不動産業界の闇|高値査定→干す→値こなし→業者買取→専任返しで売主を搾取する仕組み
「なぜか内覧が来ない」「担当者の対応に違和感がある」「売れない原因がわからない」──こんな不安を抱えていませんか?
もしかすると、その物件はいま、不動産業界の「闇」に巻き込まれているのかもしれません。
ゆめ部長が暴くのは、売却物件をベルトコンベアーに乗せて流すだけで楽して稼ぐ、不動産会社の営業手法です。
- 結論1:不動産会社には売主さまを搾取する「理想的なルート」が存在する
- 結論2:高値査定→囲い込み→干す&振り替え→値こなし→業者買取→専任返しの流れで、往復ビンタで手数料12%の手数料を狙っている
- 結論3:6つの闇は単独ではなく「連動」して売主さまを追い詰める
- 結論4:闇は囲い込みだけではない。営業マンの能力不足、売却プランの弱さ、広告費削減も売れない原因
- 結論5:だからこそ、不動産会社選びだけは絶対に妥協してはいけない
「往復ビンタで手数料12%」とは、ゆめ部長が20年の経験から名付けた表現です。悪徳業者の”搾取ベルトコンベアー”を完走すると、両手仲介を2回繰り返して手数料12%+24万円を手にできます。【片手の手数料(3%+6万円)×2×2】
不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が解説します。
【 注意事項 】
この記事は不動産売買(売却)における業界の闇を専門に扱っています。「賃貸」のおとり広告や物件の紹介拒否とは問題点が異なりますのでご注意ください。
※本記事は2026年7月の最新情報に対応しています。
→ 囲い込みの全体像は囲い込みとは?で詳しく解説しています。
不動産業界の闇とは?売却物件を”ベルトコンベアー”に乗せて楽して稼ぐ仕組み
不動産会社が売主さまを騙して利益を最大化する方法──それは、工場のベルトコンベアーによく似ています。売却物件を投入口に乗せてしまえば、あとは流れ作業で手数料が膨らんでいくからです。
【 このセクションのポイント 】
高値査定→囲い込み→干す&振り替え→値こなし→業者買取→専任返し。この流れを完走すると、不動産会社は両手仲介×2回=往復ビンタで手数料12%+24万円(税別)を手にします。全ルート通るケースは稀ですが、各手口が連動していることを理解しておくべきです。
搾取ルートの全体像【 図解 】
悪徳業者が思い描く「理想的なシナリオ」を、ベルトコンベアーの流れで図解します。
高値査定(餌を撒く)
↓
囲い込み(他社をブロック)
↓
干す & 振り替え(並行して実行)
↓
値こなし(売主さまを追い詰める)
↓
業者買取で両手仲介(1回目:手数料6%+12万円)
↓
専任返しで両手仲介(2回目:手数料6%+12万円)
↓
【 結果 】往復ビンタで手数料12%+24万円(税別)
なぜ「往復ビンタで手数料12%」になるのか?
