不動産の囲い込みとは?売主を裏切る仕組みの全体像|業界20年のプロが解説
「3ヶ月経っても内覧が1組しか来ない」
「担当者は熱心に動いてくれているのに、なぜか成約しない」
「他社から問い合わせがないと言われ続けている」
不動産を売却中の売主さま。こんな状況に心当たりはありませんか?
もしかすると、それは「囲い込み」の被害かもしれません。
囲い込みとは、売却の依頼を受けた不動産会社が、他社の買主さまを排除して自社で成約を狙う行為です。
ゆめ部長は、売主さまの利益より自社の利益を優先して両手仲介を狙い、売主さまの意向に反して他社の買主さまを排除するものを「悪い囲い込み」と定義します。一方、売主さまにメリットがあり、不動産会社が囲い込みのデメリットまで説明し、売主さまが内容を理解したうえで自分の判断でその売り方を選び、法律やルールにも反していないものを「良い囲い込み」と定義します。
囲い込みの怖さは、他社の買主さま候補を断られていても、売主さまにはその事実が見えないことです。もっと高く売れた可能性があっても、気づかないまま売却が終わってしまいます。
【 注意事項 】
この記事は不動産売買(売却)の囲い込みを専門に扱っています。「賃貸」のおとり広告や物件紹介の拒否とは問題の構造が異なる点に注意してください。
また、「買いたい物件を囲い込みされている」という買主さまの立場の方向けには、【実体験】囲い込みで買えない物件を契約できた方法|買主が取れる5つの選択肢で対処法を解説しています。
- 「悪い囲い込み」は、売主さまの利益より自社の利益を優先して両手仲介を狙い、売主さまの意向に反して他社の買主さまを排除する行為です
- 「良い囲い込み」は、売主さまにメリットがあり、不動産会社がデメリットまで説明し、売主さまが理解して自分で選び、法律やルールにも反しない売り方です
- 大手にも中小にも、囲い込みをする動機があります
- 囲い込みを直接禁止し、明確な罰則で取り締まる制度までは整っておらず、行政に通報しても解決は難しいのが現実です
- 手口を知っても見抜けないことがあり、対策をしても防ぎきれないことがあります
- だからこそ、最善策は不動産会社選び。囲い込みへの仕組み・約束・透明性まで比較して選ぶことです
不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が解説します。ゆめ部長は財閥系大手仲介会社から中小の不動産会社まで複数の会社で経験を積み、現在は売却専門の「真っ直ぐ不動産」を運営しています。大手・中小の両方を知るからこそ語れる「囲い込みの本質」をお伝えします。
まずは、囲い込みの定義・手口・対策・違法性をまとめて押さえてください。囲い込みの全体像をつかんだうえで、手口や対策を詳しく知りたい場合は、それぞれの専門記事で確認できます。
※本記事は2026年9月時点の情報に対応しています。
不動産の囲い込みとは?業界20年のプロが定義する
記事の最初に囲い込みの定義をまとめました。ここからは、その定義を詳しく見ていきます。
一般的な囲い込み|他社の買主さまを排除して自社で成約を狙う
不動産の囲い込みとは、売主さまから売却の依頼を受けた不動産会社が、他社からの購入申込や問い合わせを断り、自社だけで買主さまを見つけようとする行為です。
国交省の囲い込みの説明にも、「自社の利益のため」「売主・買主双方を媒介する目的」「故意に取引状況を隠す」「売主の意向に反して」「他社へ物件を紹介しない」といった要素があります。
特に重要なのが、「売主の意向に反して」という部分です。ゆめ部長が「悪い囲い込み」と「良い囲い込み」を分けるときも、ここが大きな境界線になります。
「悪い囲い込み」と「良い囲い込み」の境界線
意外に思われるかもしれませんが、囲い込み=すべて悪ではありません。
囲い込みの善悪は、売主さまの同意だけでは決まりません。ゆめ部長は、売主さまにメリットがあること、不動産会社が囲い込みのデメリットまで説明すること、売主さまが内容を理解して自分の判断でその売り方を選ぶこと、法律やルールに反していないことまで含めて判断します。
