不動産売却の囲い込み対策30選|6つの視点で売主が動く完全ガイド

ゆめ部長式・不動産売却の囲い込み対策30選アイキャッチ。やるべきこと・避けるべきことを完全網羅した、6つの視点で売主が動く完全ガイドのキービジュアル。

不動産売却時に仲介会社が狙う「囲い込み」。被害に遭わないだろうか…と、不安を感じていませんか?売主さまのために動くはずの仲介会社が、裏で自社の利益のために動く。そんな裏切り行為があると知れば心配になるのは当然です。

→ 囲い込みの全体像は不動産の囲い込みとは?売主が損する手口・見抜き方・対策を業界20年のプロが解説で詳しく解説しています。

ネットには、こんな対策が並んでいます。

  • 信頼できる不動産会社に依頼する
  • 一括査定で複数社に声をかける
  • 一般媒介で複数社に依頼する
  • レインズの登録証明書を活用する
  • 「囲い込みしませんよね?」と担当者に質問する

けれど、どれが本当に有効なのでしょうか。「信頼できる会社に頼みなさい」と言われても、その見分け方がわからないから困っているんです。——そんな声が聞こえてきそうです。

先に結論です。

囲い込みを防ぐ最強の対策は、「囲い込みしない」と約束する会社ではなく、「囲い込みできない」仕組みを持つ会社を選ぶことです。

▼この記事でわかること(結論)
  • 結論1:囲い込み「しない」ではなく「できない」仕組みを選ぶ
  • 結論2:6つの視点で囲い込みを防ぐのが効果的
  • 結論3:売主さまVS仲介会社の利益相反が根本原因

本記事では、不動産仲介20年超の現場経験から導き出した「ゆめ部長式・囲い込み対策30選」を、6つの視点で整理してお伝えします。最強の対策を軸に、会社選び、販売中の確認、異変への対処までを完全網羅しました。

ゆめ部長式・囲い込みを防ぐ6つの視点。囲い込み対策30選を、最強の対策、間違った対策、こんな会社は避ける、売主さまが持つべき心構え、囲い込みを疑うサイン、囲い込みを疑ったときの対処法に整理した一覧表。

不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が解説します。

【 お知らせ 】

本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。2025年1月施行の制度改正(レインズの取引状況の登録内容が事実と異なる場合は、指示処分の対象となることの明確化)にも対応しています。

【 注意事項 】

この記事は不動産売買(売却)の囲い込みを専門に扱っています。「賃貸」のおとり広告とは問題点が異なります。

→ 手口そのものを知りたい方は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法で解説しています。

視点①:最強の対策

ゆめ部長式・囲い込みを防ぐ6つの視点のうち、「最強の対策|囲い込みできない仕組みを選ぶ」を赤枠で示した図。

対策1:囲い込みできない仕組みを選ぶ

囲い込みを防ぐ最も確実な方法は、「囲い込みできない仕組み」を持つ不動産会社を選ぶことです。

一般的な不動産会社は、売主さまと買主さまの両方を担当することで「両手仲介(手数料の二重取り)」を狙います。一方、売主さまだけを担当し、買主さまを一切担当しない仲介会社もあります。業界用語では「セラーズエージェント(Seller’s Agent)」と呼ばれます。

ゆめ部長が運営する真っ直ぐ不動産のオープン売却プランでは、自社で買主さまを見つけても買主さまからは手数料をもらわない契約になっています。囲い込みをするインセンティブ自体が存在しない設計です。

なぜ、これが最強の対策といえるのかを説明します。

囲い込みの本質は、「売主さま VS 仲介会社」の利益相反にあります。味方であるはずの仲介会社が、両手仲介を狙って敵側に回る構造です。

関連記事:
両手仲介とは?会社の利益が約2.5〜3.5倍に膨らむ仕組み|片手仲介との違い

「囲い込みしません」という口約束では、両手仲介を狙う動機が消えるわけではありません。動機そのものを構造的に排除する「できない」仕組みを選ぶことが、最も確実な囲い込み対策です。

仕組みの詳細:
「囲い込みしません」を信じられますか?|囲い込みできないオープン売却プラン

サービスページ:
オープン売却プランの概要

視点②:間違った対策

ゆめ部長式・囲い込みを防ぐ6つの視点のうち、「間違った対策|これだけでは囲い込みを防げない」を赤枠で示した図。

「囲い込み対策」としてよく紹介される方法の中には、実は効果が限定的なものがあります。やってはいけないわけではありませんが、これだけで安心してはいけません。

対策2:複数社の査定で囲い込みを防げるという誤解を解く

「複数の不動産会社に査定を依頼しましょう」というアドバイスをよく見かけます。

複数査定そのものには意味があります。根拠のない高値査定に気づくきっかけになりますし、各社の提案を比較すれば、自分に合う会社や担当者を選びやすくなります。

ただし、それは囲い込み対策ではありません。

選んだ担当者がどれだけ誠実に見えても、それだけで囲い込みをしない保証にはなりません。歩合給で稼ぎたいという欲望や、上司からの両手仲介圧力がある限り、売主さまの利益より自社の利益を優先する動機は残るからです。

複数社に査定を依頼しても、最終的に媒介契約を結んだ会社が囲い込みをしないという保証はどこにもありません。

特に、一括査定の運営サイトでは「複数の不動産会社を比較すれば囲い込みを防げる」とよく主張されます。その根拠として、運営サイトでは次の3つがよく挙げられます。

  • 主張1:
    複数社の対応を比較すれば、囲い込みをする会社を見抜ける
  • 主張2:
    運営サイトが業者を審査しているから安心
  • 主張3:
    相場を把握すれば、根拠なき高値査定で釣る囲い込み業者を回避できる

結論から言います。
どれも、囲い込み対策としては成り立ちません。

■ 主張1について。

相手は営業のプロです。査定の対応だけで、笑顔の裏に隠された本性は見破れません。

■ 主張2について。

運営サイトにとって不動産会社はお客さまです。多くの会社に加盟してもらい、紹介料を払ってもらうビジネスです。その運営サイトが、囲い込みをする会社を本気で厳選・排除するでしょうか?そもそも、「囲い込みをしない会社」をどうやって見抜くのでしょうか?