不動産仲介の手数料上限は「成約価格×3%+6万円」です(400万円超の場合)。
両手仲介とは、1社が売主さま・買主さまの双方から仲介手数料を受け取る取引の形です。この場合、売主さまから3%+6万円、買主さまからも3%+6万円、合計6%+12万円を受け取れます。
→ 両手仲介の利益構造の詳細は両手仲介とは?で解説しています。
搾取ルートを完走すると、以下の流れで2回の両手仲介が成立します。
1回目の両手仲介(業者買取)
売主さまから3%+6万円、買取業者から3%+6万円 → 合計6%+12万円
2回目の両手仲介(専任返し)
買取業者が再販売する際、元の仲介会社に専任で依頼。買取業者から3%+6万円、新しい買主さまから3%+6万円 → 合計6%+12万円
合計:12%+24万円(税別)
5,000万円の物件なら、手数料だけで約624万円(税別)になります。
会社員の平均年収(約460万円)を1年以上働いて稼ぐ金額。それが、たった1つの物件から不動産会社に吸い上げられる計算です。
→ 仲介手数料の計算方法は仲介手数料ガイドで確認できます。
全ルート通るとは限らない前提
誤解しないでください。すべての不動産会社がこのルートを狙っているわけではありません。
ただし、各手口が「連動している」ことを理解しておくことが重要です。高値査定だけ、囲い込みだけ、値こなしだけ──単独でも十分に被害は大きいですが、これらが組み合わさると被害は何倍にも膨れ上がります。
そして、ベルトコンベアーの投入口は、高値査定だけではありません。
知り合いからの紹介で任せてもらう、過去の取引のつながりから声をかける──売却物件という”素材”を集める入口は、いくらでもあります。
それでも、売主さまに知ってほしいのは、高値査定が最大級の投入口だという事実です。一括査定の普及で、この入口は年々広がり続けています。
だからといって、高値査定だけ警戒すれば安全というわけでもありません。どの工程からでもコンベアーには乗せられる──6つの闇を通しで理解しておくことが、いちばんの防御力になります。
まずは、その最大の投入口である高値査定から見ていきましょう。
高値査定|媒介契約を取るための餌【闇①】
ベルトコンベアー最大の投入口は「高値査定」です。
【 このセクションのポイント 】
高値査定は媒介契約を取るための「餌」です。売れないのはわかっている。後で値下げさせればいい——これが悪徳業者の本音です。一括査定サイトの競争激化がこの問題を悪化させています。
高値査定をする理由
不動産会社が高値査定をする理由は単純です。媒介契約を取りたいから。
複数社が競合する一括査定では、高い査定額を出した会社が選ばれやすくなります。「うちなら5,000万円で売れます!」と言われれば、「4,500万円が妥当です」と言う会社より魅力的に見えるでしょう。
背景には、集客コストの重さがあります。一括査定サイトの一般的な相場で試算すると、問い合わせ単価15,000円 ÷ 媒介契約率8% ÷ 成約率30% = 約62.5万円。ひとつの成約にたどり着くまでに、これだけの広告費が先に消えていく計算です。
先行投資を回収するには、まず媒介契約を取るしかありません。だから、実際に売れる価格より高い査定額で売主さまの心をつかみにいく──高値査定は、この構造から生まれます。
しかし、査定価格が高いからといって、その価格で売れるわけではありません。
査定価格はあくまで「この価格で売り出してみましょう」という提案に過ぎません。実際に売れるかどうかは市場が決めます。
高値査定の手口
ゆめ部長が見てきた高値査定の手口を紹介します。
手口1:成約事例の恣意的な選択
同じマンションでも、条件の良い部屋の成約事例だけを持ってきて「この価格で売れます」と説明する。売却する部屋との違い(階数、方角、眺望など)は意図的に無視します。
手口2:「チャレンジ価格」という魔法の言葉
「まずはチャレンジ価格で出してみましょう。反応を見てから調整すればいいですよ」と言われると、売主さまとしては断りにくい。しかし、最初から売れない価格で出すと、物件の鮮度が落ちるリスクがあります。
手口3:一括査定対策としての高値提示
一括査定サイト経由の売主さまには、競合他社より高い査定額を出すのが常套手段です。契約さえ取れれば、後から値下げを迫ればいいのですから。
高値査定は「搾取ルートの入り口」
高値査定の本当の恐ろしさは、搾取ルートの入り口になることです。
高値で売り出す → 売れない → 囲い込みで情報を遮断 → さらに売れない → 「やっぱり高かったですね」と値こなし → 業者買取へ誘導
この流れが見えていますか?