広告を制限する場合も、考え方は同じです。たとえば、売主さまが「近隣に売却を知られたくない」と希望し、買主さま候補が限られるデメリットまで説明を受けて理解したうえで、広告の範囲を自分で選ぶケースがあります。
一方、売主さまに無断で他社の広告を断り、自社だけで買主さまを見つけようとするのは別の話です。
制限を言い出したのが不動産会社でも、先ほどの条件を満たしていれば「良い囲い込み」です。
ゆめ部長は宅建マイスターとして、「不動産取引市場の公平性・公開性・透明性を担保するべきだ」という職業規範を掲げています。
ただし、法律やルールに反しない範囲で、この規範と売主さまが希望する売り方を天秤にかけるなら、優先されるのは売主さまの希望です。
宅建業法が縛る相手は不動産会社であって、売主さまではありません。自分の不動産をどう売るかを決める自由は、売主さまの側にあります。法律がそう設計されている根拠は、後の法規制の章で説明します。
良い囲い込み(説明を受け、理解して自分で選んでいる場合)
「良い囲い込み」の具体例が、真っ直ぐ不動産の「0円売却プラン」です。真っ直ぐ不動産が自社で買主さまを見つけ、売主さま・買主さまの双方を仲介します。仲介手数料は買主さまからだけ受け取り、売主さまの仲介手数料は0円です。
契約は一般媒介とし、売主さまにはレインズ(不動産会社間の物件データベース)へ掲載しないことにも同意してもらいます。一般媒介にはレインズへの登録義務がないため、登録義務にも違反しません。
- 売主さまは「仲介手数料0円」というメリットを明確に享受している
- 真っ直ぐ不動産は、レインズへ掲載せず、他社からの問い合わせを断るため、買主さま候補が限られるデメリットまで説明する
- 売主さまは内容を理解したうえで、自分の判断で0円売却プランを選ぶ
- 一般媒介を使い、レインズ登録義務などの法律やルールに反しない形で運用する
この場合、他社からの問い合わせを断っても「売主さまを裏切っている」とは言えません。売主さまと不動産会社が合意の上で、お互いにメリットがある取引をしているからです。
手口の章に出てくる「一般媒介を利用して登録を避ける」囲い込みとの違いは、同意の有無だけではありません。無断・誘導で使い、売主さまの意向に反して自社の利益を優先するなら「悪い囲い込み」。メリットとデメリットを説明し、売主さまが理解して自分で選び、法律やルールにも反していないなら「良い囲い込み」です。
悪い囲い込み(売主さまの意向に反して利益を害する場合)
一方、次のようなケースは「悪い囲い込み」です。
- 売主さまの利益より、自社の利益を優先して両手仲介を狙っている
- 売主さまの意向に反して、他社からの問い合わせや買主さま候補を排除している
- 売主さまには、他社の買主さまを排除している事実やデメリットを説明していない
- 売主さまはメリットを受けず、むしろ売却機会や価格面で不利益を受ける可能性がある
ここまでの違いを、表で整理します。
| 区分 | 不動産会社の行動 | 売主さまの判断 | 売主さまのメリット | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 「良い」囲い込み | デメリットまで説明する | 理解して、自分で選ぶ | あり(手数料0円など) | 法律・ルール内ならOK |
| 「悪い」囲い込み | 自社利益を優先し、意向に反して排除する | 排除を知らない・自分で選んでいない | なし/不利益の可能性 | NG |
囲い込みの動機は、両手仲介で利益が増えること
では、なぜ不動産会社は囲い込みをするのでしょうか。大きな理由は、両手仲介で得られる利益にあります。
両手仲介になると、片手仲介と比べて利益が約2.5〜3.5倍に膨らむことがあります。
ここでは、片手仲介は売主さま・買主さまのどちらか一方から、両手仲介は双方から仲介手数料を受け取る場合で比較します。
