不動産売却の囲い込み手口30選|6パターン分類で売主が見抜く方法

「囲い込み手口30選|内覧が来ない??それ…『囲い込み』かも」と解説するゆめ部長キャラクターのアイキャッチ画像。不動産売却における囲い込みの手口を2パターン・4段階で網羅した記事。

「内覧が入らない」「他社からの反応がない」と担当者は言うけれど、本当にそうなのでしょうか?

売れない原因は、物件でも価格でもなく、不動産会社による「囲い込み」かもしれません。

▼この記事でわかること(結論)
  • 囲い込みの手口は2カテゴリ・6パターン・30種類に分類できる
  • 広告妨害だけが緩い囲い込み。他の手口はいずれも売主さまに深刻な損害を与える
  • 特に申込妨害(パターン6)は売主さまが見破ることは非常に難しい
  • クイック診断でも完全には見破れない。だから「しません」ではなく「できない」仕組みを選ぶことが重要

囲い込みの手口は、一見するとバラバラです。レインズに載せない。広告を止める。問い合わせを断る。内覧を入れない。申込をつぶす。

そこで本記事では、現場で起きる30の手口を売却活動のどの段階で妨害するかという視点から、「ゆめ部長式・囲い込み手口6パターン分類」として整理しました。

不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が30の手口を実例ベースで1つずつ解説します。

【 お知らせ 】

本記事は2026年6月時点の情報に基づいています。2025年1月施行の制度改正(レインズの取引状況の登録内容が事実と異なる場合は、指示処分の対象となることの明確化)にも対応しています。

【 注意事項 】

この記事は不動産売買(売却)の囲い込みを専門に扱っています。「賃貸」のおとり広告とは問題点が異なります。

→ 囲い込みの基礎知識は不動産の囲い込みとは?売主が損する手口・見抜き方・対策を業界20年のプロが解説で詳しく解説しています。

ゆめ部長式・囲い込み手口6パターン分類

この記事では、囲い込みの手口30種類を「ゆめ部長式・囲い込み手口6パターン分類」で整理します。

30の手口を読み終えたとき、不動産取引の現場で何が起きているのかが見えるようになります。そして同時に、「自分だけで囲い込みは見破れない」という事実にも気づくはずです。

囲い込みは、「レインズに登録しない」だけではありません。レインズに登録していても、広告を妨害する、問い合わせを断る、内覧を受け付けない、申込を握り潰すなど、現場ではさまざまな形で行われます。

まずは、30の手口がどのパターンに分かれるのか、全体像を確認しましょう。

ゆめ部長式「囲い込み手口6パターン分類」。カテゴリーA「レインズ掲載なし」は、1:宅建業法違反(専任・専属専任)、2:制度の悪用(一般)。カテゴリーB「レインズ掲載あり」は、3:広告妨害、4:問い合わせ妨害、5:内覧妨害、6:申込妨害。

6つのパターンは、大きくカテゴリA(レインズ登録なし)カテゴリB(レインズ登録あり)に分かれます。

カテゴリAは、そもそもレインズに物件情報が登録されていない状態。カテゴリBは、レインズには登録されているものの、その先のプロセスで妨害が行われる状態です。

▼ まずはセルフ診断

30の手口を読む前に、次の8項目で、売却中の不動産が囲い込まれていないかを簡易チェックしましょう。

  • □ レインズ登録証明書をもらっていない
  • 3週間以上、問い合わせ・内覧がゼロ
  • □ 「他社からの問い合わせはありません」と言われ続けている
  • □ 内覧はあるのに、申込が一件も入らない
  • □ 担当者が価格を下げることばかり提案してくる
  • □ 販売活動の報告が曖昧、または報告がない
  • □ 他社に問い合わせたら「商談中」と言われた
  • □ 媒介契約時に「両手仲介を目指します」と言われた

3つ以上当てはまる場合は要注意です。

→ 真っ直ぐ不動産での売却を検討している方で3つ以上当てはまる場合は、不動産売却のセカンドオピニオンとは?売れない原因を6項目で診断をオススメします。

それでは、各カテゴリ・パターンの手口を詳しく見ていきましょう。

カテゴリA・パターン1:宅建業法違反(専任・専属専任)

囲い込み手口6パターン分類のうち、レインズに掲載しない「カテゴリーA」と、パターン1「宅建業法違反(専任・専属専任)」を赤枠で示した図。

専任媒介・専属専任媒介では、レインズへの登録が法律で義務付けられています。それでも現場では、この義務を無視する手口が後を絶ちません。明らかな宅建業法違反です。

それでは、具体的な手口を見ていきましょう。

手口①:レインズに登録しない (専任の義務違反)

【 現場で起きていること 】

ある売主さまは専任媒介契約(1社の不動産会社に売却を依頼する契約)を結びました。担当者から「高値を目指してじっくり探しましょう!」と言われ、頼れる良い人に巡り合えたと安心していました。

ところが、SUUMOには掲載されたものの、2ヶ月経っても内覧は1組だけ。「このままで本当に売れるのかな…」と不安になりました。

別の不動産会社に相談したところ、なんと、「レインズに登録されていませんよ。」と指摘されました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

レインズに登録すれば、他社が買主さまを連れてきます。ただし、その場合の手数料は売主さまの分だけになります (片手仲介)

自社で買主さまを見つけられれば、売主さま・買主さまの両方から手数料を受け取れます (両手仲介)。4,000万円の物件なら、片手で126万円、両手なら252万円。

この差額126万円を自社で独り占めしたい。だから、レインズ登録をあえて避けて囲い込みするのです。

手口②:レインズに登録してすぐ削除する

【 現場で起きていること 】

専任媒介契約を結び、「登録証明書」も受け取った売主さま。3ヶ月経っても売れず不安になり、別の不動産会社に行ってみたところ「あれ?レインズで検索しても見つからないですよ。」と言われました。

