不動産売却の囲い込み手口30選|2パターン・4段階で完全網羅【2026年最新版】 - 真っ直ぐ不動産|DreamBase株式会社真っ直ぐ不動産|DreamBase株式会社

不動産売却の囲い込み手口30選|2パターン・4段階で完全網羅【2026年最新版】

「囲い込み手口30選|内覧が来ない??それ…『囲い込み』かも」と解説するゆめ部長キャラクターのアイキャッチ画像。不動産売却における囲い込みの手口を2パターン・4段階で網羅した記事。

「もしかして、囲い込みされているかも…?」

不動産を売却中のあなた。内覧が入らない、問い合わせがあるはずなのに反応がない。そんな不安を感じていませんか?

▼この記事でわかること(結論)
  • 囲い込みの手口は2パターン・4段階・30種類に分類できる
  • 根本原因は「二重の利益相反」(①売主vs買主、②売主vs仲介会社)
  • 段階4の「申込妨害」は売主さまが見破ることが難しい
  • だから「しません」ではなく「できない」仕組みを選ぶことが重要

実は、囲い込みは「悪徳業者だけがやる不正行為」ではありません。両手仲介(売主・買主の両方から手数料を受け取る取引形態)で利益が大きく増える報酬構造が、業界全体で囲い込みを生んでいます。

ゆめ部長が大手不動産会社に勤務していた新人時代、先輩が他社からの電話を受けていました。「あ、その物件、商談中なんですよー」と答えて電話を切った直後、「客付けなんかさせるかよ」とつぶやいたのです。衝撃を受けました。売主さまの物件を預かっておきながら、売主さまの利益よりも自分の報酬を優先する。これが大手でも「あたり前」なのがこの業界なのかと。この原体験があるからこそ、ゆめ部長は囲い込みの手口を売主さまに伝え続けています。

不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が30の手口を実例ベースで徹底解説します。

【 お知らせ 】

本記事は2026年2月時点の最新情報に基づいています。2025年1月の制度改正(取引状況の虚偽登録への行政処分明確化)にも対応しています。

【 注意事項 】

この記事は不動産売買(売却)の囲い込みを専門に扱っています。「賃貸」のおとり広告とは問題点が異なります。

→ 囲い込みの基礎知識は囲い込み対策完全ガイドで詳しく解説しています。

なぜ囲い込みは起きるのか?(二重の利益相反)

手口を知る前に、まず囲い込みが起きる根本原因を理解しておきましょう。

囲い込みの背景には「二重の利益相反」があります。

利益相反①:売主さま vs 買主さま

高く売りたい売主さまと、安く買いたい買主さまの利益は真っ向から対立します。1社の仲介会社が両方を担当すれば、どちらかの利益を必ず害します。

利益相反②:売主さま vs 仲介会社

高く売りたい売主さまと、両手仲介で手数料を2倍にしたい仲介会社の利益も対立します。手数料は2倍でも、経費はほとんど変わらないため、利益ベースでは約2.5倍〜約3.5倍に膨らみます。

この「2つの利益相反」が重なることで、仲介会社は構造的に囲い込みをするインセンティブを持ちます。他社が明確に言語化していない、この構造こそが囲い込み問題の本質です。

→ 囲い込みの全体像は囲い込み対策完全ガイドで解説しています。

→ 両手仲介の利益計算は両手仲介・片手仲介とは?二重の利益相反と本当のリスクで詳しく解説しています。

囲い込み手口30選|早見表

囲い込みの手口は大きく2パターンに分かれます。

パターン内容手口
Aレインズに登録しない①〜⑤
Bレインズに登録した上で妨害⑥〜㉚

パターンBはさらに4段階で進行します。段階が進むほど囲い込みは強くなり、売主さまが見破るのは難しくなります。

段階内容手口強度
段階1広告妨害弱い
段階2問い合わせ妨害⑦〜⑮
段階3内覧妨害⑯〜⑱
段階4申込妨害⑲〜㉚(4グループ)強い

それでは、各パターン・段階の手口を詳しく見ていきましょう。

パターンA:レインズ掲載無し(手口①〜⑤)

パターンAは「そもそもレインズ(Real Estate Information Network System、国土交通大臣指定の不動産流通機構)に登録しない」囲い込みです。専任媒介・専属専任媒介ではレインズへの登録が法律で義務付けられていますが、一般媒介には登録義務がありません。この違いを悪用する手口もあります。

パターンAは専任媒介の手口(①②)一般媒介の手口(③④⑤)に分かれます。専任媒介ではレインズ登録義務があるのに無視する手口、一般媒介では登録義務がないことを悪用する手口です。

手口①:登録義務を無視する

【 実例 】

ある売主さまは専任媒介契約(不動産会社に売却を依頼する契約)を結びました。担当者から「高値を目指してじっくり探しましょう」と言われ、頼れる良い人に巡り合えたと安心していました。SUUMOには掲載されたものの、2ヶ月経っても内覧は1組だけ。「このままで本当に売れるのかな…」と不安になり別の不動産会社に相談したところ、「レインズに登録されていませんよ」と指摘されました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

レインズに登録すると、他の不動産会社が買主さまを探してくれます。しかしその場合、手数料は売主さまからしかもらえません(片手仲介)。自社でSUUMOなどから買主さまを見つければ、売主さま・買主さまの両方から手数料をもらえます(両手仲介)。4,000万円の物件なら、片手で約138万円、両手なら約277万円。この差額約139万円を狙って意図的に登録を避けるのです。