たとえば5,000万円の物件なら、片手仲介で約156万円、両手仲介で約312万円。

両手仲介の動機を考えるうえで重要なのは、ここです。受け取る仲介手数料は2倍になっても、1件の取引にかかる経費はほとんど変わりません。そのため、利益は片手仲介の約2.5〜3.5倍に膨らみます。

この構造がある限り、囲い込みをしたくなる動機は残ります。特に、担当者の成績評価が両手仲介を優遇する会社では、会社が「囲い込みしません」と約束するだけでなく、その約束をどう守るのかまで確認することが重要です。
ただし、両手仲介になったからといって、囲い込みが行われたとは限りません。他社からの問い合わせ・内覧・購入申込を妨害せず、自社で見つけた買主さまとの契約がまとまったなら、結果として両手仲介になっただけです。問題なのは、売主さまの利益より自社の利益を優先して両手仲介を狙い、売主さまの意向に反して他社の買主さまを排除することです。
→ 詳しい計算と図解は両手仲介とは?会社の利益が約2.5〜3.5倍に膨らむ仕組み|片手仲介との違いで解説しています。
実際、ゆめ部長が売れない原因を調べてみると、囲い込みが確認される案件は思ったよりも多くありません。ずっと売れない状態が続けば、不動産会社も媒介契約を解除されるくらいなら、片手仲介でも成約させたいと考えるからです。
売れないからといって、囲い込みだと決めつけることはできません。逆に、売れたからといって、囲い込みがなかったとも言い切れません。売れたかどうかだけで、囲い込みの有無は判断できないということです。
囲い込みの本質にある「二重の利益相反」
第一の利益相反は、売主さまVS買主さまです。両手仲介では、高く売りたい売主さまと、安く買いたい買主さまを同じ会社が担当します。
第二の利益相反は、売主さまVS不動産会社です。高く売りたい売主さまと、両手仲介で報酬を最大化したい不動産会社の利益がぶつかります。
この2つが同時に存在するのが「二重の利益相反」です。売主さまの意向に反して他社の好条件の買主さまを排除する「悪い囲い込み」は、第二の利益相反が売主さまへの裏切りとなって表れたものです。
→ 二重の利益相反を詳しく知りたい方は、不動産仲介の利益相反とは?会社を分けても消えない二重構造|業界20年のプロが解説
→ 両手仲介で利益が約2.5〜3.5倍に膨らむ仕組みは、両手仲介とは?会社の利益が約2.5〜3.5倍に膨らむ仕組み|片手仲介との違い
囲い込みされると何が起きる?4つの深刻なデメリット
囲い込みの影響は、単に「買主さま候補が減る」だけではありません。売却価格・売却期間・市場の反応、そして不動産会社との関係まで、4つの問題につながります。
①高値成約の可能性が下がる
囲い込みによって高値成約の可能性が下がる理由はシンプルです。買主さま候補の数が制限されるからです。
通常、レインズ(不動産流通機構のデータベース)に物件を登録すると、全国の不動産会社が買主さまに紹介できます。買主さま候補が増えれば競争が生まれ、価格交渉で有利になります。しかし囲い込みをされると、他社からの問い合わせが遮断されます。
具体例で考えてみましょう。売主さまの物件に興味を持った買主さまが3人いたとします。
- 買主さまA:他社経由の買主さま。5,200万円で購入希望
- 買主さまB:他社経由の買主さま。5,100万円で購入希望
- 買主さまC:自社で見つけた買主さま。4,900万円で購入希望

囲い込みをしている不動産会社は、買主さまAと買主さまBの存在を売主さまに伝えません。「問い合わせがありません」と報告し、買主さまCとの契約を進めます。
この例では、5,200万円で買いたいAではなく、4,900万円のCと契約するため、売主さまは300万円安く売ることになります。
300万円は、月5万円ずつ貯金しても5年かかる金額です。しかも売主さまは、「他にもっと高く買いたい人がいた」という事実を知らないまま売却を終えます。
「囲い込みでも売主に損はさせていない」は本当?