■ 主張3について。

根拠のない高値査定に騙されることだけは防げるかもしれません。しかし「高値査定をする=囲い込みをする」という因果関係はありません。

もう1つ、構造的な問題があります。

一括査定は不動産会社が運営サイトに紹介料を支払う仕組みです。媒介契約の獲得率や成約率を踏まえると、成約1件あたりの集客コストは高額になります。問題は両手仲介そのものではありません。このコストを回収するために、他社の買主さまを排除してまで両手仲介を狙う動機が強まることです。

このように、複数査定も一括査定も、囲い込み対策としては機能しません。

複数社に査定を依頼したことと、囲い込みを防げることは別問題です。この違いを知り、「複数社を比較したから大丈夫」と安心しないことが、囲い込み対策の第一歩です。

対策3:一般媒介が囲い込み対策にならない現実を理解する

「一般媒介なら囲い込みを防げる」
「専任媒介は1社に縛られるから危険」

こんな説明を、ネットで見たことはありませんか?

実務を知らないまま書かれた記事が増えたことで、こうした誤解が広がったのかもしれません。もっともらしく、売主さまに寄り添った意見にも見えます。

しかし、一般媒介は囲い込み対策にはなりません。

一般媒介には、レインズへの登録義務がないため、せっかく複数社に依頼しても各社が両手仲介を狙い、誰もレインズに登録しないことがあります。

もちろん、一般媒介を結ぶ際に「レインズへ登録してください」とお願いすることは可能です。しかし、お願いしなければ登録しない会社に、他社に情報を公開して高値を目指す販売活動を期待できるでしょうか?

大事なことなので、もう一度言います。
一般媒介は、囲い込みを防ぐ選択肢にはなりません。

一般媒介で囲い込みを防げない理由は、次の記事で詳しく解説しました。ぜひ、読んでみてください!

一般媒介で囲い込みは防げない|6つのデメリットを全力で解説

視点③:避けるべき会社

ゆめ部長式・囲い込みを防ぐ6つの視点のうち、「こんな会社は避ける|囲い込みを誘発する会社の特徴」を赤枠で示した図。

無料サービス満載、手数料激安……一見お得に見える会社には、囲い込みを誘発する構造が隠れていることがあります。

これらのサービスは、経費をかけすぎた会社、収入を減らしすぎた会社が、両手仲介で回収するしかなくなる構造を生みます。

対策4:仲介手数料が安すぎる会社は避ける

「手数料1%」「手数料50万円」。こうした安い手数料で多くの売主さまを集め、その中から売上につなげやすい案件だけを選別する。これが、減らした収入を取り戻す仕組みです。よくあるルートは2つです。

ルート1:囲い込みで両手仲介を狙う

安い手数料で集客したら、「売主さまに内緒」で囲い込み。自社で買主さまを見つけます。買主さまから3%の手数料を受け取れば、売主さまからの手数料が安くても十分にカバーできる構造です。

ルート2:業者買取に流す

相場より安い価格で媒介契約を締結。そのまま業者買取に流します。業者から3%の手数料を受け取り、まず、一度目の収益が発生。

さらに、買い取った業者がリノベして再販するとき、その売却窓口が同じ不動産会社に戻ってきます。これが「専任返し」です。再販時に囲い込みで両手仲介を狙えば、業者から3%、買主さまから3%で合計6%。ここで二度目の収益。

1件の物件で、安く設定した売主さまからの手数料 + 買取の3% + 再販の6%。二度おいしい構造になっています。

問題なのは、手数料の安さだけをアピールし、裏で売主さまを裏切って囲い込みを狙うこと。手数料の安さそのものが悪いわけではありません。

業界に根づくこうした慣習は不動産業界の闇|高値査定→干す→値こなし→業者買取→専任返しで売主を搾取する仕組みで解説しています。

【 ゆめ部長の体験 】

昔、面接に行った会社が「すごく安い定額制」を売りにしていたので、どうやって売上を伸ばしているんだろう?と疑問に思い、人事の方に聞いてみました。すると「トップ営業マンは、安めの査定で媒介契約を獲得して、業者買取に誘導してますよ」との回答。この会社への入社はやめることにしました。

仲介手数料の安さは、売主さまにとって本当にお得なのか。一度立ち止まって考えたい部分です。

対策5:早く売れたら仲介手数料を値引きする会社は避ける

「1ヶ月以内に成約したら手数料30%OFF」

売主さまにとって、こんな提案はありがたく見えますよね。早く売れて、しかも手数料も安くなる。

しかし、注意が必要です。

そもそも、不動産業界は集客に苦労しています。特に売却の集客は、購入の集客より難しい。だから、売主さまにとって魅力的に見えるサービスを作るる会社が増えています。「早く売れたら割引」もその1つです。

ここで、立場の違いを整理してみましょう。

売主さまは、早く売って、しかも手数料を節約したい。一方、不動産会社にとっては、1ヶ月で売れたら30%減収、期限を過ぎれば通常手数料に戻る仕組み。つまり、急いで売るより、少し時間をかけて通常手数料で成約した方が、利益になります。

そう、両者の利益は、真逆を向いているのです。

「早く売れたら割引」は、売主さまのための早期売却サービスではなく、売却物件を集めるための集客施策。入口の割引率だけを見ず、不動産会社が本当に早く売るほど得をする仕組みになっているかを見極める必要があります。

対策6:無料サービス満載の会社は避ける

「ハウスクリーニング無料」「ホームステージング無料」「インスペクション無料」…至れり尽くせりに見えますが、その経費をどこで回収しているのでしょうか。

答えはシンプル。両手仲介です。

経費をかければかけるほど、両手仲介が成立したときの利益は大きく膨らみます。経費をかけすぎた会社は、両手仲介で回収するしかなくなる構造です。無料サービスの原資は、囲い込みによる両手仲介である可能性が高いと言えるでしょう。

→ 経費構造と両手仲介の利益倍率(約2.5〜3.5倍)の詳細は両手仲介とは?会社の利益が約2.5〜3.5倍に膨らむ仕組み|片手仲介との違いで解説しています。

過剰な「無料サービス」「無料保証」には気を付けてくださいね。

▶︎ 無料サービスで釣る会社を含む危険サインの全体像は「不動産売却で選んではいけない不動産会社の特徴7選|悪徳・実力不足を見抜く3つの視点」の特徴④で詳しく解説しています。