【 見破り方 】

専任媒介なら7日以内、専属専任媒介なら5日以内に「登録証明書」が届くはずです。届いたら記載されているURL・ID・パスワードで実際にレインズを確認しましょう。

【 対策 】

期限内に届かなければ催促してください。それでも届かなければ媒介契約の解約を検討しましょう。

→ 詳しくはレインズとは?売主が知っておくべき仕組みと確認方法で解説しています。

手口②:登録してすぐ削除する

【 実例 】

専任媒介契約を結び、「登録証明書」も受け取ったある売主さま。3ヶ月経っても売れず不安になり、別の不動産会社に相談したところ「レインズで検索しても見つかりません」と指摘されました。担当者にその場で電話をすると「間違って削除してしまったのかも…」としどろもどろ。これは明らかな宅建業法違反です。

【 なぜこの手口を使うのか 】

媒介契約後にレインズ登録して「登録証明書」を交付すれば、形式的には義務を果たしたことになります。その後こっそり削除すれば、他社からの問い合わせを遮断でき、自社だけで焦らず買主さまを探せます。「登録証明書を発行して即削除」というアリバイ工作や、「検討中のお客さまがいるので削除しました」と理由をつけて削除するケースもあります。

【 見破り方 】

「登録証明書」を使って、2週間に1度は自分でレインズを確認しましょう。物件が表示されなくなっていたら即座に指摘してください。

【 対策 】

レインズが削除されていたら、担当者の言い訳は聞かずに、すぐ再登録させてください。再発した場合は媒介契約の解約を検討しましょう。

→ 詳しくはレインズを自分で確認する方法で解説しています。

手口③:「私だけに任せてください」と口約束させる

【 実例 】

住み替え先の新築戸建を購入した際、担当してくれた営業マンから「売却も得意なので任せてください」と提案されました。購入時に価格交渉を頑張ってくれた恩もあり、売却を一任することに。ところが、営業マンが持参したのは専任媒介契約書ではなく一般媒介契約書でした。「他社には声をかけずに私だけに任せてもらえますか?」と言われ、信頼していたので深く考えずに契約。しかし、2ヶ月経っても購入希望者は現れませんでした。

【 なぜこの手口を使うのか 】

一般媒介にはレインズ登録義務がありません。営業マンの本当の狙いは、他社を排除して自分だけが買主さまを見つけ、両手仲介すること。一般媒介を使い、レインズに掲載せず1社だけで囲い込む手口は「心の専任」と呼ばれ、業界内の隠語として大手仲介会社でも使われています。

【 見破り方 】

一般媒介なのに「私だけに任せてください」と言われたら、その時点で囲い込みを疑ってください。

【 対策 】

1社に依頼するなら専任媒介契約書に変更させてください。専任媒介なら、レインズ登録が法律で義務付けられます。

手口④:情報の小出し戦略

【 実例 】

不動産会社から「段階的な広告戦略」を提案されました。一般媒介契約を結び、「最初はSUUMO限定で、売れなければ他のポータルサイトへ、さらに売れなければ専任媒介契約に更新してレインズへ」という計画。3ヶ月経過してようやくレインズ掲載を提案されましたが、この期間は囲い込まれてしまいました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

一般媒介にはレインズ登録義務がないため、情報を段階的に公開する期間は安心して囲い込みができてしまいます。1番売れる確率が高いSUUMOを優先して掲載し、しっかり両手仲介を狙います。「戦略的」という表現を隠れ蓑にしているのです。

【 見破り方 】

不動産売却には「売れやすい3大タイミング」があります。①販売開始時(新着物件として注目される)、②空室時(すぐ内覧できる)、③値下げ時(お得感で購買意欲が高まる)。このタイミングで情報を最大限拡散しないのは、戦略ではなく囲い込みだと疑いましょう。

【 対策 】

「段階的広告」の提案には警戒してください。販売開始時から全媒体での広告を求めましょう。

手口⑤:未公開物件ブランディング

【 実例 】

担当者から「レインズに出すと情報の鮮度が下がってしまいます。当社のネットワークで買主さまを探しましょう。『未公開物件が出ました』と言えばお客さまは飛びついてきますよ」と提案されました。売主さまは「それなら早く売れそう」と納得して媒介契約を締結。しかし、この戦略は失敗に終わり、2ヶ月経っても買主さまは現れませんでした。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「未公開」「限定」という言葉には特別感があり、売主さまも買主さまも惹きつけられます。不動産会社としては、自社ネットワーク内で買主さまを見つければ両手仲介が確定。レインズに掲載しない口実として「未公開戦略」を使っているのです。

【 見破り方 】

どのようなネットワークがあるのかを具体的に聞いてみてください。「自社顧客リスト○○組に案内します」など具体的な数字が出てこなければ、根拠のない囲い込みの可能性が高いです。

【 対策 】

希少物件でなければ市場に公開して売却する方が高値で売れやすいです。「未公開」「限定」という言葉に惑わされないようにしてください。

パターンAまとめ

パターンAの共通点は「レインズを見ても物件が見つからない」ことです。

対策の基本:

・ 専任媒介なら「登録証明書」を受け取り、レインズに掲載されているか必ず確認
・ 一般媒介で1社のみに依頼する場合は「心の専任」のリスクを理解した上で契約
・ 「未公開戦略」「段階的広告」には警戒する

セルフチェック:「登録証明書」を受け取りましたか? 記載のURLでレインズに物件が表示されますか?