ここで、こんな反論についても考えてみます。「囲い込みでも高く売れた事例はある。売主に損はさせていない」という主張です。
まず、正直に認めます。囲い込みをされても、相場より高く売れる事例は実在します。
ただし、それは比較対象を消した上での結果論です。囲い込みでは、他社経由の買主さま候補が最初から締め出されます。
そのため、「囲い込まなければ、いくらで売れたのか」は誰にもわかりません。比較できない以上、「売主さまに損はさせていない」と証明することもできません。
そして、売主さまにとって売却は、一生に一度か二度の1回勝負です。上振れた事例があることは、その方法を選ぶ理由になりません。
選ぶべきは、平均値+αを安定して狙いながら、囲い込みが原因の下振れをほぼゼロにできる売却方法です。
ここでいう上振れ・下振れは、売却時点の市況を基準にした話です。市況が動くリスクは誰にも消せません。消せるのは、囲い込みが原因の下振れだけです。
囲い込みの本当の怖さは、ここにあります。売主さま本人は「満額で売れた、大満足」とゴールする。しかし実際には、他社の買主さま候補が締め出され、もっと高く売れたかもしれないのに、挑戦しないまま終わっています。
損をしていても、本人は一生気づけません。
だからゆめ部長は「満足より、納得。」と言い続けています。納得とは、気分ではなく「やれることは全部やった」と確かめられた状態のこと。すべての買主さま候補に届く売り方を選んでこそ、納得して売却を終えられると考えています。
②売却が長引くこともある
「両手仲介を狙っているなら、早く自社で買主さまを見つけてくれるのでは?」と思うかもしれません。
確かに、自社で買主さまが見つかれば、早く売れることもあります。ただ、他社が連れてきた買主さまを断れば、本来なら成約できた機会を逃してしまいます。その結果、売却が長引くこともあるのです。
ここで怖いのは、売主さまの心が折れてしまうことです。
売れなければ不安になります。内覧のために大事な休日を使っても結果が出ない。そんな状況が続けば、「もう面倒だから、早く終わらせたい」と思ってしまうのも無理はありません。
そこで、値下げや業者買取を勧められる。売却の機会を狭めた会社が、疲れた売主さまを安く売る方向へ誘導するのです。
「干す」(意図的に販売活動を手抜きする)→「値こなし」(売れないと言って値下げさせる)→「業者買取(市場価格の70〜90%・中央値80%)」へ誘導。こうして、売主さまが十分な販売機会を得ないまま、安い価格で手放す流れが生まれます。
この一連の搾取ルートの全体像は、別記事で詳しく解説しています。
→ 干すなどの個別手口は 不動産売却の囲い込みの見抜き方|業者の手口30選を6パターンで分類、値こなしから業者買取までの搾取ルートは 不動産業界の闇|高値査定→干す→値こなし→業者買取→専任返しで売主を搾取する仕組み で解説しています。
ここで、「売却期間が長い=失敗」ではないことも付け加えておきます。時間をかけて売ることと、囲い込みによって売れずに時間だけが過ぎることは別です。
ゆめ部長は、2年・3年売れなかった物件も成約に導いてきました。新しく家を探し始めた買主さまにとって、その物件が一番の候補になることもあります。競合物件が売れたことで、残っていた物件に買主さまの目が向くこともあるからです。
たとえば、2年売れなかった土地を紹介したときのことです。買主さまは「何か問題があるのでは」と心配していました。
そこで、近隣への聞き込みや市役所での調査を行い、不安を解消。建物プランも確認した上で、購入の準備を進めました。
すると、同じ時期にほかの買主さまも動き出し、合計3組が検討する競合になりました。最後は価格と仲介手数料を調整し、ゆめ部長が担当する買主さまが契約に至りました。
長く売れなかったからといって、いつまでも買い手が付かないわけではありません。
むしろ問題なのは、仲介会社が「ずっと売れていないから、案内しても決まらないだろう」と決めつけ、紹介しなくなることです。
掲載期間が長くなると、価格交渉は増えると感じます。ただ、価格交渉をいったん断っても、その後、小幅な価格交渉でまとまることは普通にあります。
だからゆめ部長は、「売れ残りだから値下げするしかない」とは考えていません。
「高値で粘り勝ちも、立派な戦略」です。買主さまに情報を届けながら、戦略を持って待つことと、囲い込みで売却の機会を奪われ、疲れ果てて諦めることは違います。