見えたなら、もう罠の半分は避けられます。
高値査定は、売主さまにとって「嬉しい提案」に見えますが、実は罠の入り口です。
※高値査定の見破り方・対策の詳細は、カテゴリ「査定」の記事で解説しています。
餌に食いついた売主さまを待っているのが、次の「囲い込み」です。
囲い込み|両手仲介を狙う最悪の裏切り【闇②】
高値査定で媒介契約を取ったら、次は「囲い込み」です。
【 このセクションのポイント 】
両手仲介は片手仲介の2倍以上儲かります。だから他社に買主を見つけさせない。レインズに登録しない、登録しても内覧させない——これが囲い込みです。囲い込みの動機の核心は、売主さまと仲介会社の利益相反にあります。
→ 囲い込みの全体像は囲い込みとは?で解説しています。
囲い込みの手口(代表例)
囲い込みには大きく2つのパターンがあります。
パターンA:レインズに登録しない
専任媒介契約なら7営業日以内、専属専任媒介契約なら5営業日以内にレインズへの登録が義務付けられています。しかし、悪徳業者はこの義務を無視、または遅延させます。
→ 登録義務と罰則の詳細はレインズの登録義務と違反の罰則で解説しています。
パターンB:登録しても紹介を妨害する
レインズに登録しても、他社からの問い合わせを「商談中です」「担当者が不在です」と断る。電話での妨害は証拠が残りにくく、2025年1月の法改正後も立証が困難です。
他社:「〇〇マンションの件、お客さまをご案内したいのですが」
担当:「あー、あの物件は今ちょうど商談中でして…申し訳ありません」
──実際には商談などしていない。電話を切った後、何事もなかったように仕事を続ける。
→ 囲い込みの手口詳細は囲い込み手口30選へ
→ 違法性と行政処分の実態は囲い込みは違法?(行政処分の実態)へ
囲い込みのデメリット(売主さま視点)
囲い込みによって売主さまが受ける被害は深刻です。
被害1:売却機会の損失
他社が紹介できない = 買主さま候補が激減します。本来なら1ヶ月で売れた物件が、半年以上かかることも珍しくありません。
被害2:「偽りの不人気」の演出
囲い込みで情報を遮断 → 問い合わせが来ない → 売主さまが「人気がない」と誤認 → 値下げに応じてしまう
【 ゆめ部長の体験 】
財閥系大手に勤務していた時代、囲い込みは「段階的」に行われていました。最初は担当者個人が囲い込む。上位営業マンになると「この物件は週末チラシを入れるので他の内覧はNG」と朝礼で宣言する。1週間売れないとチーム→課→店舗→会社と段階が浅くなる。値段が下がると、また囲い込みの段階が深くなる——この繰り返しでした。
囲い込みされているか不安な方へ:
まずは無料の囲い込みクイック診断で現状を確認してみてください。翌営業日に結果をお伝えします。
→ 囲い込みの原因は1つじゃない。6項目で「見える化」する方法は囲い込み診断+セカンドオピニオンで詳しく解説しています。
囲い込みで情報を遮断したら、次は時間をかけて売主さまを弱らせます。
干す&振り替え|売却活動のフリをしながら利用する【闇③】
囲い込みと並行して行われるのが「干す」と「振り替え」です。
【 このセクションのポイント 】
「干す」は売却活動をしているフリで放置すること。「振り替え」は問い合わせ客を他の物件に誘導して契約すること。囲い込み期間中、この2つは並行して行われます。
「干す」とは?
「干す」とは、売却活動をしているフリをしながら、実際には何もしないことです。
レインズには登録している。SUUMOにも掲載している。でも、他社からの問い合わせは断っている。自社では積極的な営業をしない。広告費も最小限──これが「干す」です。
なぜこんなことをするのか?
時間をかけて売主さまを疲弊させるためです。
売れない期間が長くなるほど、売主さまは焦ります。「早く売りたい」という気持ちが強くなります。その心理状態を作り出すことが、次の「値こなし」への布石になります。
「振り替え」とは?