→ 1つでも「NO」なら、囲い込みクイック診断でプロによるチェックを受けてください。

▶ 次は「レインズに登録した上で妨害する」パターンBの手口を解説します。

パターンB:レインズ掲載あり(手口⑥〜㉚)

パターンBは、レインズには登録するものの、その後の段階で妨害を行う囲い込みです。広告妨害→問い合わせ妨害→内覧妨害→申込妨害と、4段階で進行します。段階が進むほど囲い込みは強くなり、売主さまが見破るのは難しくなります。

段階1:広告妨害(手口⑥)

段階1は「弱い囲い込み」です。広告をNGにしても、他社は紹介・内覧・契約自体はできます。ただし、売主さまのセルフチェックでは広告妨害を判別できません。レインズ登録画面からは確認不可で、プロによる診断が必要です。

手口⑥:他社の広告をNGにする

【 実例 】

レインズには「広告転載区分」という項目があります。これを「不可」に設定すると、他の不動産会社はSUUMOなどに広告を出せなくなります。売主さまは「レインズに登録されているから安心」と思っていても、実際には他社が広告を出せない状態になっているのです。ゆめ部長がレインズで物件を検索すると、広告転載「不可」の物件は本当に多いです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

他社が広告を出せなければ、買主さまの問い合わせは自社に集中します。前述の通り、両手仲介による報酬増が動機です。「広告は自社で十分出しています」と言えば、一見もっともらしく聞こえてしまいます。

【 見破り方 】

売主さまの画面からは広告転載区分を確認できません。レインズ登録証明書にも記載されていません。だからこそ、プロによる診断が必要です。

【 対策 】

「囲い込みクイック診断」で広告転載区分を含む6項目をチェックできます。

売れない原因を「見える化」する|囲い込みクイック診断

段階1まとめ

広告妨害は「弱い囲い込み」ですが、売主さまが自分で見破ることはできません。レインズの登録証明書を確認しても、広告転載区分の情報は記載されていないためです。「レインズに登録したから安心」では不十分です。

セルフチェック:広告転載区分は売主さまの画面からは確認できません。

→ プロによる確認が必要です。囲い込みクイック診断で広告転載区分を含む6項目をチェックしましょう。

▶ 次は「問い合わせを妨害する」段階2の手口を解説します。

段階2:問い合わせ妨害(手口⑦〜⑮)

段階2は「問い合わせ段階での妨害」です。前半(⑦〜⑬)は「情報を劣化させて問い合わせを減らす手口」、後半(⑭〜⑮)は「問い合わせへの対応を妨害する手口」に分類できます。

手口⑦:取引状況の虚偽(レインズ「申込あり」問題)

【 実例 】

レインズには「取引状況」という項目があり、「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つから選択します。実際には申込がないのに「申込あり」に設定すれば、他社は「もう売れそうだから紹介しても無駄だな」と判断して問い合わせを控えます。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「申込あり」にしておけば、他社からの問い合わせを自然に減らせます。問い合わせが来ても「申込が入っているので」と断る口実にもなります。申込を断ったのに「申込あり」のまま放置するケースも含め、バリエーションが多い手口です。

【 見破り方 】

レインズ登録証明書で取引状況を確認してください。「公開中」以外になっていたら担当者に理由を確認しましょう。

【 対策 】

2025年1月の法改正で、取引状況の虚偽登録への行政処分が明確化されました。ただし、レインズ上のステータスだけが対象です。電話での「商談中です」「今ちょっと…」などの口頭妨害は依然として立証困難です。

→ 法規制の詳細は囲い込みは違法?|都庁に通報してわかった”動かない現実”で解説しています。

手口⑧:販売図面を登録しない

【 実例 】

レインズに物件情報は登録されているものの、販売図面(マイソク)が添付されていないケースがあります。他社の営業マンは販売図面がないと買主さまに物件を紹介しにくくなります。わざわざ資料請求するのが面倒で、紹介を諦めてしまうこともあります。

【 なぜこの手口を使うのか 】

販売図面がなければ他社は紹介しにくい。紹介されなければ自社で両手仲介できる確率が上がります。「まだ図面が完成していなくて…」という言い訳も用意しやすい手口です。

【 見破り方 】

レインズ登録証明書を受け取ったら、販売図面も一緒に確認してください。「図面はまだ」と言われたら、いつまでに完成するか期限を確認しましょう。

【 対策 】

販売図面の作成を急いでもらい、レインズへの登録を確認してください。販売図面の品質は売却力に直結します。

手口⑨:販売図面で嫌がらせ

【 実例 】

ゆめ部長が買主さま側の仲介をしていた時の話です。レインズで良さそうな物件を見つけたので、販売図面をダウンロードしました。ところが、図面の解像度が異常に低く、文字がぼやけて読めません。仕方なく問い合わせたところ、担当者から「うちで契約してくれるなら送りますよ」と言われました。明らかな囲い込みです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

わざと見にくい図面を登録すれば、他社は紹介しにくくなります。問い合わせが来ても「自社で契約してくれるなら」と条件をつけて囲い込めます。

【 見破り方 】

売主さまが直接見破るのは難しいですが、販売図面のデータを担当者からもらい、文字や写真がはっきり見えるか確認してください。

【 対策 】

販売図面は高解像度で作成してもらい、レインズにも同じものを登録するよう依頼しましょう。

手口⑩:販売図面にマイナス情報を追加

【 実例 】

販売図面の備考欄に、わざとマイナス情報を目立つように記載するケースがあります。「※北側隣地との境界について協議中」「※雨漏り履歴あり(修繕済み)」など、本来は重要事項説明で伝えれば良い内容を、販売図面に大きく記載します。