その場で担当者に電話をすると、「そんなはずないですよぉ。あれ…もしかして、事務が間違って削除しちゃったのかなぁ」としどろもどろ。これは明らかに意図的な削除であり、宅建業法違反です。

【 なぜこの手口を使うのか 】

登録証明書を使ってレインズを実際にチェックする売主さまは少数派です。だから、こっそり情報を削除しても気づかれません。

レインズに登録されていなければ、他社からの問い合わせを遮断でき、自社だけで買主さまを焦らず探せます。つまり、安心して囲い込みできるわけですね。

→ レインズ登録証明書を使った確認方法はレインズ登録証明書の使い方|もらってない時の対処と売主ログインで解説しています。

パターン1(手口①②)の共通点は「専任媒介・専属専任媒介のレインズ登録義務を無視する」ことです。

▶ 次は、一般媒介の制度を悪用する囲い込みを見ていきましょう。

カテゴリA・パターン2:制度の悪用(一般)

囲い込み手口6パターン分類のうち、レインズに掲載しない「カテゴリーA」と、パターン2「制度の悪用(一般)」を赤枠で示した図。

一般媒介にはレインズ登録義務がありません。この「義務がない」という制度の隙を悪用し、両手仲介を狙う口実に変えてしまうのがパターン2です。一見すると売主さまの味方をしてくれている提案に見える分、気づきにくい囲い込みです。

手口③:「私だけに任せてください」と口約束させる

【 現場で起きていること 】

住み替え先の新築戸建を購入した際、担当してくれた営業マンから「売却も得意なので任せてください!」と提案されました。購入時に価格交渉を頑張ってくれた恩もあり、売却を一任することに。

ところが、営業マンが持参したのは専任媒介契約書ではなく一般媒介契約書でした。「他社には声をかけずに私だけに任せてもらえませんか!?」と頼み込まれ、信頼していたのであまり深く考えずに契約。

しかし、2ヶ月経っても購入希望者は現れませんでした。

【 なぜこの手口を使うのか 】

一般媒介にはレインズ登録義務がありません。営業マンは、あえて一般媒介で契約しながら「他社には頼まないでください」と口約束を求めます。

形式上は一般媒介でも、実態は1社だけに任せる状態。レインズに載せず、自社だけで買主さまを探せるため、他社からの購入申込を避けながら両手仲介を狙えるからです。

一般媒介を使って実質的に1社へ情報を抱え込むこの状態は、業界内で「心の専任」と呼ばれることもあります。一般媒介の制度の隙を悪用した、巧妙な騙しの囲い込みです。

手口④:情報の小出し戦略

【 現場で起きていること 】

不動産会社から「段階的な広告戦略」を提案されました。一般媒介契約を結び、「最初はSUUMO限定で、売れなければ他のポータルサイトへ、さらに売れなければ専任媒介契約で更新してレインズへ登録」という計画。

3ヶ月経過してようやくレインズ登録されました。残念ながら、この期間は囲い込まれていたわけです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

一般媒介にはレインズ登録義務がないため、情報を段階的に公開することで安心して囲い込みができてしまいます。1番売れる確率が高いSUUMOを優先掲載して全力で両手仲介を狙います。「戦略的」という表現を隠れ蓑にして裏で囲い込みしているのです。

不動産売却には「売れやすい3大タイミング」があります。①販売開始時(新着物件として注目される)、②引越時(空室ならいつでも内覧できる)、③値下げ時(お得感で購買意欲が高まる)。このタイミングで情報を最大限拡散しないのは、戦略ではなく、悪意のある囲い込みです。

手口⑤:未公開物件ブランディング

【 現場で起きていること 】

担当者から「レインズに出すと情報の鮮度が下がってしまいます。当社のネットワークで買主さまを探しましょう。『未公開物件が出ました!』と言えばお客さまが飛びついてきますよ」と提案されました。

売主さまは「それなら早く売れるかもしれないなぁ」と期待して媒介契約を締結。しかし、この戦略は失敗に終わり、2ヶ月経っても買主さまは現れませんでした。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「未公開」「限定」という言葉には特別感があり、売主さまも買主さまも惹きつけられます。

不動産会社としては、自社で買主さまを見つければ両手仲介が確定します。だから、「未公開戦略」というもっともらしい言葉を使って、レインズ非登録を正当化するのです。

特別感を演出して、悪意のある囲い込みを覆い隠す手口です。

→ 専属専任・専任・一般媒介の違いは専任媒介と専属専任の違い|不動産会社が言わない本音と選び方で解説しています。

パターン2(手口③④⑤)の共通点は、売主さまと不動産会社の情報格差につけ込み、一般媒介でレインズ非登録を正当化させることです。

「一般媒介にはレインズ登録義務がない」——この制度を売主さまが知らないことを前提に、「私だけに任せて」「段階的に」「未公開で」ともっともらしい理由を並べる。売主さまは「プロが言うなら」と納得してしまいます。情報の非対称性を突いた、巧妙な騙しの囲い込みだと言えるでしょう。

