、仲介手数料を安くする方法はありますか?

はい、あります。値引き交渉のほか、値引サービスや仲介手数料が無料になるプランの利用など、方法は複数あります。それぞれの落とし穴まで含めて「不動産売却で仲介手数料を安くする3つの方法|値引サービス6種類の落とし穴」で解説しています。

まとめ|質の底上げから始める仲介手数料の自由化

この記事のポイント:
  • 仲介手数料の上限は物件価格で決まるのに、業務量は価格に比例しない
  • なくすべきなのは、売主さまに隠れて行う「悪い囲い込み」
  • 両手仲介を禁止しても、利益相反の問題がすべて解消するわけではない
  • 新しい料金設計が生まれ、売主さまの選択肢が広がることは歓迎
  • 自由化するなら、一定年数以上の実務経験がある宅建士から段階的に始める
  • 料金の自由化と、サービス内容・報酬の透明性はセットにする

仲介手数料の自由化は、単に「3%の上限をなくそう」という話ではありません。案件によって難易度も業務量も違うのだから、仕事の内容に応じて報酬にも違いがあっていい。ゆめ部長はそう考えています。

ただし、自由化するなら順序が大事です。まず不動産会社の質を底上げし、サービス内容と報酬を見えるようにする。そのうえで、一定年数以上の実務経験がある宅建士から段階的に自由化する。これが、今回提案したい形です。

囲い込みや利益相反など、不動産業界にはまだたくさんの「穴」があります。業界の穴を残して儲けるのか。それとも、穴そのものがなくなっても稼げる会社を目指すのか。

なにもしなければ、なにも変わりません。

だから、まず自分の意見を形にして公開することにしました。いろいろな意見が出て、仲介手数料や不動産仲介のあり方について議論が深まればうれしいです。

仲介手数料の「成功報酬制」についても、別の記事で意見をまとめています。
▶︎仲介手数料の「成功報酬制」を議論したい!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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