【 なぜこの手口を使うのか 】

マイナス情報が目立てば、他社の営業マンは買主さまに紹介しにくくなります。「トラブルがありそうな物件だな」と判断して、紹介を避けてしまうのです。

【 見破り方 】

自分の物件の販売図面を確認し、必要以上にマイナス情報が強調されていないかチェックしてください。マイナス情報の記載自体は必要ですが、フォントサイズや配置が不自然に目立っていないかがポイントです。

【 対策 】

マイナス情報が過度に強調されていたら修正を依頼しましょう。事実は記載しつつ、物件の魅力がきちんと伝わるバランスにしてもらってください。

手口⑪:値下げしたのにレインズ価格を変えない

【 実例 】

3ヶ月売れなかったので、担当者の提案で200万円値下げすることにしました。SUUMOの価格は変更されたのに、レインズの価格は変わっていませんでした。他社の営業マンは「まだ高いままだな」と判断し、買主さまに紹介しません。値下げの効果が半減してしまいます。

【 なぜこの手口を使うのか 】

値下げは「売れやすい3大タイミング」の1つです。このタイミングで他社からの問い合わせが増えると、両手仲介のチャンスが減ります。レインズの価格を変えなければ、他社に値下げを気づかれずに済むのです。

【 見破り方 】

値下げしたら、レインズ登録証明書を再発行してもらい、価格が変更されているか確認してください。

【 対策 】

価格変更時は、SUUMOとレインズの両方で変更されているか必ず確認しましょう。

手口⑫:空室になったのに「居住中」のまま

【 実例 】

引っ越しが完了して空室になったのに、レインズの情報は「居住中」のまま放置されているケースがあります。

【 なぜこの手口を使うのか 】

空室は「売れやすい3大タイミング」の1つです。「すぐ内覧できますよ」と言えば買主さまの購買意欲が高まります。レインズを「居住中」のままにしておけば、他社は「内覧調整が面倒そうだな」と判断し、紹介を後回しにします。その間に自社で両手仲介を狙えるのです。

【 見破り方 】

空室になったら、レインズの現況が「空家」に変更されているか確認してください。

【 対策 】

引っ越し完了を担当者に伝える際、「レインズも空室に変更してください」と明確に依頼しましょう。

手口⑬:退去したのに「賃貸中」のまま

【 実例 】

投資用マンションとして賃貸に出していた物件。入居者が退去したので売却することにしました。ところが、レインズには「賃貸中」のまま登録されていました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「賃貸中」=投資用物件です。投資用物件は住宅ローンが使えないため、買える人が限られます。入居者が退去すれば「実需物件(マイホームとして購入できる物件)」になり、住宅ローンが使えるようになって需要が大幅に増えます。レインズを「賃貸中」のままにしておけば、他社は投資家向けにしか紹介しません。その間に自社で実需の買主さまを見つけて両手仲介を狙うのです。

【 見破り方 】

入居者が退去したら、レインズの現況が「空家」に変更されているか確認してください。

【 対策 】

退去完了を担当者に伝える際、「レインズも空室に変更してください」と明確に依頼しましょう。

手口⑭:資料請求・質問に応じない

【 実例 】

他社の営業マンが物件について問い合わせても、資料請求や質問に応じないケースがあります。「担当者が不在です」「折り返します」と言ったまま連絡が来ない。販売図面を送ってほしいと頼んでも無視される。3回、4回と電話しても状況は変わりません。

【 なぜこの手口を使うのか 】

対応しなければ他社は買主さまに紹介できません。問い合わせを無視し続ければ、諦めてくれるだろうという魂胆です。

【 見破り方 】

媒介業務報告書を確認し、問い合わせ件数が不自然に少なくないかチェックしてください。SUUMOでの閲覧数と問い合わせ件数のバランスも参考になります。閲覧数が多いのに問い合わせが極端に少ない場合は要注意です。

【 対策 】

知り合いの不動産会社に頼んで、問い合わせを入れてもらうのも有効です。対応状況を確認できます。

手口⑮:感じ悪くして営業マンを諦めさせる

【 実例 】

ゆめ部長が買主さま側の仲介をしていた時の話です。気に入った物件があったので担当者に電話したところ、とにかく感じが悪い。質問しても「はぁ?」「だから何?」という態度。それでも買主さまのために粘り強く交渉し、なんとか内覧にこぎつけました。結局、電話を20回以上かけました。普通の営業マンなら3回目で諦めます。ゆめ部長が粘ったから内覧できましたが、多くの買主さまはこの物件を見ることすらできなかったはずです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

感じ悪く対応すれば、たいていの営業マンは「面倒だな」と諦めます。他社が諦めれば、自社で両手仲介できる確率が上がります。

【 見破り方 】

売主さまが直接見破るのは難しいです。内覧や問い合わせが極端に少ない場合は、囲い込みを疑ってください。

【 対策 】

「囲い込みクイック診断」で現状をチェックしましょう。

→ 詳しくは囲い込みで「買えない」物件を契約できた体験談もあわせてお読みください。

段階2まとめ

段階2の共通点は「他社からの問い合わせを減らす・遮断する」ことです。

対策の基本:

・ 媒介業務報告書を確認し、問い合わせ件数が不自然に少なくないかチェック
・ 値下げ・空室化などのタイミングでレインズ情報が更新されているか確認
・ 知り合いの不動産会社に頼んで、問い合わせを入れてもらう

セルフチェック:レインズの取引状況は「公開中」ですか? 販売図面はレインズに登録されていますか? 値下げ後にレインズ価格は更新されましたか?