対策7:根拠がない高値査定をする会社は避ける

根拠がない高値査定をする会社には、現場でよく見る2つのパターンがあります。

パターン1:12%の手数料を狙うベルトコンベアー

相場より大幅に高い査定額を提示して媒介契約を獲得し、売主さまをベルトコンベアーに乗せていきます。高値査定 → 囲い込み → 干す・振り替え → 値こなし → 業者買取 → 専任返し。最終的に1件の物件で12%の手数料を取る構造です。

パターン2:媒介契約の取得数が評価される構造

大手など、媒介契約の取得数自体が評価される会社では、売れる見込みがなくても、まず媒介契約を獲得することが優先されます。他社に勝つために根拠なき高値査定を提示し、契約を取った後の販売活動は二の次になります。

どちらのパターンも、本質は同じです。売主さまの都合より、自社・自分の都合を優先している。プロ意識が欠如した会社・担当者は、平然と囲い込みをします。酷いケースでは「囲い込みの何が悪い?」と開き直ることさえあります。

→ ベルトコンベアーの全貌は不動産業界の闇|高値査定→干す→値こなし→業者買取→専任返しで売主を搾取する仕組みで解説しています。

高値査定を出す会社そのものの見抜き方は、同記事の特徴⑤で解説しています。

対策8:一括査定を利用している会社は避ける

一括査定サイトを利用している不動産会社は、構造的に囲い込みの動機が強くなります。理由は、成約1件あたりの集客コストです。

一括査定の営業マンから聞いた話では、媒介契約を獲得できるのは、優秀な会社でさえ一般媒介で約8%程度と言われています。さらに、一般媒介を獲得しても、自社が売買契約まで持ち込めるのは約30%程度でしょう。

では、この条件で、一括査定から1件を成約させるまでにかかる集客コストを逆算してみます。

計算条件

■ 紹介料が1組あたり約15,000円
■ 一般媒介を獲得できるのは約8%
■ 3社で一般媒介(自社が成約させる確率は1/3)
■ 売買契約になるのは約90%(10%は販売中止など)

逆算すると、1件の成約にかかる集客コストは約62.5万円です。

15,000円 ÷ 8% ÷ 30% = 約62.5万円/件

この集客コストを片手仲介の手数料だけで回収するのは困難です。一括査定に登録している不動産会社は、両手仲介を狙わなければ採算が合わない構造になっています。

つまり、「一括査定を利用している会社=コスト回収のために両手仲介を狙う動機が強い会社」。囲い込みのリスクが高い会社が、一括査定サイトに登録しやすいのです。

→ 両手仲介の利益倍率の詳細は両手仲介とは?会社の利益が約2.5〜3.5倍に膨らむ仕組み|片手仲介との違いで解説しています。

対策9:売主専門なのに、社内に購入部門を持つ会社を避ける

「100%売主さまの味方」「売却専門エージェント」を掲げる会社が増えています。囲い込みのリスクから売主さまを守るスタンスの会社です。しかし、その会社の構造を確認する必要があります。

売却担当者が買主さまを兼務しないこと。
会社が買主さまから手数料を受け取らないこと。

これは、別問題です。

たとえば、売却担当と購入担当を別の部門に分けている会社の場合。売却担当者個人は、「100%売主さまの味方」と説明できます。ところが、同じ会社の購入担当が買主さまを見つけて成約すれば、会社としては、売主さま・買主さま双方から手数料を受け取ります。これは実質的に両手仲介です。

両手仲介の構造が残れば、囲い込みのインセンティブも残ります。他社の買主さまからの申込より、自社の購入担当が連れてきた買主さまからの申込を優先したい。その動機は、担当者を分けても消えません。なぜなら、会社の売上・評価・人事に影響するからです。

ただし、買主さまから手数料を受け取らない仕組みなら、囲い込みのインセンティブは生まれません。問題は「購入部門を持つこと」ではなく「買主さまから手数料を受け取ること」にあります。

売主専門を謳うなら、両手仲介を完全に排除するのが理想的です。

対策10:「私だけに任せてください」と一般媒介を提案する会社は避ける

複数の不動産会社に依頼できる一般媒介を提案しながら、他の不動産会社には依頼しないでほしいとお願いする営業マンがいます。

「私が、必ず売り切ります!!!」
「信用して私だけに販売させてもらえないでしょうか!?」

すごい熱量で口説いてくる担当者を頼もしく感じ、「じゃあ、好きにやってみなよ。」と受け入れてしまうかもしれません。しかし、このお願いには注意が必要です。

なぜなら、1社にしか依頼しないのに、レインズ登録義務がない一般媒介を結ぶということは、囲い込みをするという宣言に他ならないからです。言い換えれば、「私の売上を伸ばすために、囲い込みさせてください。私のためにも、売主さまのためにも、頑張ります!」そんな自分勝手な主張になります。

本当に気に入って任せたいと思ったなら止めません。高く売る特別な売却力を持った営業マンなら選択肢になると思います。でも、囲い込みになることを説明しないなら、やはり、許されるものではありません。

「私だけに任せてください」という言葉の裏に、こうした動機が隠れていないか?見極める必要があります。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口③で解説しています。

対策11:「段階的に広告しましょう」と提案する会社は避ける

高く売るコツは情報を出し過ぎないことです。情報を一気に出してしまうと、希少性が下がってしまい、高く売れなくなります。

だから、最重要のSUUMOだけに掲載することから始めましょう。様子を見ながら、at home・LIFULL HOME’Sなどのポータルサイト、YouTube・InstagramなどのSNSを順番に解禁するのがオススメです。それでも売れなければ、最終手段としてレインズに登録すれば、損をすることはありません。

この売り方に「なるほど!」と思うかもしれません。しかし、これは、売主さまを騙す囲い込みの手口です。

不動産売却で大切なのは、買主さまの母集団を最大化すること。レインズに登録すれば、全国の不動産会社が買主さまを探してくれます。それを最後に回すのは、自社で買主さまを見つける時間稼ぎ。両手仲介を狙う戦略です。

「希少性が下がる」は、買主さまを探す側の論理ではなく、両手仲介を狙う会社の論理。情報を絞ることに、売主さまのメリットはありません。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口④で解説しています。