▶ ここからは、レインズには登録されているものの、裏側で他社を妨害するカテゴリBの囲い込み手口4パターンを解説していきます。

カテゴリB・パターン3:広告妨害

囲い込み手口6パターン分類のうち、レインズに掲載する「カテゴリーB」と、パターン3「広告妨害」を赤枠で示した図。

不動産会社がレインズを使って買主さまを見つけるルートは2つあります。

① 自社に登録している購入希望者へ物件を紹介する
② SUUMO・SNS・新聞折込などで広告を出す

ところが、レインズに物件が登録されていても、他社が②の広告を自由に出せるわけではありません。広告を出すには、窓口になっている不動産会社の承諾が必要になります。

つまり、窓口の不動産会社が広告転載を認めなければ、他社は①:購入希望者へ物件を紹介するしかできません。

これが、パターン3「広告妨害」による囲い込みです。

広告だけを妨害し、他社からの問い合わせ・内覧・申込までは妨害しないのであれば、緩い囲い込みだと言えるでしょう。実際、広告だけをNGにする不動産会社はかなり多いですよ。

→ レインズの仕組みはレインズとは?売主が知るべき登録義務・違反の罰則と囲い込みの関係で解説しています。

手口⑥:他社の広告をNGにする

【 現場で起きていること 】

広告妨害の手段は3つあります。

① レインズの広告転載区分を「不可」にする
② 販売図面の下に「広告不可」と記載する
③ 他社からの広告掲載依頼の連絡を全部断る

この3つを徹底すれば、他社は広告を出せません。他社の広告をOKにしてる不動産会社は少数派でしょう。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「自社で広告を打っているから同じ媒体には出さないでほしい」——これは理解できます。広告費が重複するのは不動産会社にとってもムダだからです。

問題なのは、自社で広告費を削減するためにat homeしか登録しないのに、他社の広告を全てNGにしてしまうケースです。自社はろくに広告を出さない。それなのに他社にも出させない。これでは、物件情報が広まらず、買主さまに見つけてもらえるチャンスが減ってしまいますよね。

パターン3(手口⑥)の共通点は、他社が買主さまを見つける2つのルートのうち、広告ルートを封じることです。

▶ 次は、レインズに掲載されていても、他社からの問い合わせを減らす・遮断する手口を解説します。

カテゴリB・パターン4:問い合わせ妨害

囲い込み手口6パターン分類のうち、レインズに掲載する「カテゴリーB」と、パターン4「問い合わせ妨害」を赤枠で示した図。

パターン4は、レインズを見た他社からの問い合わせを減らす・遮断する手口です。

物件情報を劣化させて紹介しづらくする。問い合わせても資料を出さない。感じ悪く対応して諦めさせる。さまざまな方法で、他社の営業マンを遠ざけます。

手口⑦:取引状況の虚偽(レインズ「申込あり」問題)

【 現場で起きていること 】

レインズには、「公開中」・「書面による購入申込みあり」・「売主都合で一時紹介停止中」の3つから選ぶ「取引状況」という項目があります。これは、他社の営業マンに販売状況を伝えるための項目です。

ところが、実際には申込がないのに、「書面による購入申込みあり」に設定する不動産会社があります。すると、他社の営業マンは「もう売れそうだから紹介しても無駄だな」と判断し、問い合わせを控えてしまうのです。

さらに、申込を断ったのに、「申込あり」のまま意図的に放置するケースまであります。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「申込あり」にしておけば、他社からの問い合わせを自然に減らせます。問い合わせが来ても「申込が入っているので紹介できません」と断る口実にもなります。こうして、他社が買主さまを探せないようにするわけですね。

【 参考情報 】
2025年1月の制度改正で、取引状況の虚偽登録に対して行政処分が明確化されました。ただし、レインズ上の取引状況だけが対象であり、電話での「商談中です」「申込入ってます」などの口頭妨害は依然として立証困難のままです。

→ 法規制の詳細は不動産売却の囲い込みは違法?|都庁に通報してわかった”動かない現実”で解説しています。

手口⑧:販売図面を登録しない

【 現場で起きていること 】

レインズに物件情報は登録されていても、販売図面が登録されていないケースがあります。

他社の営業マンが「販売図面を送ってください」と依頼しても、「完成したら登録します」と返事されるだけ。実際、1週間経っても2週間経っても、販売図面は登録されません。

実務の現場では、レインズに販売図面が登録されていないと、「他社に紹介させる気がない物件かもしれない」と受け取られがちです。だから他社の営業マンも「ああ、囲い込みか」と察して、紹介を諦めてしまうのです。

ゆめ部長が販売図面を求めたときには、「図面がないってことはそういうことでしょ。察しろよ」と、謎の上から目線で怒られたこともあります。

【 なぜこの手口を使うのか 】

SUUMOには物件写真も間取図も載っているのに、レインズには販売図面を登録しない——これは明らかにおかしいです。

素材が揃っていれば、30分~2時間で制作可能なのに、それでも制作しない。その理由は、他社に紹介させたくないから。販売図面がなければ他社はお客さまへ紹介しづらくなり、自社で両手仲介できる確率が上がります。「まだ図面が完成していなくて…」という言い訳もしやすい手口です。

手口⑨:販売図面で嫌がらせ

【 現場で起きていること 】

ゆめ部長が買主さま側の仲介をしていた時の話です。レインズで良さそうな物件を見つけたので、販売図面をダウンロードしてみました。

ところが、写真と間取図の解像度が低く、文字もぼやけて読みづらい…。とてもお客さまへ送付できるような販売図面ではありませんでした。担当者に綺麗な図面を送ってほしいと連絡しても、「忙しいから無理。」と冷たくあしらわれてしまうのです。

余談ですけど、10年くらい前までは、ファックスを自分に何度も送って画像をどんどん劣化させ、真っ黒になった販売図面をレインズに登録する会社がありました。また、加工しないと送付できない図面を他社送付用にわざわざ作っている会社まであったのです。当然、自社でお客さまを案内する際は綺麗な図面を別に用意しているのを何度も見かけました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