③市場の反応を確認できなくなる
もう1つ、見落とされがちな深刻な問題があります。囲い込みをされると、売却中の判断材料がすべて偽物になります。
売却活動中、売主さまは「値下げするか」「売出価格を調整するか」「待つか、売るか」を、市場の反応を見ながら判断します。
ところが囲い込みをされると、「反響がない」のが市場の答えなのか、不動産会社に遮断された結果なのか、売主さまには区別できません。
これでは、狂った計器を見ながら操縦するようなものです。
▶︎不動産売却力の方程式|物件力×(営業力+撮影力+宣伝力)で数百万円の差がつく
もし買い手市場へ転換したら、「高値で出したとき、市場がどう反応したか」というデータは、これまで以上に売却戦略の土台になります。市場の反応を正しく把握できないことの影響も大きくなります。
不動産は、たった1人の買主さまが買えばいい。そして、高い・安いを決めるのは市場です。
だからこそ、市場に出して反応を見ながら戦略を調整する。これが、ゆめ部長の考える売り方です。
ただし、この売り方は、すべての買主さま候補に情報が届くオープンな環境でなければ機能しません。
④不動産会社が「敵」になる
ここまで、囲い込みによる金銭的な損失や売却への影響を見てきました。ただ、ゆめ部長が最も深刻だと考えている問題は、そこではありません。
「味方だと思っていた人が、実は敵だった」という構造です。
たとえば、こんな会話が現場では繰り返されています。
売主さま:「最近、反響はどうですか…?」
担当者:「うーん、問い合わせがないんですよね。そろそろ価格を見直しませんか?」
実際には他社経由で複数の問い合わせが入っていても、担当者が「ない」と言えば、売主さまは信じるしかありません。
離婚訴訟で、自分の弁護士が相手側にも有利になるように動いている──そんな状況を想像してください。囲い込みの構造は、まさにこれと同じです。
味方だと思っていた人が、実は敵側に寝返っている。しかも、売主さまはそれに気づきません。
これが、ゆめ部長が囲い込みを「業界最大の闇」と呼ぶ理由です。
囲い込みは大手だけの問題ではない
では、囲い込みは「一部の悪い会社」だけの問題なのでしょうか。大手と中小では、囲い込みをする動機が少し違います。それぞれの実態を見ていきましょう。
大手では、会社の経費構造が囲い込みの動機になる
「大手なら安心」「コンプライアンスがしっかりしている」。そう思っている方は多いでしょう。確かに最近は、大手で歩合給の廃止やノルマの撤廃が進み、担当者個人が無理に囲い込みをするインセンティブは下がっています。
ただ、それで囲い込みがなくなったわけではありません。問題は「個人」ではなく「会社」の構造にあるからです。
大手は一等地の店舗賃料、大量の広告費、多数の正社員の人件費といった、大きな固定費を抱えています。
固定費が大きいほど、1件あたりの利益を増やせる両手仲介は会社にとって魅力的です。担当者個人のノルマがなくなっても、会社として両手仲介を増やしたい動機は残ります。この構造が変わらない限り、囲い込みの動機も消えません。
ゆめ部長が財閥系大手に勤務していた頃、朝礼で「この物件は週末チラシを入れるから他社の内覧はNG」と宣言する光景を何度も見てきました。
担当者が1人でこっそり他社を断っていたわけではありません。社内で共有された方針として、売主さまの物件を見たい買主さまが締め出されていたのです。
▶︎「住友の囲い込み50%・三井40%」は本当?|7年分の元データで”数字の作られ方”を突き止めた
もう一つ、大手で気をつけてほしいのが「すぐ売れた」パターンです。レインズ登録には、専任媒介で7営業日、専属専任で5営業日以内という期限があります。この期間に、物件を自社の買主さま候補へ優先的に紹介することがあります。
売主さまは「すぐ売れてよかった」と思いがちです。ただ、広く競争させれば、もっと高く売れた可能性があります。これも広い意味での囲い込みで、売主さまは他社の買主さま候補と比較する機会を失っていたことに気づきません。
中小では、歩合給やノルマが囲い込みの動機になる
「大手が危ないなら、中小なら安心?」そうとも限りません。中小には、担当者個人が囲い込みに走りやすい別の理由があります。
中小では、歩合給や個人ノルマを採用している会社もあります。片手仲介か両手仲介かで担当者の手取りが大きく変わるなら、両手仲介を狙いたくなる動機は強くなります。