対策12:「未公開で売りましょう」と提案する会社は避ける

「情報をオープンにせず、未公開物件として特別感を演出するのが高く売るコツです。レインズに登録せず、SUUMOにも掲載しないで、私のネットワークで高く・早く売りますのでお任せください。」

この提案、なんとなく高く売れる気がしませんか?しかし、注意が必要です。

あえて写真を撮らない。販売図面も作らない。A4の手書きの紙1枚だけ持参し、「まだ外に出ていない情報を最優先・最速で持ってきました!」と言えば、特別扱いされている満足感と、希少な物件を購入できるという期待に買主さまは喜んでくれるでしょう。実際、未公開の甘い誘惑にひっかかる買主さまが一定数いるのは事実です。

しかし、これは完全な囲い込みであり、最善の販売活動ではありません。

物件を磨き、魅力を伝える写真や動画を準備して、情報を広く拡散させる。このような販売活動の方が、高く売れる可能性は上がります。

未公開は、囲い込みの隠れ蓑です。「特別扱い」を演出して、自社の買主さまだけに見せる。そのための口実として使われていないか、見極める必要があります。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口⑤で解説しています。

対策13:分譲・管理会社の系列仲介を過信しない

不動産売却を依頼する際、分譲会社や管理会社と同じ系列の仲介会社を選択肢に入れる売主さまは多くいます。

「分譲会社の系列なら、物件に詳しいはず」「管理会社の系列なら、マンションのことを知り尽くしているはず」こう思うのは自然なことです。しかし、実際は違います。

分譲時の販売資料をすべて把握していて、建築工法、構造設計の詳細まで知り尽くしていることは、まずありません。

そもそも、分譲会社で物件を売っていた営業マンと、系列仲介会社の営業マンは、別の人間です。仲介会社の営業マンは、グループ会社というだけで、その物件の分譲には関わっていません。

同じマンションを何度も売買していれば、多少は詳しくなります。でも、それは系列だから詳しいのではなく、取扱件数が多いから詳しいだけ。「系列だから物件のことを知り尽くしている」というのは、思い込みなのです。

それでも、系列というだけで売却依頼は集まりやすくなります。売却物件が集まれば、その会社には購入希望者も集まりやすくなります。結果として、自社の登録顧客だけで成約を目指す動機が強くなります。物件情報を外に出さず、社内の両手仲介で完結させようとする。これが囲い込みにつながる構造です。

「系列だから安心」という思い込みを、いったん外す必要があります。

▶︎ 系列・大手・地元という「看板への思い込み」の外し方は「不動産売却で選んではいけない不動産会社の特徴7選|悪徳・実力不足を見抜く3つの視点」の特徴⑥で詳しく解説しています。

対策14:地域ナンバーワン店舗を過信しない

地域ナンバーワン店舗と聞くと、そこに任せたくなる気持ちはよくわかります。実績がある、看板がある、営業マンもたくさんいる。頼もしく見える存在です。

しかし、ナンバーワンの会社は、ほぼ例外なくゴリゴリの営業会社です。

強い営業力で売却物件を集める。経費をかけて、写真を撮り、広告を出して、他社を圧倒する。その結果、たくさんの売却物件と登録顧客が集まります。だから、地域でナンバーワンになれる。

ここに、大きな落とし穴があります。

自社での両手仲介は絶対。他社に買主さまを見つけられるなんて許されない。登録顧客や広告で見つけたお客さまとの両手仲介を全力で目指す。条件が悪い申込でも、嫌われる覚悟で売主さまを説得してきます。

つまり、地域ナンバーワン店舗に任せると、囲い込みされるリスクが高いだけでなく、ゴリゴリ営業までセットになる…。この点を理解しておく必要があります。

ただし、地域ナンバーワン店舗を完全に排除する必要はありません。

売主さま側の窓口は、両手仲介を狙わない会社に任せる。そのうえで、地域ナンバーワン店舗には買主さま探しだけ手伝ってもらう。これなら、その店舗が持つ登録顧客や広告力は活かしながら、売主さま側で囲い込みをされるリスクは切り離せます。

視点④:売主さまが持つべき心構え

ゆめ部長式・囲い込みを防ぐ6つの視点のうち、「売主さまが持つべき心構え|売却の主導権を手放さない」を赤枠で示した図。

ここまで、避けるべき会社の特徴を見てきました。

しかし、会社選びだけでは囲い込みを防ぎきれません。どんなに慎重に選んでも、営業マンのトークに流されたり、相手のペースに飲まれたりすれば、囲い込みのリスクは残ります。

ここからは、売主さま自身が持つべき心構えを6つ紹介します。

対策15:「囲い込みしません」を信用しない

「御社は囲い込みしますか?」と聞いて、「はい、囲い込みしますよ」なんて答える不動産会社はありません。

「絶対に囲い込みしません」
「お客さまの信頼が第一です。ご安心ください」
「大手はコンプライアンスを遵守しています」

どの会社も、こんな回答をするでしょう。

しかし、この口約束を信じてはいけません。なぜなら、両手仲介を狙う動機は、口約束では消えないからです。

両手仲介が成立すれば、会社の売上は2倍。利益で見れば約2.5〜3.5倍にまで膨らみます。営業マンの歩合給も増え、社内評価も上がる。この構造がある限り、「囲い込みしません」と言いながら、裏で囲い込みをする動機は残り続けます。

判断軸は、口約束ではなく仕組みです。

その会社に買主さまから手数料を受け取る仕組みがあるか。両手仲介を狙う動機があるか。ここを見極める必要があります。動機そのものを構造的に排除している会社なら、「囲い込みしません」と言わなくても、囲い込みはできません。

→ 囲い込みの動機を完全排除した不動産売却の仕組みについては「囲い込みしません」を信じられますか?|囲い込みできないオープン売却プランで詳しく解説しています。

対策16:基礎知識を学ぶ

不動産売買には、情報の非対称性があります。仲介会社が持つ情報と、売主さまが持つ情報には、大きな差があります。だから、取引がブラックボックスになりやすく、囲い込みのような裏切り行為が成立してしまいます。