「振り替え」とは、売主さまの物件への問い合わせを、他の物件に誘導することです。
例えば、売り出し中の物件を見たいという買主さま候補がいたとします。普通なら内覧を設定しますよね。
ところが、です。
「その物件はちょっと高いんですよね。こちらの物件の方がお得ですよ」と、自社が両手仲介できる別の物件に誘導します。売主さまの物件は「引き合いの材料」として利用されただけです。
【 ゆめ部長の体験 】
新人時代、上司から「振り替えしろ」と指示されたことがあります。お客さまが見たいと言っている物件ではなく、会社が売りたい物件に誘導しろという意味です。当時は「これが営業なのか…」と疑問を感じながらも、従うしかありませんでした。
干す&振り替えが並行する仕組み
「干す」と「振り替え」は、囲い込み期間中に並行して行われます。
- 高値査定で媒介契約を取る
- 囲い込みで他社をブロック
- 自社でも積極的に売らない(干す)
- 問い合わせがあれば別物件に誘導(振り替え)
- 時間が経つほど売主さまは焦る
- 次のステップ「値こなし」へ
売主さまの物件は「売る対象」ではなく、「利用する対象」にされているのです。
十分に弱った売主さまに向けて、次は本格的な値下げ攻勢が始まります。
値こなし|売主さまを追い詰めて値下げさせる【闇④】
干して売れない状況を作ったら、次は「値こなし」です。
【 このセクションのポイント 】
干して売れない状況を作り、「やっぱり高かったですね」と言う。内覧がないことを価格のせいにして値下げを迫る。売主さまが疲弊するのを待っている——これが値こなしです。
値こなしの手口5選
ゆめ部長が見てきた値こなしの手口を紹介します。
担当:「正直、この価格では厳しいですね…。周辺相場も下がってきていますし、ここで200万円ほど下げて仕切り直しませんか?このままだと、もっと長引いてしまいます」
手口1:「相場が下がりました」
「最近、周辺相場が下がっているんです。このままでは売れません」と言われると、売主さまは不安になります。しかし、本当に相場が下がったのか、囲い込みで売れなかっただけなのか、売主さまには判断できません。
手口2:「内覧が来ないのは価格が高いから」
囲い込みで他社からの問い合わせを断っているのに、「内覧が来ないのは価格が高いからです」と説明する。売主さまは「そうなのかな…」と思い込まされます。
手口3:「ライバル物件が出ました」
「近くに安い物件が出たので、このままでは負けます」と焦らせる。実際にライバル物件があるかどうか、売主さまが確認することは難しいです。
手口4:「今の買主を逃すと次はいません」
「今、検討中の買主さまがいますが、この価格では難しいようです。値下げすれば決まるかもしれません」と言われると、売主さまは「ここで決めないと…」と焦ります。
手口5:「更新前に値下げを」
媒介契約の更新時期が近づくと、「更新前に値下げして、新たなスタートを切りましょう」と提案される。売主さまは「もう3ヶ月も売れなかったし…」と応じてしまいます。
なぜ売主さまは値下げに応じてしまうのか?
値下げに応じてしまった自分を責めないでください。応じてしまう仕組みが、最初から作られているのです。
値こなしに応じてしまう売主さまの心理を分析します。
心理1:情報の非対称性
売主さまは、本当に価格が高いのか、囲い込みで売れなかっただけなのか、判断できません。不動産会社の方が圧倒的に情報を持っています。これが経済学でいう「プリンシパル=エージェント問題」です。
心理2:サンクコスト効果
「もう3ヶ月も任せたし、今さら他社に変えるのも…」という心理が働きます。過去に投資した時間や労力が、合理的な判断を妨げます。
心理3:不安と焦り
売れない期間が長くなるほど、不安と焦りが増します。「このまま売れなかったらどうしよう」という恐怖が、値下げへの抵抗を弱めます。
値こなしを防ぐ方法
値こなしを防ぐ最も効果的な方法は、そもそも囲い込みしない会社を選ぶことです。
「囲い込みしません」という口約束ではなく、「囲い込みできない仕組み」を持つ会社を選んでください。
真っ直ぐ不動産のオープン売却プランは、自社が買主さまを見つけても手数料をもらわない契約です。囲い込みをするインセンティブ自体が存在しないため、構造的に囲い込みができません。
→ 「しません」と「できない」の決定的な違いは「囲い込みしません」を信じられますか?|囲い込みできないオープン売却プランで解説しています。
→ 対策の詳細は囲い込み対策30選へ
売れなくてお困りの方へ:
無料のセカンドオピニオンで、売れない原因を徹底診断します。囲い込みリスク、販売経費、売却力、価格の妥当性──6つの観点から分析し、改善策を提案します。
値下げで弱り切った売主さまの前に、最終的な「出口」が用意されています。
業者買取|1回目の両手仲介【闇⑤】
値こなしで価格が下がったら、次は「業者買取」への誘導です。
業者買取の価格は、市場価格の70〜90%、中央値で80%ほどが目安です。この価格差を、疲れ切った売主さまが受け入れてしまうのです。
【 このセクションのポイント 】
値こなしで価格が下がったら、業者買取に誘導する。市場価格より安く売らせて、両手仲介で手数料を獲得。営業マンは買取業者から「お小遣い」をもらえることもあります。
業者買取に誘導する理由
なぜ悪徳業者は業者買取に誘導するのか?