→ 1つでも確認できなければ、囲い込みクイック診断でプロのチェックを受けてください。

▶ 次は「内覧を妨害する」段階3の手口を解説します。

段階3:内覧妨害(手口⑯〜⑱)

段階3は「内覧段階での妨害」です。問い合わせは受けるものの、内覧を制限・妨害します。

手口⑯:内覧NGまたは制限する

【 実例 】

他社から内覧希望が入っても、さまざまな理由をつけて断るまたは制限する手口です。言い訳のパターンは豊富です。

【 売主都合の言い訳 】「引っ越しが終わってから」「リフォームが終わってから」「海外出張中だからしばらくNG」「奥さまが妊娠中だから直前キャンセルあり」

【 担当者都合の言い訳 】「担当者が外出中」「契約中・接客中」「定休日」「本日は戻りません」

【 日程・回数の制限 】「内覧は日曜13時〜15時のみ」「1日1組まで」

何とでも言えてしまうのが、この手口の厄介なところです。空室物件なのに内覧時間が制限されている場合は特に不自然です。

【 なぜこの手口を使うのか 】

内覧を制限すれば他社経由の買主さまを排除でき、自社の買主さまを優先的に案内できます。自社の買主さまには「特別に土曜も対応します」と柔軟に対応するのです。前述の通り、両手仲介による報酬増が動機です。

【 見破り方 】

内覧希望が断られる頻度や、制限の理由が曖昧でないか確認してください。「売主さまのご都合で」と言われたら、本当に自分が断ったのか確認しましょう。ゆめ部長は「売主さまに確認せず担当者の判断で断った」ケースを何度も見てきました。

【 対策 】

「内覧は柔軟に対応してください」と明確に伝えてください。可能な限り土日対応を承諾し、担当者の独断で断らせないようにしましょう。

手口⑰:現地から遠い店舗で鍵を預かる

【 実例 】

空室の物件を売却中。他社から内覧希望が入ると、担当者は「鍵は○○店で預かっています。物件から1時間以上かかりますが、取りに来てください」と回答。さらに「郵送でお願いします」「土日は店舗が休みなので、業者さん同士で受け渡ししてください」と手間をかけさせます。

【 なぜこの手口を使うのか 】

鍵の受け取りに1時間以上かかるとなれば、たいていの営業マンは「面倒だな…」と諦めます。内覧数が減れば、自社で両手仲介できる確率が上がります。空室ならキーボックスを現地に設置すれば済む話なのに、あえてやらないのです。

【 見破り方 】

空室物件なのに鍵の手配に数日かかる場合は要注意です。鍵の保管場所と物件の距離を確認してください。

【 対策 】

空室物件は、現地近くの店舗で鍵を預かるか、キーボックスを設置していつでも内覧可能な状態にするよう依頼してください。

手口⑱:空室でも担当者の立会必須

【 実例 】

空室のマンションを売却中。他社が内覧予約を入れようとすると、「担当者の立会が必須です」と言われます。しかし「明日10時は?」→「埋まっています。来週なら」、来週になると「やっぱり予定が入って…」と永遠に日程が合いません。自社の買主さまには「今すぐ案内できます」と柔軟に対応しているのに、です。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「立会必須」にすれば、担当者のスケジュールを理由に他社の内覧を遅らせることができます。空室なら鍵を預けるかキーボックスを設置すれば、担当者の立会なしで内覧できるはずです。

【 見破り方 】

空室物件なのに担当者の立会が必須で、スケジュール調整に1週間以上かかる場合は囲い込みを疑ってください。

【 対策 】

「鍵を預けてください」または「キーボックスを設置してください」と要求しましょう。

段階3まとめ

段階3の共通点は「内覧の機会を奪う」ことです。

対策の基本:

・ 内覧は可能な限り柔軟に対応する意思を担当者に伝える
・ 空室物件はキーボックス設置を依頼する
・ 「売主都合」で断った覚えがないのに断られていたら要注意

セルフチェック:内覧件数は妥当ですか? 売主さまが断った覚えのない内覧NGはありませんか? 空室なのに立会必須と言われていませんか?

→ 不自然な点があれば、囲い込みクイック診断でプロのチェックを受けてください。

▶ 次は最も危険な「申込妨害」段階4の手口を解説します。

段階4:申込妨害(手口⑲〜㉚)

段階4は「申込段階での妨害」です。ここからが本当に危険な囲い込みです。

段階1〜3は、レインズを確認する、知人に問い合わせてもらうなど、売主さまが自分で異変を検知できました。しかし段階4は違います。申込の受付・拒否・改ざん・引き延ばし――すべてが担当者と他社営業マンの間で完結します。売主さまには申込があったこと自体が知らされません。

【 重要 】

申込妨害は、売主さまが見破ることが難しい囲い込みです。
プロでも診断できません。

だから、選択肢は2つしかありません:

①ちゃんとした不動産会社を味方につける
②囲い込みが「できない」システムを利用する。

→ 囲い込みが「できない」仕組みの詳細:「囲い込みしません」を信じてはいけない理由|オープン売却プランの仕組みと成功事例

段階4には12の手口があります。手口の性質ごとに4つのグループに分けて解説します。

■ 門前払い系(⑲⑳㉑)

手口⑲:堂々と囲い込み宣言

【 実例 】

友人の営業マンから聞いた話です。お客さまを案内して購入申込をもらったので、すぐに担当者へ電話。「これから申込書を送ります!」と伝えたところ、「ウチのお客さんが検討してるから申込は受け付けられない」と言われたそうです。「申し込みはもらってるんですか?住宅ローンの審査は?」と矢継ぎ早に質問したら、「こっちでやってるんだから遠慮してよ。」と言われて電話はガチャ切り。悪びれもなく堂々と囲い込みを宣言する。レインズには掲載しなくちゃいけないから掲載はした。でも最後の最後で他社の申込を拒否するのです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