販売図面を綺麗に作ってしまうと、その図面を見た他社のお客さまが興味を持って内覧に来てしまいますよね。囲い込みをする不動産会社にとって、他社の内覧は邪魔でしかありません。少しでも内覧を減らすために図面でお客さまが興味を持たないようにしているわけです。

手口⑩:販売図面にマイナス情報を追加

【 現場で起きていること 】

販売図面の備考欄に、わざとマイナス情報を目立つように記載するケースがあります。

「心理的瑕疵あり」
「契約不適合責任免責」
「インスペクション不可」

など、買主さまが不安になる注意書きです。

ここで、ゆめ部長の体験談を紹介します。

築浅の一戸建てなのに、インスペクションは不可だし契約不適合責任が免責になっていました。そこで、担当者に理由を問い合わせてみたら、「あっ、間違えました。この物件はそんなことありませんよー。他の物件の図面を流用して制作したから消し忘れですね~ハハハ。」と言われたことがありました。

ちなみに、不思議なんですけど、現地に置いてあった看板に貼られた販売図面には何も書かれていなかったんですよね…。あぁ、これは、囲い込みしたいんだなと理解しました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

マイナス情報が目立てば、他社の営業マンは買主さまに紹介しづらくなります。「トラブルがありそうな物件だな」と判断して、紹介を避けてしまうわけです。

手口⑪:値下げしたのにレインズの価格を変えない

【 現場で起きていること 】

3ヶ月売れなかったので、担当者の提案で200万円値下げすることにしました。SUUMOの価格は変更されたのに、レインズの価格は変わっていませんでした。

他社の営業マンは「まだ高いままだな」と判断し、買主さまに紹介しません。値下げの効果が半減してしまいます。

【 なぜこの手口を使うのか 】

値下げは「売れやすい3大タイミング」の1つです。

SUUMOの価格だけを下げれば、自社経由の問い合わせを増やせます。一方、レインズの価格を変えなければ、他社は値下げに気づかず、「まだ高い物件」として扱います。

つまり、値下げの効果を自社の買主さま探しにだけ使い、他社が買主さまを見つける機会は減らせるのです。両手仲介を狙うために、値下げ情報を意図的に囲い込む手口です。

手口⑫:空室になったのに「居住中」のまま

【 現場で起きていること 】

引っ越しが完了して空室になったのに、レインズの情報は「居住中」のまま放置されているケースがあります。

【 なぜこの手口を使うのか 】

引越時は「売れやすい3大タイミング」の1つです。空室なら「すぐ内覧できます」と案内しやすく、じっくり内覧できるため買主さまの購入意欲も高まりやすいと言えます。

売れやすいタイミングだからこそ、他社に空室の情報を知られると、他社経由で買主さまが決まってしまうリスクが高まります。両手仲介を狙う不動産会社にとっては困るわけです。

だから、レインズを「居住中」のまま放置し、他社の営業マンに「日程調整が必要そうだ」「すぐには見せられないかもしれない」と思わせて、紹介を後回しにさせるのです。空室になったことを他社へ知らせず、自社だけで買主さまを探す時間をつくる手口です。

手口⑬:賃借人が退去したのに「賃貸中」のまま

【 現場で起きていること 】

投資用マンションを売却中。レインズには賃貸中の「オーナーチェンジ物件」として登録されています。売却活動の途中で賃借人が退去した場合、担当者は「賃貸中」を「空室」に変更しなければいけません。

売主さまから空室になったとの報告を受けたにもかかわらず、1週間経っても2週間経っても、レインズは「賃貸中」のままでした。

【 なぜこの手口を使うのか 】

賃貸中のオーナーチェンジ物件は、安い金利で借りられる住宅ローンを使えません。現金購入や投資用ローンを前提とする買主さまが中心になるため、需要が減り、成約までの道のりは険しくなります。

ところが、賃借人が退去して空室になれば住宅ローンが利用可能になり、実需層も対象に入ります。SUUMOなどからの問い合わせも一気に増加するでしょう。しかも、価格が賃貸中のときのまま据え置かれていれば、自社の買主さまにとっては超お買い得物件。両手仲介のチャンスはMaxになり、囲い込みを狙うインセンティブが激増します。

当然、空室になったことを他社にはバレたくありません。だから、レインズでは、賃貸中のオーナーチェンジ物件として放置するわけですね。

手口⑭:資料請求・質問に応じない

【 現場で起きていること 】

他社の営業マンが物件について問い合わせても、資料請求や質問に応じないケースがあります。

「担当者が不在です」「折り返します」と言ったまま連絡が来ない。販売図面を送ってほしいと頼んでも無視される。3回、4回と電話しても状況は変わりません。

【 なぜこの手口を使うのか 】

資料請求に対応せず、質問にも答えなければ、他社の営業マンは買主さまに必要な情報を返せません。

買主さまが「まだ確認できないの?」と不信感を持ち、他社営業マンとのやり取りをやめてしまうことがあります。また、他社の営業マン自身も「この会社は対応してくれない」と判断し、内覧予約を入れることを諦めるかもしれません。

不動産会社の狙いは、他社経由の買主さまをこの段階で離脱させることです。うまくいけば、買主さま自身が物件を見つけて直接問い合わせてくるかもしれません。そうなれば、両手仲介に持ち込める可能性が高まります。

手口⑮:感じ悪くして営業マンを諦めさせる

【 現場で起きていること 】

ゆめ部長が買主さま側の仲介をしていた時の話です。気に入った物件があったので担当者に電話したところ、とにかく感じが悪い。質問しても「はぁ?」「だから何?」という態度。電話を切る時もガチャ切り…。

それでも買主さまのために粘り強く交渉し、なんとか内覧にこぎつけました。最後は意地になって20回以上電話しましたが、普通の営業マンなら3回目には諦めてしまうでしょう。