理由1:確実に両手仲介できる
買取業者は仲介会社にとって「お得意様」です。紹介すれば必ず買ってくれる。つまり、確実に両手仲介が成立します。
理由2:手間がかからない
一般の買主さまへの販売は、内覧対応、ローン審査、契約交渉など手間がかかります。業者買取なら、打ち合わせ1回で決まることも珍しくありません。
理由3:売主さまを説得しやすい状態
値こなしで疲弊した売主さまは、「もう早く終わらせたい」という心理状態になっています。「業者買取なら1週間で決まりますよ」と言われれば、心が動きます。
業者買取の手口
業者買取への誘導には、いくつかの手口があります。
手口1:「このまま売れなければ…」
「このまま売れなければ、最終的には業者買取も検討した方がいいかもしれません」と、早い段階から布石を打っておく。売主さまに「業者買取」という選択肢を刷り込みます。
手口2:「リフォームしないと売れません」
「この状態では一般の買主さまには売れません。業者なら現状で買ってくれますよ」と、業者買取の方がメリットがあるように説明する。
手口3:「ローンが通らない買主さまばかり」
「一般の買主さまからの申し込みはあるのですが、ローンが通らなくて…。業者なら現金で買ってくれます」と、一般市場での売却が難しいように見せかける。
不動産のキックバック問題|買取業者から営業マンへ
業者買取には、さらに闇深い問題があります。
買取業者から営業マンへのキックバックです。
物件を紹介してくれた「お礼」として、買取業者から営業マン個人に金品が渡されることがあります。会社を通さない、個人的な「お小遣い」です。
会社も知らない、個人のポケットマネー。
当然、こうしたキックバックは売主さまには報告されません。
営業マンにとっては、一般の買主さまに売るより、業者買取に誘導した方が「おいしい」のです。会社からの歩合給に加えて、買取業者からのキックバックももらえるのですから。
【 ゆめ部長の見解 】
業者買取が全て悪いわけではありません。急いで売りたい方、リフォームできない事情がある方には、適切な選択肢です。問題なのは、売主さまの利益を無視して、営業マンや会社の利益のために業者買取に誘導することです。
1回目の両手仲介が成立した時点で、まだ仕掛けは終わっていません。
専任返し|2回目の両手仲介【闇⑥】
業者買取で1回目の両手仲介が成立したら、最後は「専任返し」です。
【 このセクションのポイント 】
買取業者が再販売する際、元の仲介会社に専任で依頼すること。これも囲い込みの一種ですが、違法ではありません。ここで2回目の両手仲介が成立し、往復ビンタで手数料12%が完成します。
専任返しとは?
専任返しとは、買取業者が物件を再販売する際に、元の仲介会社に専任で依頼することです。
流れを整理します。
- 売主さまAが仲介会社Xに売却を依頼
- 仲介会社Xが買取業者Bに物件を紹介(1回目の両手仲介)
- 買取業者Bがリフォームして再販売する際、仲介会社Xに専任で依頼(専任返し)
- 仲介会社Xが新しい買主さまCを見つける(2回目の両手仲介)
仲介会社Xは、1つの物件で2回の両手仲介を達成しました。
専任返しの仕組み
なぜ買取業者は「専任返し」をするのか?