また、大手のようなコンプライアンス部門や内部監査の体制がなく、担当者の動きを社内でチェックしにくい会社もあります。
囲い込みの動機は、両手仲介の構造から生まれる
大手では会社の経費構造、中小では担当者個人の歩合給やノルマが、囲い込みの動機になります。動機の生まれ方は違っても、両手仲介で利益を増やしたいという根っこは同じです。
日本の不動産仲介では、売主さま側と買主さま側を同じ会社が担当することが合法です。この構造がある限り、囲い込みの動機は消えません。
そして、囲い込みの最大の問題は「被害者が被害に気づかない」ことです。「問い合わせがなかった」と言われれば、売主さまは信じるしかありません。被害が表面化しにくいため、社会問題にも法規制にもつながりにくい。そんな悪循環が続いています。
→ 関連記事:不動産業界の闇|高値査定→干す→値こなし→業者買取→専任返しで売主を搾取する仕組み
囲い込みの手口の全体像
では、囲い込みは具体的にどんな手口で行われるのでしょうか。まずは全体像からつかんでください。
囲い込みの手口は、大きく2つの系統に分けると理解しやすくなります。レインズに登録しない手口と、レインズには登録したうえで販売活動を制限・妨害する手口です。

この2つをさらに分けると、全部で6パターンになります。レインズに登録しない手口が2つ、登録後の妨害が広告・問い合わせ・内覧・申込の4つです。
他社経由の買主さまから問い合わせや購入申込があっても、それを売主さまに届かせない。こうした囲い込みは、売主さま自身が見抜くのが極めて困難です。
「心の専任」「未公開物件ブランディング」「購入申込の金額改ざん」など、巧妙なものもあります。全30手口の見抜き方・対処法は専門記事で解説しています。
→ 不動産売却の囲い込みの見抜き方|業者の手口30選を6パターンで分類を読む
囲い込みと法規制|直接の罰則がない現実
では、こうした囲い込みは、違法行為として取り締まれないのでしょうか。「違法なら通報すれば止められるはず」と考える売主さまも多いと思います。
しかし、囲い込みを直接禁止し、明確な罰則で取り締まる制度までは整っていません。
たとえば、「すでに購入申込みが入っています」「売主さまの都合で案内できません」と他社からの紹介を断られたとします。
それが事実なのか、囲い込みのための説明なのかを、売主さま側から確認するのは簡単ではありません。宅建業法には信義誠実義務やレインズ登録義務がありますが、「他社からの問い合わせを断ってはいけない」という明確な規定や、囲い込みへの直接的な罰則はありません。
売主さまが選べる「公開する・しない」の範囲
レインズへの登録が義務になるのは、専任媒介・専属専任媒介だけです。一般媒介には、そもそも登録義務がありません。
広く公開して売るか、公開せずに売るか——法律はこの選択を、媒介契約の選び方=売主さまに委ねています。境界線の章で「優先されるのは売主さまの希望」と書いた根拠は、この設計にあります。
専任・専属専任を選ぶと、レインズ登録は不動産会社の法定義務になり、売主さまの希望でも特約でも外せません。
ここで、レインズへの登録と、ポータルサイトへの広告掲載を分けて考えてください。レインズは不動産会社間のデータベースです。ポータルサイトに広告を出す義務はないため、「広告なしで売る」だけなら専任でも可能です。
レインズにも登録せず、他の不動産会社にも情報を公開しない「完全非公開」で売りたいなら、一般媒介を選ぶか、仲介会社を入れない直接売買になります。
ここまでの話は、一般的な自宅売却を前提にしています。自宅を1回売るだけなら宅建業の免許は必要ありません。一方、個人でも反復継続して商売として不動産を売買する場合は、免許が必要になります。
公開しない自由と、売主さまへの誠実さは別
売主さまの希望を優先するとしても、譲ってよいのは市場への公開性だけです。売主さまに対する誠実さ・透明性——騙さない・隠さない・報告する——まで譲ってよいわけではありません。
囲い込みへの規制には限界がある
規制ゼロというわけではありません。2025年1月施行の宅建業法施行規則改正で、レインズへの取引状況(ステータス)登録が義務化され、不正なステータス登録は宅建業法第65条第1項の指示処分の対象になりえます。
取引状況の虚偽登録を規制する一歩にはなりましたが、他社からの問い合わせや内覧を断る手口までなくなったわけではありません。