この物件を買主さまに紹介する前に、内覧を諦めた営業マンはほかにもいたはずです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

感じ悪く対応すれば、たいていの営業マンは「面倒だな…」と諦めます。他社が諦めれば、自社で両手仲介できる確率が上がるわけです。

パターン4(手口⑦~⑮)の共通点は、他社の営業マンが物件を紹介・内覧するまでの流れを途中で止めることです。

物件情報を紹介しづらい状態にする。資料を渡さない。質問に答えない。感じ悪く対応する。こうして、他社の営業マンを物件から遠ざけていきます。

売主さまには、問い合わせや内覧が少ない物件に見えるだけです。実際には、他社の営業マンが物件紹介や内覧を見送っていることに気づきにくいのです。

▶ 次は、内覧の段階で起きる囲い込みを見ていきましょう。

カテゴリB・パターン5:内覧妨害

囲い込み手口6パターン分類のうち、レインズに掲載する「カテゴリーB」と、パターン5「内覧妨害」を赤枠で示した図。

パターン5は、レインズを見た他社からの問い合わせには応じるものの、内覧を制限・妨害する手口です。

手口⑯:内覧NGまたは制限する

【 現場で起きていること 】

他社から内覧予約が入っても、さまざまな理由をつけて断ったり、日時や回数を制限したりする手口です。言い訳のパターンは豊富です。

■ 売主さま都合の言い訳

「引っ越しが終わってから」
「リフォームが終わってから」
「海外出張中だからしばらくNG」
「奥さまが妊娠中だから直前キャンセルあり」

担当者都合の言い訳:

「担当者が外出中」
「契約中・接客中」
「定休日」
「本日は戻りません」

日程・回数の制限:

「内覧は日曜13時〜15時のみ」
「1日1組まで」

【 なぜこの手口を使うのか 】

内覧を制限すれば他社経由の買主さまを排除でき、自社の買主さまを優先的に案内できます。自社の買主さまには「特別に土曜も対応します」と柔軟に対応するのです。前述の通り、両手仲介による報酬増が動機です。

もちろん、本当に売主さま都合で断るケースもあります。問題は、売主さまに確認すらせず担当者の独断で断っている場合です。ゆめ部長は「売主さまに確認せず担当者の判断で断った」ケースを何度も見てきました。

手口⑰:現地から遠い店舗で鍵を預かる

【 現場で起きていること 】

空室の物件を売却中。他社から内覧予約が入ると、担当者はこう回答します。「鍵は店舗管理になってます。物件から1時間以上かかりますが、取りに来てもらってます。案内はどうしますか?」

さらに「郵送はNGです」「事務員のデリバリーもNGです」「当日中に返却してください」と条件が重なります。

ゆめ部長も実際に経験しました。

新横浜駅のマンションを案内するのに、鍵を鎌倉駅まで取りに行かなければならなかったのです。都心の会社に勤務していたので、反対方向の鎌倉駅に鍵を借りに行き、新横浜駅に戻って内覧、鎌倉駅で鍵を返却して、都心に戻る…。結局、この1物件の案内だけで半日が潰れてしまいました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

鍵の受け取りに1時間以上かかるとなれば、たいていの営業マンは「面倒だな」と諦めます。特に、大事な土日に無駄な時間を取られたくないですし、複数の物件を案内する場合はルートにその物件を組み込みたくないのが本音でしょう。

他社の営業マンが諦めれば、他社経由の内覧は減ります。その分、自社で両手仲介できる確率が上がるわけです。空室ならキーボックスを現地に設置すれば済む話なのに、あえてやらない。鍵を遠くに置いておくこと自体が、囲い込みの仕掛けなのです。

手口⑱:空室でも担当者の立会必須

【 現場で起きていること 】

空室のマンションを売却中。他社が内覧予約を入れようとすると、「担当者の立会が必須です」と言われます。

ゆめ部長の体験談を紹介してみましょう。これは、土曜日の朝一に電話したときの会話です。

金曜日にあらためて電話→

ピンと来たゆめ部長は、お客さまにこう伝えました→

「たぶん、囲い込みです。直接この営業マンに問い合わせをすれば内覧できると思いますよ。こちらのことは気にせず問い合わせしてみてください。」

後日、お客さまから電話がありました→

「ゆめ部長の言う通り、『すぐ見れます。今からどうですか?』と言われましたよ。囲い込みしてたんですね。」

自社の買主さまには「今すぐ案内できます」と柔軟に対応しているのに、他社経由の買主さまにだけ「立会必須」を盾に内覧を遅らせる。これが現実です。

【 なぜこの手口を使うのか 】

「立会必須」にすれば、担当者のスケジュールや売主さまの都合を理由に、他社の内覧を防ぐことができます。

空室ならキーボックスを設置する。
居住中なら売主さまの予定を把握する。
営業マンが忙しいなら店舗内で協力し合う。

解決策はいろいろあるので、内覧日をいつまでも決められない理由にはなりません。それでも「立会必須」を盾に内覧を遅らせるのは、他社経由の買主さまを遠ざけるためです。

こうしたことは日常茶飯事——ゆめ部長が現場で20年以上見てきた業界の現実です。

パターン5(手口⑯~⑱)の共通点は、他社経由の内覧の機会を奪うことです。

売主さま自身が内覧可能な日時・条件を把握していれば、担当者の説明とのズレから囲い込みを疑うきっかけになります。

▶ 次は、売主さまの見えない場所で起きる申込妨害を見ていきましょう。

カテゴリB・パターン6:申込妨害

囲い込み手口6パターン分類のうち、レインズに掲載する「カテゴリーB」と、パターン6「申込妨害」を赤枠で示した図。

パターン6は「申込段階での妨害」です。30手口のなかで売主さまが最も判定しづらい囲い込みです。

なぜ判定しづらいのか…?その答えは「申込の状況がブラックボックスになっている」からです。

パターン1〜5は、レインズを確認する、知人に問い合わせてもらうなど、売主さまが自分で異変を検知できる余地がありました。しかしパターン6は違います。申込の受付・拒否・改ざん・引き延ばし——多くは担当者と他社営業マンの間で起きるため、売主さまには見えません。