この非対称性を埋めるには、売主さま自身が最低限の知識を持つことです。

たとえば、次のようなテーマです。

  • 両手仲介と片手仲介の違い
  • 囲い込みなど、不動産会社が狙う利益構造
  • 仲介手数料の仕組み
  • 媒介契約の種類
  • レインズの登録義務と罰則

すべてを学ぶ必要はありません。まずは、こうした基本を知っておくだけでも十分です。

これらを理解していれば、営業マンの説明が正しいか、自分にとって損か得か、その場で判断できる可能性が高まります。「信頼できる会社に頼みなさい」と言われて困っていた売主さまも、自分の判断軸を持てるようになります。

オススメは、真っ直ぐ不動産のWebサイトです。

仲介20年の経験と、上級宅建士「宅建マイスター」の知識をまとめています。嘘偽りなく、売主さま目線で記事を書いている自負があります。

学べば学ぶほど、不動産会社にとって「手ごわい売主さま」になれます。ぜひ、活用してみてください。

対策17:難しい客になる

囲い込みを未然に防ぐには、営業マンに「この売主さまは油断できない」と思わせることも有効です。

たとえば、次のような行動が効きます。

  • 媒介契約書に「囲い込みしない」旨を明記してもらう
  • 契約時に「レインズの登録期限は〇月〇日ですね」と口にする
  • 契約時に「3ヶ月で売れなければ他社に変えます」と伝える
  • 媒介業務報告書が届かなければ即日請求する
  • レインズの登録証明書を請求する
  • レインズの登録状況を毎週チェックする
  • 値下げ提案には根拠と資料を求める

ただし、毎回うるさく言うと、担当者との関係性が悪くなります。タイミングを絞るのがコツです。

媒介契約を結ぶときに最初の釘を刺す。販売活動が始まり、担当者が油断してきたタイミングでもう一度釘を刺す。この2回で十分です。

それでも担当者の動きが頼りなければ、媒介契約を解約して他社に変える。この覚悟まで含めて、ワンセットです。

囲い込みは、売主さまが知識を持たず、確認もしないという前提で成立する行為です。「監視されている」「いつでも切られる」とわかった瞬間、リスクを冒す動機は弱まります。

少し面倒な売主さまになる。これも、立派な囲い込み対策です。

対策18:ウェイティングリスト・登録顧客リストを信用しない

「このマンションを探している登録顧客が〇〇人います。まずは、そのお客さまへ優先して紹介します」

大手や地元密着の会社が、こんな営業トークを使うことがあります。登録顧客の数を聞くと、頼もしく感じると思いますが、その数字を真に受けない方が良いです。

不動産会社の登録顧客リストは、クリーニングされていないことが多いのが実態です。既に他社で購入済みのお客さま、購入を諦めたお客さま、引っ越し先が変わったお客さま。こうした「すでに対象外」の人が、リストにそのまま残っている。これがよくある現実です。

仮にリストが整理されていたとしても、その物件にマッチする買主さまは、ごくわずかです。

たとえば、マンションの売却を依頼したとしましょう。「このマンションを探しているお客さまが〇〇人います」と言われても、間取りで絞れば数は減ります。2LDKを探している人か、4LDKが必要な人か。階数で絞ればもっと減ります。高層階希望か、低層階でも良いか、角部屋希望か。予算で絞ればさらに減ります。

そして、絞り込んだ少数の買主さまが、今もそのマンションを探し続けているとは限らないのです。

それなのに、不動産会社は「登録顧客に優先して紹介します」と言って、自社の買主さまから順に物件を見せていきます。レインズ登録は、登録顧客で決まらなかった時の最終手段。

本来であれば、レインズ・SUUMO・登録顧客に同時並行で情報を出し、全方位から買主さまを集めるのが正しい売却活動です。その中から、最も条件が良い買主さまを選ぶ。これが売主さまの利益を最大化する売り方です。

「登録顧客リストで売れる」というアピールの裏で、買主さまの母集団が絞り込まれていないか…注意が必要です。

対策19:マンション専属担当者に注意する

ブランドマンションには、そのマンションの売買・賃貸をすべて1人で担当している専属担当者がいることがあります。物件に詳しく、住民とも顔なじみ。頼もしく見える存在です。

しかし、この専属担当者には、構造的な利益相反が潜んでいます。マンション内の相場を、一定に保ちたい動機です。

たとえば、7,000万円前後がボリュームゾーンのマンション。突出した特徴のない部屋が8,000万円で売りに出ると、新規で売却する売主さまも「自分も8,000万円で売りたい」とつられて高値を付けたがります。査定額の引き上げ要求が増え、独占体制が崩れていく。だから、専属担当者は「ここは7,200万円が限界です」と売主さまの希望価格に蓋をして、マンション内の相場を抑え込もうとします。

【 ゆめ部長が相談を受けた事例 】

専属担当者に「その価格では高くて売れない」と制限をかけられ、不満を持った売主さまから相談がありました。ゆめ部長は「少し高いくらいだから希望価格でも売れる可能性がありますよ」とアドバイス。実際、専属担当者の査定より5%も高く売れました。

ちなみに、このマンションでは当時8部屋が売りに出ていました。そのうち7部屋は、同じ会社の専属担当者が預かっていた部屋です。一方、都心の業者が預かった1部屋だけは、レインズに登録されて即成約しました。他の7部屋と価格は変わらなかったのに…。

おそらく、他の7件は囲い込みをされていたのでしょう。地元の業者が案内できず、売れなかった可能性が高いです。

「マンションのことを一番よく知っている担当者」という言葉の裏で、相場操作が起きていないか。注意が必要です。

▶︎ 相場を知らない”ハズレ”のマンション専属担当の実話は「不動産売却で任せてはいけない担当者の特徴7選|外れ営業マンを見極める3つの視点」の特徴⑤で詳しく解説しています。

対策20:ナンバーワン営業マンに注意する

「年間成約件数ナンバーワン」
「社内表彰されました」

実績アピールが強い営業マンには、ナンバーワン店舗と同じ警戒が必要です。

トップ営業マンは、自分の売上を伸ばすことに執着している傾向があります。誰よりも稼ぎたい。みんなに認められたい、自分が1番だと証明したい。そんな動機が行動の根っこにあります。だから、自分の都合が最優先になりやすい。囲い込みも、悪いことだと思っていない印象です。