専任媒介だからレインズ掲載義務は果たす。内覧までは受け付ける。でも両手仲介したいから、最後の最後で他社の申込を妨害する。売主さまが知ることはまずありません。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。被害にあった仲介会社から手紙が投函されて、囲い込みが発覚するケースはあります。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。この手口が存在すること自体を知っておくことが、最大の防御です。

手口⑳:「1番手が入りました」「商談中です」で申込を拒否

【 実例 】

ゆめ部長の体験談です。内覧完了後、買主さまが気に入ったので申込書を提出しようとしたところ、「すでに1番手がいます」と言われました。「いつ結論が出ますか?」→「わかりません」。「1番手の金額は?」→「言えません」。実はその「1番手」は買取業者の激安申込でした。5,000万円の物件に買取業者が安い金額で申込を入れる。売主さまは当然断る。でも担当者はこの申込を「1番手あり」の言い訳に利用して、他社の申込を排除し続けるのです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

買取業者の申込を「1番手」に仕立てれば、他社を正当に断れます。レインズの取引状況を「申込あり」にする口実にもなります。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。担当者が「1番手あり」と他社に伝えていること自体、売主さまは知りようがないのです。

手口㉑:申込のハードルを上げる

【 実例① 】

ゆめ部長の経験談です。お客さまの事前審査が通り、購入申込を入れようとしたところ、「売主さまが事前審査だけでは不安だと言っているので、本審査まで通ったお客さまを1番手とします」と言われました。仕方なく本審査を進めていたら、数日後に「契約が決まりました」と連絡が。本審査までやらせておいて、この結果です。おそらく、自社のお客さまは本審査をやっていなかったはずです。

【 実例② 】

友人の営業マンが被害にあった話です。土地を案内したところ、買主さまから「すごくいいですね!ここにしたいです」と申し出がありました。必要書類の提供と気になる点への回答を求めたところ、担当者から「実は、この物件の物件調査が終わってないんですよ。今、忙しいからしばらく待ってもらっていいですか?」との回答が。1週間後に催促しても返答がなく、2週間待った結果、「申し訳ないですが、業者が現況で買ってくれることになって契約になっちゃったんですよー。ごめんなさい」と連絡がありました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

本審査や物件調査を理由にすれば、時間稼ぎができます。その間に自社のお客さまと契約を進められるのです。「売主さまの意向」「物件調査の都合」と言えば、他社は反論しづらくなります。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。「本審査まで通った方を優先」という条件は、一見合理的に聞こえるため、売主さまが疑問を持つことすら難しいのです。

■ 握りつぶし系(㉒㉓)

手口㉒:「売主さまが検討中」で引き延ばす

【 実例 】

他社から申込が入っても、売主さまに伝えずに「売主さまが検討中です」と回答を引き延ばす手口です。1週間、2週間と引き延ばされ、その間に自社で買主さまを見つけようとします。「今週中にはお返事します」と言いながら、毎回延期されるパターンが典型的です。

【 なぜこの手口を使うのか 】

申込を売主さまに伝えずに時間を稼げば、自社の買主さまを見つけるチャンスが増えます。売主さまに伝えてしまうと断りづらくなるため、意図的に報告しないのです。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。申込があったこと自体を知らされないため、判断のしようがありません。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。申込の存在自体を知らされないのですから、対策のしようがないのです。

手口㉓:申込を受け付けない→売主さまに報告しないで放置

【 実例 】

他社から購入申込が入っても、返事すらしないで完全に放置する手口です。手口㉒は「検討中」と返事をしていますが、こちらは返事すらしません。申込書をFAXで送っても無視。電話をかけても折り返しなし。売主さまには申込があったことすら伝えません。ゆめ部長も買主さま側でこの被害にあったことがあります。何度電話しても出ない。メールも返信なし。結局、別の物件を探すしかありませんでした。

【 なぜこの手口を使うのか 】

返事をしなければ、そもそも申込がなかったことにできます。売主さまが知らなければ問題にもなりません。手口㉒と比べてさらに悪質で、他社の営業マンとしてはどうしようもないのが実情です。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。申込の存在すら知らされない以上、握りつぶされていることに気づくことは不可能です。

■ 条件操作系(㉔㉕㉖)

手口㉔:他社の価格交渉を断らせる(ダブルスタンダード)

【 実例 】

他社から100万円の価格交渉ありの申込が入りました。担当者は売主さまに「100万円も交渉を受ける必要はないです。もっと条件が良い買主さまが見つかりますよ!頑張りましょう」と言って断るように誘導。売主さまは担当者を信じて断りました。しかし少し時間が経った頃、担当者は「買いたい方が見つかりました!」と報告。ところが、その申込は200万円引き。すると担当者は「これは決めちゃったほうが良いですよ!契約しましょう!!」と急に態度が変わりました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

100万円引きは断らせて、200万円引きは契約させる。矛盾しています。他社の申込を妨害し、自社のお客さまと契約できれば両手仲介になるからです。担当者は味方のフリをして、裏で売主さまの利益を売り渡しているのです。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。「担当者のアドバイス」として受け入れてしまいます。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。「もっと良い条件のお客さまが見つかりますよ」というアドバイスは、一見売主さまの味方に見えるため、疑うこと自体が難しいのです。