理由1:物件を紹介してもらった恩返し
買取業者にとって、仲介会社からの物件紹介は生命線です。「紹介してくれたから、再販売もお任せします」という関係性があります。
理由2:安定した取引関係の維持
専任返しをしないと、次から物件を紹介してもらえなくなるリスクがあります。買取業者は「いい物件を紹介してくれる仲介会社」との関係を大切にします。
理由3:囲い込みへの協力
専任返しの際、買取業者が「あの仲介会社は囲い込みしてくれるから、安く仕入れられる」と考えている場合もあります。悪循環が生まれます。
専任返しは違法?|違法ではないのに売主さまが損する理由
専任返しは、それ自体は違法ではありません。
なぜなら、買取業者が自由意志で仲介会社を選んでいるからです。売主さま(元の売主さまA)への裏切りがあるわけではなく、買取業者(新しい売主さまB)と仲介会社Xの間の通常の取引です。
ただし、搾取ルート全体を俯瞰すると、この仕組みが囲い込みを助長していることは明らかです。
専任返しで2回目の両手仲介ができるとわかっているから、1回目の業者買取に誘導するインセンティブが生まれる。業者買取に誘導するために、値こなしをする。値こなしのために、干す。干すために、囲い込む──すべてが連動しています。
専任返し自体は適法でも、この連動の起点で相場より安く手放したのは売主さまです。違法かどうかと、損をするかどうかは、別の問題なのです。
→ 囲い込み側の違法性と通報の実体験は囲い込みは違法?(都庁に通報した結果)で解説しています。
ただし、ここまで読んで「全部の不動産会社が悪い」と決めつけるのは違います。売れない原因は、搾取ルートの外にもあるのです。
売れない原因は「搾取ルート」だけではない
ここまで6つの闇を解説してきましたが、誤解しないでください。
【 このセクションのポイント 】
売れない原因は搾取ルートだけではありません。営業マンの能力不足、売却プランの弱さ、広告費削減なども原因です。ゆめ部長が知らない他の手口もまだたくさんあるはず。だからこそ、不動産会社選びだけは絶対に妥協してはいけません。
営業マンの能力不足
売れない原因の1つ目は、営業マンの能力不足です。
悪意はなくても、スキルが足りない。知識が不足している。経験が浅い。こうした営業マンに当たると、適正価格でも売れないことがあります。
例えば、物件の魅力を伝えられない営業マン。内覧時に買主さまの不安を解消できない営業マン。価格交渉で売主さまの利益を守れない営業マン。
囲い込みをしていなくても、能力不足で売れないケースは少なくありません。
不動産会社の売却プランの弱さ
売れない原因の2つ目は、売却プランの弱さです。
どんな媒体に広告を出すか。どんな写真を使うか。どんな販売図面を作るか。どんなタイミングで値下げするか。
これらの「売却プラン」が弱いと、良い物件でも売れ残ります。
特に、写真のクオリティは重要です。スマホで撮った暗い写真と、プロが撮った明るい写真では、同じ物件でも印象が全く違います。
広告費削減で買主さまに情報が届かない
売れない原因の3つ目は、広告費削減です。
SUUMOへの掲載、チラシの配布、オープンハウスの開催──すべてにお金がかかります。
利益を優先する不動産会社は、広告費を削減しがちです。「レインズに登録しておけば他社が広告してくれるから」と、自社では最小限の広告しかしない会社もあります。
広告費をかけなければ、買主さま候補の目に触れる機会が減ります。結果、売れない。
不動産会社選びだけは絶対に妥協するな
6つの闇、営業マンの能力不足、売却プランの弱さ、広告費削減──売れない原因は多岐にわたります。
そして、ゆめ部長が20年間見てきた手口以外にも、まだまだ知らない闇があるはずです。
だからこそ、声を大にして言いたい。
不動産会社選びだけは、絶対に妥協してはいけません。
「大手だから安心」「知り合いの紹介だから大丈夫」──そんな思い込みが、売主さまを闇に引きずり込むかもしれません。
会社を選ぶ基準は、「囲い込みしません」という口約束ではなく、「囲い込みできない仕組み」を持っているかどうか。そして、営業マンの能力、売却プランの質、広告費への姿勢を見極めることです。