もう1つ、注意したいポイントがあります。「ナンバーワン」が何のナンバーワンか、確認してください。

  • 小さい会社の中でのナンバーワン
  • 1店舗の中でのナンバーワン
  • 四半期だけのナンバーワン

世の中には、いろいろなナンバーワンが存在します。「ナンバーワン」という言葉に飲まれず、その中身を確認する。これも売主さまの心構えです。

視点⑤:囲い込みを疑う

ゆめ部長式・囲い込みを防ぐ6つの視点のうち、「囲い込みを疑うサイン|販売中に確認したいこと」を赤枠で示した図。

ここまで、会社選びと売主さまの心構えを見てきました。

しかし、慎重に選び、心構えを持って臨んでも、不動産会社が囲い込みをすることはあります。だからこそ、販売活動が始まった後も、売主さまは警戒を緩めたらいけません。

ここからは、販売中に出てくる「囲い込みを疑うサイン」を6つ紹介します。1つでも当てはまれば黄信号、複数が重なれば赤信号。囲い込みを疑って売却活動をいったん止まるタイミングと考えてください。

→ 手口の全体像は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法で解説しています。

「過去に1000件」型の実績アピールの検算方法は、同記事の特徴④で解説しています。

対策21:レインズ登録証明書を受け取っていないなら疑う

担当者から「レインズへ登録しました」と報告を受けたのに、まだ登録証明書を受け取っていない…。これは、黄信号です。

専属専任媒介・専任媒介を結んだ場合、不動産会社にはレインズへの登録義務があります。さらに、登録完了後、遅滞なく、登録証明書を売主さまへ渡す義務もあります。

→ レインズの登録義務・罰則・「遅滞なく」の解釈はレインズとは?売主が知るべき登録義務・違反の罰則と囲い込みの関係で解説しています。

ここからが本題です。

担当者が登録証明書を渡してくれないなら、囲い込みを疑ってください。

なぜなら、登録証明書を受け取れば、売主さま自身がレインズの取引状況を確認できるからです。

登録証明書を渡したくない

売主さまにレインズを見せたくない

見せられない理由がある

ということだからです。

レインズ登録の報告を受けたら、必ず、登録証明書を受け取ってください。請求しないと送ってこなかったなら、今後の売却活動は厳しい目で監視することをオススメします。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口①②で解説しています。

対策22:空室なのに内覧しにくい鍵の運用なら疑う

空室物件で現地にキーボックスを設置し、他社の営業マンもすぐ内覧できる状態にしておくのが基本です。

それにもかかわらず、

・現地から遠い店舗で鍵を預かる
・担当者の立会が必須
・郵送NG、事務員の対応NG
・内覧後すぐに返却

など、他社が案内しづらくなっているなら、囲い込みを疑ってください。

買主さまの内覧予約は数日前にあるとは限りません。せっかく「今から見に行きたい」と連絡があっても、鍵の受け渡しに手間がかかれば内覧機会を逃してしまいます。自社の買主さまなら両手仲介になるからすぐ案内する。でも、他社経由の買主さまは片手仲介になるから内覧させたくないということ。売主さまに不利な売却活動です。

対策として、媒介契約を結ぶ前に、「現地にキーボックスを設置して、他社の内覧もすぐに対応できるようにしてもらえますか?」と確認してください。

なお、売主さまが担当者の立会いを希望する場合や、マンション管理規約上の制約でキーボックス設置NGの場合は別です。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口⑰⑱で解説しています。

対策23:他社が内覧に来ないなら疑う

内覧に来るのが、担当者本人か、同じ会社の別の営業マンが連れてくるお客さまだけ。他社からの内覧希望がゼロ。これは、囲い込みのサインだと気づきましょう。

レインズにも登録されている物件なら、他社からの問い合わせや内覧が1件もないのは不自然です。

ここからは、売主さまが囲い込みのサインを見逃さないためのチェック方法をお伝えします。

居住中の場合

内覧時に、営業マンから名刺を受け取ってください。

暗黙のルールで、内覧時に名刺を渡さないことが多いです。だから、売主さまから請求しましょう。名刺を見れば、どの会社の営業マンが案内に来たかが一目でわかります。

空室の場合

媒介報告書を毎回確認してください。

自社の案内と他社の案内が、別々に記載されているかをチェックします。もし、分かれて記載されていなければ、担当者に「他社からの問い合わせは何件ありましたか?」と直接確認しましょう。

こうした行動は、囲い込みのサインを見逃さないだけでなく、担当者へのプレッシャーにもなります。「この売主さまは見ている」と分かれば、囲い込みのリスクは下がります。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口⑥〜⑯で解説しています。

対策24:根拠の説明なく、値下げ・業者買取ばかり勧められたら疑う

担当者から、こんな発言を繰り返されていないでしょうか。

「内覧がありません」
「このままでは厳しいです」
「周りの物件も売れていません」
「売れ残り物件になりますよ」

販売状況を客観的に報告するのではなく、売主さまを焦らせる言葉ばかりが続くなら、囲い込みを疑ってください。

本当に価格が高いのか。周辺物件も売れていないのか。根拠となるデータが示されなければ、売主さまには確かめようがありません。

囲い込みをする担当者は、販売活動を頑張っているように見せながら、売主さまの心が折れるのを待ちます。

ときには、相場とかけ離れた業者の申込みを見せてくることもあります。

「こんな金額で申込みが入っています」
「市場が悪化しているのかもしれません」

安い価格を意識させ、売主さまの期待値を少しずつ下げていくわけです。

心が折れそうなタイミングで値下げを提案し、最終的には業者が買いやすい価格まで下げてもらう。囲い込みから業者買取へ流すことは、囲い込みをする営業マンにとって最も収益を得やすい流れの1つです。

根拠の説明がないまま、値下げや業者買取ばかり勧められるなら注意してください。

→ 業者買取の連鎖構造は対策7:根拠がない高値査定をする会社は避けるで解説しています。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口㉕で解説しています。