ただし、申込が断られたからといって、それが必ず囲い込みとは限りません。

Xを見ていると、「最後の最後で申込を断られた。囲い込みだ!」と他社の営業マンが怒っているケースをよく見かけます。でも、申込が入る物件なら、本当に複数の申込が同時に入ることはあります。満額の申込が重なった場合でも、引渡し時期や融資条件を比較したうえで、売主さまが一方を選ぶことは当然あります。申込をしてきた不動産会社の対応に重大な不安があれば、それも売主さまの判断材料になるでしょう。

もちろん、これはすべての申込内容が売主さまに正しく報告され、売主さま自身が選んだ場合に限った話です。不動産会社が自社のお客さまを優先するために、他社からの申込を売主さまに伝えなかったり、条件を隠したり、断るように誘導したりすれば、それは囲い込みです。

また、オークション制や現地販売会のように、売主さま自身が「その戦略でいきましょう」と選んだケースもあります。申込を断られたすべてのケースが「囲い込み」とは限らないのです。

【 重要 】

ここまで読んでも、「結局どうすれば申込妨害から自分を守れるのか」という疑問が残るはずです。残念ながら、プロでも完璧には見破れません。だから、選択肢は2つしかありません。

①ちゃんとした不動産会社を味方につける
②囲い込みが「できない」システムを利用する。

→ 囲い込みが「できない」仕組みの詳細:「囲い込みしません」を信じられますか?|囲い込みできないオープン売却プラン

ここから紹介する手口⑲〜㉚は、ゆめ部長が現場で見聞きしてきた話です。プライバシーに配慮して細部はぼかしていますが、囲い込みの本質は変えていません。

手口⑲:堂々と囲い込み宣言

【 現場で起きていること 】

月曜日に他社へ内覧予約を入れ、土曜日の10:00で設定してもらいました。金曜日の夜に念のため電話で確認したところ、「現時点で検討中のお客さまはいません」との回答でした。

土曜日の午前中に内覧。買主さまは夫婦ともに公務員で住宅ローンの心配はなし。価格は満額。お昼すぎ、担当者に電話して「これから購入申込書をメールで送ります」と伝えました。

すると、驚くべき返事が返ってきます。

と言われ、電話はガチャ切り。

悪びれもなく堂々と囲い込みを宣言する。

おそらく、店舗のノルマが未達だから上から他社の申込は受け付けない方針に変わったのだと思います。もしかしたら、新人で上司に言われたまま受け答えしたのかもしれませんね。

事情はどうであれ、売主さまの大切な資産を自社の商品のように扱うのは許されません。

余談ですけど、「つまり、囲い込みですか?」と聞いたら、「そうですよ。」と答えられて絶句したこともあります。

【 なぜこの手口を使うのか 】

両手仲介を逃したくない——ただそれだけです。

専任媒介だからレインズ登録義務は果たす。内覧までは受け付ける。でも申込をされるのは困る…というのが本音です。他社からの申込を握りつぶせば、売主さまに申込の存在がバレることは通常ありません。

他社の営業マンが怒り、売主さまのポストに「囲い込みされてますよ。」と手紙を入れたことで囲い込みが発覚するケースは聞いたことがあります。

手口⑳:「1番手が入りました」「商談中です」で申込を拒否

【 現場で起きていること 】

現地内覧後、買主さまからの購入申込書を受け取り、担当者に電話しました。

ここで、「あっ、囲い込みしてるんだな」と判断できます。

理由は、回答があまりにも曖昧だからです。もし、本当にお客さまがいるなら、もっと具体的に回答してくれるものです。しかも、声を弾ませて嬉しそうに…。

【 なぜこの手口を使うのか 】

専任だからレインズ登録は一応やります。内覧も受け付けます。なぜなら、他社の内覧を断り続けると、毎回、自分しか案内しないことに売主さまが不信感を持ち、囲い込みがバレる可能性があるからです。

このように、申込段階までは、囲い込みが疑われないようにカモフラージュしています。しかし、実際に申込が入ると申込書を握りつぶして妨害するわけです。

手口㉑:申込のハードルを上げる

【 現場で起きていること 】

買主さまの住宅ローン・事前審査の内定を取った後、購入申込書を受け取りました。担当者が電話に出なかったため、購入申込書をメールで送付。2時間後に折り返しの電話があり、こう言われました。

たしかに、団体信用生命保険に加入できなかったり、ネット銀行で事前審査がひっくり返されることもあります。納得してすぐに対応しました。

1週間後、本審査が内定。
担当者へ電話したところ驚くべき回答が…

ゆめ部長の申込が入る前に契約したくて、事前審査が通ってなくても進めたのだと思います。

【 なぜこの手口を使うのか 】

通常、住宅ローンの事前審査が内定すれば売買契約を締結します。しかし、「売主さまの意向」として本審査内定まで求めれば、1週間~2週間は他社の申込を受け付けずに済むわけです。

ちなみに、2時間の折り返しの間に売主さまを説得していたはずです。「この買主さまの内容だと、事前審査だけでは不安なので、本審査まで通してもらった方が良いですよ。」と耳打ちすれば、売主さまも納得してしまいますよね。