ゆめ部長自身、囲い込みが疑われるケースを東京都庁に通報し、「これだけでは宅建業法違反とは言えません」と回答された経験があります。通報すれば必ず解決する、という問題ではないのが現実です。
→ 都庁に通報してわかった「動かない現実」、行政処分の実態、通報先は 不動産売却の囲い込みは違法?|都庁に通報してわかった”動かない現実” で詳しく解説しています。
囲い込み対策の結論|最後は会社選び
法律や制度だけで囲い込みを完全に防ぐことはできません。だからこそ、売主さま自身が会社や売り方をどう選ぶかが重要になります。ここからは、囲い込み対策の考え方を見ていきましょう。
「囲い込み対策」を検索すると、一般媒介にする・レインズを確認する・「囲い込みしません」と書面で約束させる、といった方法が出てきます。
どれも無意味ではありません。ただ、これだけでは防げません。
一般媒介でも、囲い込みは起こり得ます。レインズに登録されていても、他社からの問い合わせや内覧を断られれば囲い込みはできます。書面で約束しても、評価制度が両手仲介を優遇していれば守られないことがあります。
業界20年の経験から、本当に効く対策は3つに絞られます。
- ①囲い込みへの仕組み・約束・透明性を確認して会社を選ぶ
- ②安さや無料の理由を説明できない会社を避ける
- ③早期発見のサインを知っておく
数週間経っても他社からの問い合わせがまったくない場合は、囲い込みを疑うサインの1つです。
②について、1つ補足します。避けるべきは「無料」そのものではなく、なぜ無料にできるのか・どこから利益を得るのかを説明しない会社です。
仕組みとデメリットまで説明し、売主さまが内容を理解したうえで自分の判断で選び、法律やルールにも反していない無料サービスは別です。後の章で紹介する0円売却プランも、この考え方で設計しています。
大切なのは、「囲い込みしません」という言葉だけで判断しないことです。囲い込みを防ぐ仕組み・約束・透明性まで確認してください。
あわせて、レインズへの登録内容を売主さま自身で確認することも大切です。登録証明書の見方や売主さま専用ログインの使い方は、レインズ登録証明書の使い方|もらってない時の対処と売主ログインで解説しています。
→ 全30対策を6つの視点で整理した完全版は不動産売却の囲い込み対策30選|やるべきこと・避けるべきことを完全網羅で解説しています。
「もしかして囲い込みされている?」と不安な方へ。真っ直ぐ不動産では、無料の「囲い込みクイック診断」を行っています。物件URLを送るだけで、翌営業日にプロが6項目を調査・報告します。
囲い込みだけでなく、売れない原因を広く確認したい場合はこちらです。
→ 不動産売却のセカンドオピニオンとは?売れない原因を6項目で診断
「悪い囲い込み」を防ぐ3つの売却プラン

ここまでの対策を踏まえて用意したのが、真っ直ぐ不動産の3つの売却プランです。
3つのプランに共通するのは、売主さまに無断で利益を害する「悪い囲い込み」をしないことです。ただし、そのための方法は同じではありません。
仕組みで封じるか、約束と透明化で防ぐか、メリットとデメリットを理解した売主さまが自分で選び、法律やルールの範囲で囲い込みを活用するか——という違いがあります。
オープン売却プラン(100%片手仲介)は、囲い込みが「できない」仕組みです。真っ直ぐ不動産は売主さま側の仲介に徹し、買主さまは他社が見つけるため、両手仲介を狙う動機がありません。
「絶対に囲い込みされたくない」「不動産会社には売主さま側に立ってほしい」という方に向いています。
→ 「囲い込みしません」を信じられますか?|囲い込みできないオープン売却プラン
真っ直ぐ売却プラン(囲い込みしない約束+フルサポート)は、囲い込み禁止を契約書に明記し、売主さまがリアルタイムでレインズを確認できる仕組みを用意しています。プロによる写真撮影・3D内覧・動画作成などのフルサポートに加え、両手仲介時は売主さま・買主さま双方の仲介手数料を25%OFFにして、囲い込みを狙う金銭的な動機も減らします。
→ 真っ直ぐ売却プランの詳細
0円売却プラン(仲介手数料無料)は、「良い囲い込み」の具体例です。真っ直ぐ不動産が自社で買主さまを見つけ、売主さま・買主さまの双方を仲介します。仲介手数料は買主さまからだけ受け取り、売主さまの仲介手数料は0円です。