手口㉕:購入申込の金額を改ざん

【 実例 】

ゆめ部長の先輩がイケイケの会社に勤めていた新人時代の話を紹介します。他社から2,800万円の購入申込が入りました。先輩は上司の指示に従い、申込書の「8」の左側をうまく消して「3」に書き換えたそうです。これで2,300万円の申込書になります。500万円も値引きを求める申込なら、売主さまは当然断ります。こうして他社の申込を潰し、自社のお客さまとの契約を目指すのです。先輩は「自分がやっていたから、他社にやられるとすぐわかる」と言っていました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

他社の申込を売主さまに拒否させれば、自社のお客さまと契約できるからです。手書きの申込書だからこそできる手口です。FAXで送った申込書は途中で改ざんされるリスクがあります。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。改ざんされた申込書を「そのまま」見せられるので、疑いようがありません。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。改ざんされた申込書を見せられた時点で、正しい金額を知る術がないのです。

手口㉖:申込後に値上げ

【 実例 】

他社から満額の申込が入った後、担当者が「他にも購入希望者がいるので、価格を上げませんか?」と売主さまに提案するケースがあります。一見、売主さまのためを思っているように見えます。しかし実際は、値上げすれば他社の買主さまが「それなら買いません」と諦める可能性が高い。他社の申込が消えれば、自社で両手仲介できる環境が整います。

【 なぜこの手口を使うのか 】

申込後の値上げは、買主さまにとって不誠実な対応です。不信感を抱いて辞退する買主さまは少なくありません。「売主さまのため」という建前で他社の申込を潰す手段として使われることがあります。

【 見破り方 】

申込後に値上げを提案されたら、本当に他の購入希望者がいるのか具体的に確認してください。「いるかもしれない」程度なら、囲い込みの可能性があります。

【 対策 】

申込後の値上げは慎重に判断してください。満額の申込が入っている状態で値上げする合理的な理由があるのか、冷静に考えましょう。

■ プロセス支配系(㉗㉘㉙㉚)

手口㉗:複数申込が入ったら売主さまが決めます

【 実例 】

複数の申込が入った場合、「売主さまに判断してもらいましょう」と言われることがあります。一見公平に見えますが、どの申込を見せるか、どう説明するかは担当者次第です。自社の申込を有利に見せ、他社の申込のデメリットを強調すれば、売主さまの判断を誘導できます。「こちらのお客さまは住宅ローンの事前審査が済んでいて安心です」と自社を推し、他社については「ローンが通るか微妙ですね…」と不安を煽るのです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「売主さまが選んだ」という建前を使えば、自社を優先しても囲い込みとは言われにくくなります。ブラックボックスの中で申込をコントロールできてしまうのです。

【 見破り方 】

複数の申込を比較する際は、すべての申込書の原本またはコピーを見せてもらってください。どの不動産会社からの申込か、条件を詳しく確認しましょう。

【 対策 】

申込書は原本を直接確認させてもらい、担当者の説明だけで判断しないようにしてください。担当者が見せたがらない場合は要注意です。

手口㉘:現地販売会で申込をコントロール

【 実例 】

人気エリアの物件をレインズに掲載すると、週末の内覧が10組、20組になることがあります。このとき担当者は「現地販売会を開催して申込書を集め、売主さまに判断してもらいましょう」と提案します。しかし実際には、担当者が申込をコントロールしています。自社のお客さまを「売主さまが選びました!」と言えば囲い込み完成。本当は他社に現金満額のお客さまがいても、自社のお客さまを優先できてしまいます。

【 なぜこの手口を使うのか 】

現地販売会を開催すれば、「売主さまの判断」という建前で申込を選別できます。複数の申込書が集まるため、どれを推すかで結果を操作しやすいのです。

【 見破り方 】

内覧が10組あったのに、他社の申込は条件が悪いものばかり、担当者の申込だけ条件が良い…。このように手ごたえと異なる結果になったら要注意です。購入申込書がどこの会社の書類かをチェックしましょう。

【 対策 】

現地販売会を開催する場合は、すべての申込書を直接確認し、どの不動産会社からの申込か把握してください。営業マンから「土日を内覧で潰されたくないですよね?現地販売会がオススメです」と提案されたら要注意です。

手口㉙:オークション制

【 実例 】

「オークションを開催するので、申込期限までは1番手を確定できません」と言って、他社の申込を受け付けない手口です。ゆめ部長が自宅を売却した際、下の階の部屋がオークションをやっていた形跡がありました。レインズで「オークション開催中」と記載されていると気づいた数日後に「申込あり」になり、3週間後に「公開中」に戻っていました。オークション開催期間は他社の内覧を妨害できますし、申込が入っても自社でコントロールして妨害できます。

【 なぜこの手口を使うのか 】

オークション制なら、開催期間中は囲い込みしやすい環境を作れます。「オークションだから」と言えば、他社の申込を保留にしても不自然に見えないのです。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。

【 対策 】

そもそもオークション制は日本の商取引文化に馴染みません。一般のお客さまはオークションに参加しづらく、実際は買取業者に情報をバラまいて高値の業者と契約するケースがほとんどです。物件力を高めて、魅力的な映像コンテンツを用意し、情報を拡散させる方が高値売却への最適解だとゆめ部長は考えています。

手口㉚:買主と面談して購入にふさわしいか判断

【 実例 】

「この物件は売主さまのこだわりが強い物件ですので、購入を希望される方には売主さま(または担当者)と面談していただいています」と言って、面談を購入の条件にする手口です。面談の結果、「今回はご縁がなかったということで」と断れば、理由をつけて他社の買主さまを排除できます。面談の内容は他社に共有されないため、自由に結果を操作できるのです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