対策25:他社の交渉を拒否するように毎回アドバイスされたら疑う

他社経由で価格交渉が入ったとき、担当者からこんなアドバイスをされていないでしょうか。

「100万円も下げる必要はありません」
「もう少し待てば、満額の買主さまが現れますよ」
「この交渉は受けない方がいいです」

もちろん、交渉を断ること自体が悪いわけではありません。売出価格、反響、周辺相場などに根拠があり、より良い条件を待つ合理性があるなら、その判断もあり得ます。

ただし、根拠を示さないまま、他社経由の交渉だけを何度も断るよう勧められるなら、囲い込みを疑ってください。

他社の買主さまを断れば、担当者は自社で買主さまを見つける時間を稼げます。最終的に自社の買主さまと契約できれば、両手仲介になるからです。

さらに注意したいのは、その後に自社の買主さまから同じような価格交渉が入った場合です。

「この買主さまは公務員のご夫婦です。住宅ローンの心配もありません。100万円の交渉はありますが、受けた方がいいと思います」

他社の交渉は断らせるのに、自社の交渉は受け入れさせようとする。これが繰り返されるなら、売主さまの利益ではなく、両手仲介を優先している可能性があります。

「もう少し待てば満額の買主さまが現れますよ」という言葉だけが繰り返されるなら、警戒が必要です。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口㉓で解説しています。

対策26:オークションを提案されたら疑う

販売活動の途中で、担当者から「オークションで売りましょう」と提案されたら、囲い込みを疑ってください。

オークション制とは、入札期限までに購入申込みを集め、その中から最も条件の良い買主さまと契約する売り方です。一見すると、高く売れそうな仕組みに見えます。

しかし、囲い込みを狙う会社にとっては、他社の営業マンを動きにくくし、自社で買主さまを探す時間をつくる口実にもなります。詳しい手口は、囲い込み手口30選で解説しています。

オークションを提案されたら、誰に情報を流すのか、他社の営業マンも通常どおり内覧できるのかを確認してください。

「高く売るためのオークション」と言いながら、実態は買取業者や自社の買主さまだけを有利にする売り方になっていないか。ここを見極める必要があります。

→ 詳しい手口は不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法の手口㉙で解説しています。

視点⑥:囲い込みを疑った時の対処法

ゆめ部長式・囲い込みを防ぐ6つの視点のうち、「囲い込みを疑ったときの対処法|確認・相談・会社変更」を赤枠で示した図。

ここまで、囲い込みを疑うサインを見てきました。

サインに気づいたら、次は行動です。まずは、レインズやネット情報を自分で確認する。必要に応じて、第三者の目も借りながら販売状況を確かめる。そして、囲い込みを確信したら、媒介契約を解除して不動産会社を変える。

この流れを、順番に見ていきましょう。

対策27:レインズを定期的に確認する

囲い込みを疑ったら、まずはレインズの登録状況を確認してください。

専属専任媒介・専任媒介なら、登録証明書に記載されたID・パスワードを使い、売主さま専用画面で登録内容や取引状況を確認できます。

一般媒介は売主さま専用画面を使えませんが、レインズ事務局へ問い合わせて本人確認を受ければ、登録状況等を確認できます。

レインズで確認すべきポイントは4つあります。

レインズに登録されているか

専属専任媒介・専任媒介には、レインズへの登録義務があります。登録期限を過ぎても登録されていなければ、宅建業法違反です。

販売図面が登録されているか

物件情報は登録されていても、販売図面が登録されていないことがあります。SUUMOには間取図や写真が載っているのに、レインズには販売図面がない。これは、他社に紹介させたくないのではないか?と疑う必要があります。

取引状況が正しいか

「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」のうち、実態に合った表示になっているかを確認します。売主さまに申込みの報告がないのに、「書面による購入申込みあり」になっているなら、おかしいです。囲い込みを疑ってください。

販売価格・物件情報が最新か

値下げしたのに価格が変わっていない。空室になったのに「居住中」のままになっている。このように情報が古いままなら、警戒が必要です。

確認の手順はレインズ登録証明書の使い方|もらってない時の対処と売主ログインで詳しく解説しています。

真っ直ぐ不動産での売却を検討している方は、囲い込みクイック診断で、売却のプロがレインズの取引状況・広告転載区分まで確認して囲い込みリスクを4段で診断します。

レインズを見ても、囲い込みのすべてを見破れるわけではありません。しかし、宅建業法違反や明らかな異常を見つけられることがあります。販売活動中は、定期的に確認する習慣をつけてください。

対策28:ネット情報を確認する

レインズの確認に加えて、ネット上の広告状況も自分でチェックしてください。

見るべきなのは、次の2点です。

■ 他社も広告を出せているか
■ 依頼した不動産会社が、十分に広告しているか

確認方法は簡単です。

まず、物件名や価格をGoogleで検索します。

たとえば「ドリームマンション 7,000万円」と検索すれば、自社サイト、SUUMO、at home、LIFULL HOME’Sなど、どの媒体に掲載されているかを大まかに確認できます。

次に、SUUMO・at home・LIFULL HOME’Sなどのポータルサイトで、物件を直接検索してください。

確認できたら、広告の出方を見ます。

他社の広告も出ている場合

他社も物件を広告できる状態です。少なくとも、広告を使った囲い込みをする意思は、ほとんどないと判断できます。

ただし、他社から申込みが入った段階で、自社でも買主さまを見つけられそうだと判断し、急に囲い込みへ切り替える会社もあります。最後まで完全に安心はできません。

他社の広告がなく、自社の広告しかない場合

他社に広告を出させず、自社だけで買主さまを探している状態です。広告妨害による囲い込みを疑ってください。

他社の広告がなく、自社の広告も少ない場合

販売活動そのものが十分に行われていない可能性があります。物件を干して、値下げや業者買取へ誘導しようとしているケースも考えられます。

ネット情報だけで、囲い込みを完全に見破ることはできません。

ただし、広告の出方を見れば、担当者が物件を広く売ろうとしているのか、自社だけで抱え込もうとしているのかは、ある程度見えてきます。

対策29:不動産会社に協力してもらう

レインズやネット情報を確認しても、売主さま自身では確認できない項目があります。

知り合いに不動産会社の人がいるなら、無理のない範囲で協力をお願いするのも1つの方法です。

業者しか見られないレインズの項目を確認してもらう

レインズには、業者しか確認できない項目があります。代表的なのが「広告転載区分」です。

依頼している不動産会社が、他社の広告を「可」にしているのか、「不可」にしているのかを確認できます。

「不可」なら、自社では広告する一方で、他社には広告を認めない設定です。対策28で確認したネット上の掲載状況と合わせれば、広告妨害による緩い囲い込みかどうかを判定できます。