真っ直ぐ不動産が囲い込みのデメリットまで説明し、売主さまが内容を理解したうえで自分の判断で選び、法律やルールに反しない契約設計を前提に、仲介手数料0円を実現するプランです。
「自分にはどの売却プランが合うんだろう?」と迷ったら、囲い込み・仲介手数料・向いている売主さまの違いを比較してみてください。
→ 【かんたん診断】ぴったりの売却プランはどれ?|真っ直ぐ不動産の3つのプランを比較
「絶対に囲い込みされたくない」なら、まずはオープン売却プランを検討してください。100%片手仲介なので、囲い込みができない仕組みです。
よくある質問(FAQ)
完全には防げません。ただし、リスクは下がります。
一般媒介契約なら、複数の会社に同時に依頼できます。1社が囲い込みをしても、他社が買主さまを見つける可能性があります。
ただし、一般媒介にはデメリットもあります。各社が「自分のところで決まらないかもしれない」と考え、広告費や労力をかけにくくなることがあります。
結局、大切なのは媒介契約の種類だけで判断しないことです。囲い込みにどう向き合う会社なのか、その仕組み・約束・透明性まで確認して選ぶことが重要です。
避ける必要はありません。専任媒介そのものが、囲い込みの原因ではないからです。
専任媒介・専属専任媒介は、売却を1社に任せるため、販売活動の責任が明確になります。
問題は「専任だから囲い込みされる」のではなく、「囲い込みをする会社に専任で依頼するから被害に遭う」ということです。
媒介契約の種類だけでなく、囲い込みへの仕組み・約束・透明性まで確認して会社を選ぶことが重要です。
売主さまに無断の囲い込みが確認できれば、媒介契約を解除する理由になり得ます。売主さまの利益を害する囲い込みは、信義誠実義務に反する行為だからです。
ただし、不動産会社が「囲い込みはしていない」と主張した場合に備えて、証拠を残しておくことが大切です。レインズのステータス記録や、他社へ問い合わせた結果を保存しておきましょう。
媒介契約の解除手続き全般については媒介契約を解除したい|違約金の正体と引き止めの断り方で解説しています。
いいえ、登録されているだけでは安心できません。
レインズに登録されていても、囲い込みはできます。
・ 他社からの問い合わせに対応しない
・ 「売主さまの都合で案内できない」と断る
・ 購入申込みや問い合わせの存在を売主さまに伝えない
レインズへの登録は、囲い込みを防ぐためのスタートラインに過ぎません。
まとめ
大事なのは、「どんな手口があるか」を知ることだけではありません。囲い込みにどう向き合っているのか、仕組み・約束・透明性まで比較して不動産会社を選ぶことです。
-
囲い込みには2種類ある:
「悪い囲い込み」は、自社の利益を優先して売主さまの意向に反し、他社の買主さまを排除する行為。「良い囲い込み」は、売主さまにメリットがあり、不動産会社がデメリットまで説明し、売主さまが理解して自分で選び、法律やルールにも反しない売り方 -
二重の利益相反:
売主さまvs買主さまだけでなく、売主さまvs仲介会社の利益相反こそが深刻。味方だと思っていた担当者が「敵」になる構造 -
大手にも中小にも囲い込みの動機がある:
大手には会社レベルの構造的動機、中小には担当者個人の歩合・ノルマという動機があり、規模に関係なく囲い込みが起こりうる -
法規制だけでは守れない:
囲い込みを直接禁止し、明確な罰則で取り締まる制度までは整っておらず、行政に通報しても解決は難しい -
最重要対策は不動産会社選び:
囲い込みにどう向き合うのか、仕組み・約束・透明性まで比較して選ぶ
■ ゆめ部長からのメッセージ
だからこそ、最初の不動産会社選びに時間をかけてください。
見るべきなのは、「囲い込みしません」という言葉だけではありません。囲い込みにどう向き合うのか、その仕組み・約束・透明性まで確認して不動産会社を選ぶこと。これが、ゆめ部長の20年の結論です。
真っ直ぐ不動産の3つの売却プランを、会社選びの物差しとして使ってください。真っ直ぐ不動産に依頼しなくてもOKです。同じ基準で他社の売り方も比較し、「ここなら任せたい」と納得できる会社を選んでもらえれば、それが一番です。
いま売却中で「もしかして囲い込みされている?」と不安を感じた売主さまは、無料の「囲い込みクイック診断」で現状を確認してください。
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