面談を口実にすれば、他社の買主さまを自由に断ることができます。「売主さまの意向」という建前があるため、他社は反論しづらくなります。

【 見破り方 】

売主さまが見破るのはほぼ不可能です。売主さま自身が面談に参加していても、担当者が裏で候補者を絞っている可能性があります。

【 対策 】

売主さまにできる対策はありません。面談に参加していたとしても、そもそも面談に呼ばれなかった買主さまがいることを知る術がないのです。

段階4まとめ

段階4の共通点は「申込段階で他社の買主さまを排除する」ことです。

最も重要なポイント:段階4の申込妨害は、売主さまが見破ることが難しい囲い込みです。

12の手口を4つのグループに分けて解説しましたが、共通しているのは「売主さまの目が届かない場所で行われる」ということ。門前払い系・握りつぶし系・条件操作系はもちろん、プロセス支配系も表面上は「公正な手続き」を装っています。

囲い込みの最悪のシナリオ:「干す→値こなし→業者買取」

段階4の申込妨害が続くと、物件は市場で「売れ残り」の烙印を押されます。内覧はあるのに決まらない。売主さまは「値段が高すぎるのかな…」と不安になり、値下げに応じてしまいます。これが「干す」です。担当者が意図的に他社の申込を排除して売却期間を引き延ばし、売主さまの心理を追い込みます。

次に来るのが「値こなし」。担当者は「市場の反応を見ると、もう少し下げたほうがいいですね」と繰り返し値下げを提案します。売主さまは「プロが言うなら…」と応じてしまう。本来売れるはずだった価格からどんどん下がっていきます。

最後に待っているのが「業者買取」です。「個人のお客さまでは難しいので、買取業者に売りましょう」と提案されます。業者買取の価格は市場価格の70〜80%。5,000万円の物件が3,500万円〜4,000万円になる計算です。しかも買取業者との取引は両手仲介が確定するため、担当者にとっては最も利益が大きい結末なのです。

この「干す→値こなし→業者買取」の流れは、段階4の申込妨害が根本原因です。売主さまが見破ることが難しいからこそ、「しません」という約束ではなく「できない」仕組みを選ぶことが重要なのです。

「2番手がいます」=囲い込みとは限らない

ここで1つ注意点があります。「2番手がいます」と言われたからといって、必ずしも囲い込みとは断定できません。人気物件では本当に複数の申込が入ることがあります。重要なのは、申込書の原本を確認できるか、担当者が透明に情報を開示してくれるかです。不透明な対応が続く場合に囲い込みを疑いましょう。

→ 囲い込みが「できない」仕組みの詳細:「囲い込みしません」を信じてはいけない理由|オープン売却プランの仕組みと成功事例

不動産売却の囲い込み手口に関するよくある質問(FAQ)

囲い込みの手口について、売主さまからよくいただく質問に回答します。

囲い込みされるとどれくらい損をしますか?

数百万円の損失につながるケースがあります。

段階4まとめで解説した「干す→値こなし→業者買取」が最悪のシナリオです。囲い込みで他社の申込が排除され、売却期間が長引くと、売主さまは「売れないのかな…」と不安になり値下げに応じやすくなります。5,000万円の物件が4,500万円に値下げされれば500万円の損失。さらに業者買取になれば市場価格の70〜80%まで下がることもあります。

一般媒介なら囲い込みされないのでは?

一般媒介でも囲い込みは起こります。

手口③「心の専任」で解説した通り、一般媒介で1社のみに依頼し、レインズにも掲載しないケースがあります。一般媒介にはレインズ登録義務がないため、むしろ囲い込みしやすいとも言えます。複数社に依頼すればリスクは下がりますが、各社のモチベーションが分散するデメリットもあります。

囲い込みを見破る最も確実な方法は?

段階によって見破りやすさが大きく異なります。

パターンA(レインズ未登録)や段階1〜2(広告・問い合わせ妨害)は、レインズの確認や知り合いの不動産会社への依頼で発見できる可能性があります。しかし段階4(申込妨害)は売主さまが見破ることが難しいのが現実です。最も確実なのは、囲い込みが「できない」仕組みを最初から選ぶことです。

→ セルフチェックの方法はレインズを自分で確認する方法で解説しています。

囲い込みされていたら媒介契約を解除できますか?

解除できます。

専任媒介契約でも、不動産会社側に義務違反があれば、3ヶ月の契約期間中でも解除可能です。レインズ未登録や業務報告義務の不履行は明確な義務違反に該当します。ただし、段階4の申込妨害は立証が難しいため、義務違反を理由にした解除が難しいケースもあります。

まとめ

▼この記事のポイント
  • 囲い込みの根本原因は「二重の利益相反」(①売主vs買主、②売主vs仲介会社)
  • 手口は2パターン・4段階・30種類に分類できる
  • パターンA(①〜⑤):レインズに載せない → 専任媒介なら宅建業法違反
  • パターンB(⑥〜㉚):レインズ登録後の妨害 → 段階1〜4で進行
  • 段階4(申込妨害)は売主さまが見破ることが難しい
  • だから「しません」ではなく「できない」仕組みを選ぶことが重要

■ 次の3ステップ:

  1. まず、セルフチェックで自分の売却状況を確認する
  2. 1つでも不安な点があれば、囲い込みクイック診断を受ける
  3. 本格的に仕切り直すなら、セカンドオピニオンで売却戦略を見直す

→ 対策の詳細は囲い込み対策23選|やるべきこと・避けるべきことで解説しています。

→ 法規制の詳細は囲い込みは違法?|都庁に通報してわかった”動かない現実”で解説しています。

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