不動産会社として物件確認をしてもらう

不動産会社の日常業務では、「この物件はまだ紹介できますか?」「価格変更はありますか?」「申込みは入っていますか?」「内覧は可能ですか?」と、他社へ物件確認の電話をします。

知り合いの不動産会社に協力してもらえれば、通常の物件確認を通じて、販売状況を確認することができます。

ただし、協力をお願いする相手にも業界内での立場があります。深く踏み込んだ確認を頼めば相手に負担をかけることもあります。協力してもらえない場合があることは理解してください。

【非推奨】 売主さま自身が業者を装って電話する・店舗へ突撃する

囲い込みを疑うと、「自分で電話して確かめたい」「店舗へ行ってレインズを見せてもらいたい」と思うかもしれません。

怒るのは当然です。信頼関係を壊しているのは仲介会社側であり、売主さまは被害者です。

ただし、売主さま自身が他社の営業マンを装って電話することや、感情のまま店舗へ突撃することはおすすめしません。

囲い込みをしている会社なら、その場で事実を認めるとは限りません。レインズの画面を見せてもらえず、話がこじれれば、その後の媒介契約の解除や会社変更まで余計に疲弊します。

まずは、レインズとネット情報を確認する。協力を得られる不動産会社があれば、その目も借りる。それでも囲い込みを確信したら、冷静に媒介契約を解除して会社を変える。

この順番で進めることをおすすめします。

対策30:媒介契約を解約して不動産会社を変更する

囲い込みを確信したら、媒介契約を解除して、別の不動産会社に変更してください。解約一択。これが、ゆめ部長の20年の結論です。

囲い込みを続ける会社に任せても、状況は変わりません。

担当者を信じて待っても、他社からの問い合わせはブロックされ続けます。レインズに登録されない。取引状況が実態と異なる。他社からの申込みが売主さまへ届かない。

そんな状態が続けば、販売の大切な時間だけが失われていきます。

そして、囲い込みの最終局面では、値下げや業者買取への誘導が始まります。

「このままでは厳しいです」
「業者買取しかありません」

こう説得され、相場を大きく下回る金額で手放すことになれば、売主さまの手残りは大きく減ってしまいます。

「3カ月の期間が終わるまで解除できない」
「違約金を請求される」

そう思い、解約をためらう売主さまもいます。

しかし、媒介契約は準委任契約です。専任・専属専任媒介の3カ月は、売主さまを長期間拘束しないために設けられた有効期間の上限であり、解約禁止期間ではありません。契約期間中でも、媒介契約は解除できます。

→ 解除の進め方や、費用を請求されるケース・されないケースは、媒介契約を解除したい|違約金の正体と引き止めの断り方で解説しています。

ただし、次の会社選びで同じ過ちを繰り返さないでください。

「囲い込みしません」と約束する会社を選んでも、両手仲介を狙う動機がある限り、また同じことが起こります。

本当に被害を止めるなら、「囲い込みできない」仕組みを持つ会社を選ぶこと。

これが、囲い込み対策30選を通じて、ゆめ部長が伝えたかった結論です。

→ 詳細は、対策1「囲い込みできない仕組みを選ぶ」で解説しています。

不動産売却の囲い込み対策に関するよくある質問(FAQ)

一般媒介と専任媒介、どちらが囲い込みされにくい?

どちらを選んでも囲い込みリスクは変わりません。

一般媒介はレインズ登録義務がなく、各社が本気で販売しないデメリットがあります。専任媒介はレインズ登録義務がありますが、担当会社が囲い込みをする可能性があります。契約形態より『囲い込みできない仕組みを持つ会社を選ぶ』ことが重要です。

大手と中小、どちらを選ぶべき?

会社の規模より、囲い込みをしない仕組みがあるかどうかで選ぶべきです。

大手は知名度がある分、売主さまも買主さまも集まりやすく、両手仲介を狙いやすい構造があります。規模が大きいほど囲い込みリスクが低いとは言えません。中小でもセラーズエージェント(売主さま専門)なら構造的に囲い込みができません。

囲い込みされていると確信したらどうすればいい?

媒介契約を解除し、別の不動産会社に変更してください。

専任媒介契約は3ヶ月で満了しますが、媒介契約は準委任契約のため、契約期間中でもいつでも解除できます。不動産会社に落ち度があれば費用も発生しません。契約書を確認し、解除の意思を書面で伝えましょう。

→ 媒介契約の解除方法の詳細は引き止められても費用なしで契約を解除する方法で解説しています。

セラーズエージェントは本当に囲い込みしない?

「囲い込みしない」ではなく「囲い込みできない」のが正確です。

セラーズエージェントは買主さまを担当しないため、両手仲介を狙う動機がありません。「二重の利益相反」が発生しない構造だから、口約束ではなく仕組みで囲い込みを排除しています。

囲い込みで損害を受けた場合、損害賠償請求できる?

囲い込みによる損害の因果関係を立証することは非常に難しく、弁護士に相談しても「勝訴は難しい」と言われるケースがほとんどです。「囲い込みがなければいくらで・いつ売れたか」という仮定の立証が求められますが、不動産取引に「もしも」の正解はなく、これが事実上不可能なのです。都道府県庁に通報しても、行政処分が下されることは稀です。事後の救済より、事前の予防(会社選び)が重要です。

→ 法規制の詳細は不動産売却の囲い込みは違法?|都庁に通報してわかった”動かない現実”で解説しています。

▼この記事のポイント
  • 囲い込みの根本原因は「二重の利益相反」。この構造を理解することが対策の第一歩
  • 最強の対策は「セラーズエージェント(売主専門)」を選ぶこと。口約束ではなく仕組みで囲い込みを排除
  • 「複数査定」「一般媒介」「レインズ確認」だけでは囲い込みは防げない
  • 無料サービス満載・手数料激安の会社には囲い込みを誘発する構造がある
  • 大手でも両手仲介を推奨する文化がある。「大手だから安心」は危険な思い込み

冒頭の「どの対策が本当に有効かわからない」という不安には、もう答えが出ています。決定打は1つ。あとは、その1つを選べる会社を見つけるだけです。

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