時間稼ぎした期間で買主さまを見つければ、「現金購入のお客さまを1番手にしました」など、適当な言い訳で他社をけむに巻くことができる。そんな理由で行われる手口です。

手口㉒:売主さまを悩ませて引き延ばす

【 現場で起きていること 】

買主さまから購入申込を受け取りました。価格交渉100万円、引き渡しは3カ月後を希望なので、条件交渉が必要でした。

前向きな感じがなくちょっと嫌な予感がしました。
数日後、担当者から電話があります。

その後、1週間…2週間…
何度電話しても結論が出ないまま時間が経過。
そんなある日、電話がきました。

もう、諦めるしかありません。「やられたなぁ…」と悔しい想いを噛みしめながら、申込をしてくれたお客さまには、丁重にお詫びをしました。

【 なぜこの手口を使うのか 】

購入申込は、100点満点のものは数少ないものです。

■ 価格が安い
■ 引渡日が遅い
■ 住宅ローンが厳しい(自己資金0・勤続1年未満など)
■ インスペクション(住宅診断)必須
■ 買い替え特約がある

両手仲介を狙う業者はここを突いてきます。

他社のお客さまの悪い部分をあら探し。「もっと良いお客さまを探しましょう!」とアドバイスすれば、売主さまが納得して引き延ばしに同意してくれる可能性があります。これで他社の申込を断りつつ、自社で買主さまを探す時間を確保するわけです。

手口㉓:他社の価格交渉を断らせる(ダブルスタンダード)

【 現場で起きていること 】

買主さまから価格交渉100万円購入申込を受け取りました。

翌日、担当者から結果報告の電話がありました。

買主さまに報告したら「諦めます…」とのことでした。

後日、レインズから物件情報が削除されました。ちょっと気になったのでレインズで成約情報をチェックしてみたら、衝撃的な事実を知りました。

なんと、「200万円引き」で成約していたのです。

この営業マンは、売主さまを裏切り、仲介手数料は3%請求。売主さまにとって「最大の敵は不動産屋だった」ということですね。

【 なぜこの手口を使うのか 】

不動産売却では、売買金額が大きいため感覚が狂いますけど、100万円は大きな金額です。だから、価格交渉があると多くの売主さまは悩みますよね。

ここが、狙い目なのです。

「100万円の交渉は受けなくていいです!」「満額の買主さまが現れますよ!」と担当者に言ってもらえたら、嬉しくなりますよね。頼りになると感じますよね。

売主さまの味方のフリをする。こうやって、両手仲介を狙って囲い込みしているという事実は、営業マンへの信頼にすり替えられていくのです。

手口㉔:申込後に値上げ

【 現場で起きていること 】

人気のマンションが久しぶりに売りに出ました。このマンション限定で探しているお客さまとすぐに見に行き、その場で満額の購入申込を受け取りました。

人気物件なら仕方ないことではあります。誰に売るかは売主さまが決められるからです。

週明けの月曜日、担当者から電話がありました。

お客さまは満額でも高いと思っていたらしく、回答は「NG」でした。

実は、このマンション。値上げしてから半年過ぎても売れず、結局、販売開始時よりも安い価格になっていました。高値で売れると思った他の部屋が売りに出てしまい、希少性が薄れてしまったのでしょう…。

【 なぜこの手口を使うのか 】

販売開始と同時に満額で複数の申込が入ったのに、自社で両手仲介できる買主さまを見つけられなかった。この状況で営業マンはこう考えたのでしょう。

そうだ。金額を上げてしまえばいいんだ。これでリセットすれば他社の申込を全部断れる。これで、もう一度、両手仲介するチャンスが生まれるぞ。

自社で買主さまを見つけられるまで他社の申込を妨害し続ける。本当に、あの手この手、よくいろんな手口を思いつくものですよね。

手口㉕:物件調査を理由に引き延ばす

【 現場で起きていること 】

築20年の中古戸建に購入申込をしました。

本来、売却活動前に物件調査は終わらせておくべきです。それでも終わっていないのなら仕方ありません。

「おかしいな…」その嫌な予感が的中。やはり、2週間後も物件調査を実施せず、売買契約をセットすることができませんでした。しびれを切らし、「こちらで調査しますから契約しましょう。」と伝えたら…

ずっと売れていない物件だから油断していました。これも、囲い込みだったわけです。

【 なぜこの手口を使うのか 】

ずっと、解説してきたので、もうわかってもらえると思います。両手仲介しか考えていないから、他社の申込が入ったら引き延ばすわけですね。

おそらく、売主さまには、ゆめ部長から購入申し込みがあったことは伝えていないはずです。販売が長期化して疲れ果てた売主さまに対して業者買取を提案。全力で説得しているのだと思います。

なぜ、そう思うのか?それは、販売が長期化した売主さまが、安い金額で売ってしまった事例を数多く見てきたからです。気を付けてください。

手口㉖:購入申込の金額を改ざん

【 現場で起きていること 】

この手口は、ゆめ部長の先輩から直接聞いた話です。

先輩が「ゴリゴリの会社」に勤めていた新人時代のこと。他社から2,800万円の購入申込が入りました。

先輩が決められず、他社から申込が入ったことに上司は激怒。申込妨害工作を命じられます。申込書の「8」の左側をうまく消して「3」に書き換え。これで、500万円安い2,300万円の申込書になりました。

500万円も値引きを求める申込なら、売主さまは当然断ります。こうして他社の申込を握り潰し、自社で見つけたお客さまと契約をしたそうです。

20年以上前の話ですが、同じようなことをやってる営業マンを何度か見たことがあると言っていました。「同じことをやってる営業マンは、見ればすぐにわかる」と笑っていましたが、これは、犯罪ですよね。全く笑えないです…。