会社選びを妥協しないこと。これがゆめ部長の20年の結論です。
→ 対策の詳細は囲い込み対策30選へ
6つの闇は連動する|搾取ベルトコンベアーの全体像と降り方
ここまでの内容を整理します。
①高値査定(餌を撒く)
↓
②囲い込み(他社をブロック)
↓
③干す & 振り替え(並行して実行)
↓
④値こなし(売主さまを追い詰める)
↓
⑤業者買取で両手仲介(1回目:手数料6%+12万円)
↓
⑥専任返しで両手仲介(2回目:手数料6%+12万円)
↓
【 結果 】往復ビンタで手数料12%+24万円(税別)
一部だけでも被害は大きい
全ルートを通るケースは稀です。
しかし、一部だけでも被害は十分に大きいことを忘れないでください。
高値査定だけでも、売却が長期化するリスクがあります。囲い込みだけでも、売却機会を逃します。値こなしだけでも、本来より安く売ることになります。
6つの闇のうち、1つでも当てはまる状況があれば、注意が必要です。
ゆめ部長が20年前に見た光景は、今もどこかで続いています。だからこの記事を書いています。
被害に遭わないために|防ぐ・見抜く・やり直す
ベルトコンベアーから降りる方法は、いまの状況によって変わります。次の3つから、自分に合う一歩を選んでください。
これから売る方(防ぐ):そもそも囲い込みが「できない仕組み」を最初から選べば、6つの闇に巻き込まれません。「囲い込みしません」を信じられますか?|囲い込みできないオープン売却プランで、口約束ではなく構造で守るオープン売却プランを確認してください。
販売中の方(見抜く):今まさに囲い込まれていないか、無料の囲い込みクイック診断でチェックできます。自分でレインズの登録状況を確かめたい方はレインズ登録証明書の使い方も参考にしてください。
売れずに困っている方(やり直す):すでに長期化している場合は、無料のセカンドオピニオンと売れない原因の6項目診断で、何が起きているのかを「見える化」してから動き直しましょう。
真っ直ぐ不動産は、この「防ぐ・見抜く・やり直す」の3つすべてに対応しています。どの段階にいても、売主さまの利益を守る選択肢があります。
不動産業界の闇に関するよくある質問(FAQ)
大手だから囲い込みしないとは限りません。
むしろ、大手の方が両手仲介比率が高い傾向があります。大手は経費が高いため、両手仲介による利益増加へのインセンティブが強く働きます。会社の規模ではなく、「囲い込みできない仕組み」があるかどうかで判断してください。
囲い込みクイック診断を利用してください。
販売中の物件URLを送るだけで、レインズ登録状況、販売図面の有無、取引状況、広告転載区分、電話確認、販売図面の帯の6項目を無料で診断します。翌営業日に「確定」「リスク高」「リスク低」「リスクなし」の4段階で結果をお伝えします。
まず冷静に証拠を集め、媒介契約の解除を検討してください。
レインズ登録証明書の確認、媒介業務報告書の内容確認、知り合いに物件問い合わせを依頼するなどで、囲い込みの証拠を集めます。その上で、媒介契約を解除し、信頼できる不動産会社に変更することを検討してください。
真っ直ぐ不動産のセカンドオピニオンは無料です。
訪問面談で、囲い込みリスク、販売経費、売却力、価格の妥当性、売却時期、需要の6項目を診断し、改善策を提案します。診断結果と査定書、レインズ販売図面などの資料をお渡しします。
まとめ
- 不動産会社には売主を搾取する「理想的なルート」が存在する
- 高値査定→囲い込み→干す&振り替え→値こなし→業者買取→専任返しで、往復ビンタで手数料12%を狙う
- 6つの闇は単独ではなく「連動」して売主を追い詰める
- 売れない原因は搾取ルートだけではない(能力不足、売却プラン、広告費削減も)
- 不動産会社選びだけは絶対に妥協してはいけない
6つの闇は、どれも単体では完結しません。高値査定で乗せられ、囲い込みで運ばれ、値こなしで削られていく──ベルトコンベアーの仕組みを知った売主さまは、もう簡単には乗せられません。
会社選びだけは妥協しない。それが、ゆめ部長からの一番のお願いです。
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