【 なぜこの手口を使うのか 】

他社の申込を妨害して時間を稼ぐためですよね。数字を漢字に変えれば防げそうな手口ですけど、それなら、別の手口に切り替えるだけ。きっと、そういう世界なんですよ。

手口㉗:複数申込が入ったら売主さまが決めます

【 現場で起きていること 】

品川区で駅近・相場より少し安いマンションが売りに出ました。レインズには木曜日に登録され、すぐに内覧予約をしたにもかかわらず、既に5組の内覧予約があり、ノールック・満額申込まで入っていました。

明らかに優良物件だったため、ゆめ部長と一緒に内覧したお客さまは、その場で購入申込書を書いてくれました。

日曜日の夜には結果が出るはずなので、忙しいだろうな…と思いながらも担当者に電話しました。

やはりな…と思いました。詳細は言わない。だから、予想するしかありません。「囲い込みしたでしょ」と。

良い条件で売れたのであれば、囲い込みしたとしても売主さまにデメリットがなかったかもしれません。でも、囲い込みしなければ、もっと良い条件で売れたかもしれないですよね。

【 なぜこの手口を使うのか 】

複数の購入申し込みが入った場合、申込の順番ではなく、買主さまの条件を見て売主さまが選ぶ。このルールは間違っていません。完全に正しいです。

しかし、このルールは、両手仲介を狙い囲い込みをする営業マンに完璧な逃げ道になってしまいます。なぜなら、売主さまが選んだという話は、否定することも、文句を言うことも誰にだってできないからです。

「売主さまが選んだ」という建前を使えば、自社を優先しても囲い込みとは言われにくくなります。ブラックボックスの中で申込をコントロールできてしまうわけですね。

この事例のように、複数の満額申込が入り、他社のお客さまは現金購入、自社のお客さまは住宅ローンの利用が必要だったとします。このような場合に、他社の申込をどうやって握り潰すのか…具体例を見てみましょう。

どうですか?営業トークであることを見破れそうですけど、「まぁ、たしかにその通りだな。」と納得してしまいませんか?

こうやって両手仲介できるお客さまを優先して他社を排除する。こんな囲い込みが、現場ではあたり前のように行われています。

手口㉘:現地販売会で申込をコントロール

【 現場で起きていること 】

江東区でフルリノベに適したマンションが売りに出されました。リノベ再販の業者がすぐに買いそうな価格だったので、急いで内覧予約。売主さまは徒歩2分のアパートに住んでいるファミリーでした。

そう言われてしまったら仕方ありません。土曜日の朝一で内覧して申込を受け取りました。

これ以上ない条件で申込いれたけど、これは難しいだろうな…と感じました。月曜日に連絡がなかったので電話してみたところ…

素っ気なく言われて終了。囲い込みされてしまうと買主さま側の仲介会社はどうしようもありません。

【 なぜこの手口を使うのか 】

現地販売会(オープンハウス)というイベントを口実にすることで、平日に他社が内覧することを防げます。土日に内覧してもらい、月曜日に売主さまが選ぶ。このルールにしておけば、手口㉗「複数申込が入ったら売主さまが決めます」と同じやり方で囲い込みができるわけです。

手口㉙:オークション制

【 現場で起きていること 】

杉並区のマンションで内覧予約をした時の話です。

どうやら、買取業者向けにオークションを開催すると、入札期限までに購入申込を集め、その中で1番条件が良い会社または個人と契約するようです。

内覧させたくない雰囲気を感じる回答ですよね。売主さまとの調整が必要なんてあたり前なのに、内覧できるかどうかわかりませんよ…とわざわざ言うわけですから。

買主さまと相談した結果、買えない可能性が高そうだから他の物件を見に行くことになりました。

【 参考情報 】

ゆめ部長が自宅マンションを売却した際、下の階の部屋がオークションをやっていました。レインズで「オークション開催中」と記載されていることに気が付いた数日後、「申込あり」になり、3週間後「公開中」に戻っていました。

相場より高く売りに出しているのに、買取業者がその価格で買うわけがありません。また、高く売りたいのにオークションを利用するのは矛盾しています。オークションを口実にした囲い込みで間違いないでしょう。

【 なぜこの手口を使うのか 】

オークション制なら、開催期間中は囲い込みしやすい環境を作れます。「オークションだから」と言えば、他社の申込を保留にしても不自然に見えないですからね。

オークションを開催する会社にとっては、二段構えで利益を狙えるのが都合がいいのです。

まず、買取業者から売主さまが納得できる金額が出れば、業者と契約する。業者買取になれば、その後の再販時に専任返しにつながる可能性もあります。

一方で、開札額が希望に届かなかった場合に備えて、自社でも買主さまを案内しておく。オークション開催中の物件は、他社の営業マンが「買えるかどうかわからない物件」を案内しづらくなります。

その間に自社だけが案内を進めておけば、開札後に自社の買主さまと両手仲介を狙いやすいからです。

そもそも、一般個人向けの不動産売却では、オークション制はなじみにくい売り方です。一般のお客さまはオークションに参加しづらく、実際には買取業者に情報を広く流し、その中で最も高い金額を出した業者と契約する形になりがちです。物件力を高めて、魅力的な映像コンテンツを用意し、情報を拡散させる方が高値売却への最適解だとゆめ部長は考えています。

余談ですが、業者買取では、営業マン個人がバックマージンを受け取ったり、仲介会社が業者から紹介料を受け取ったりすることがあります。利益が出る物件を買わせてもらったから接待されることもあります。まぁ、いろいろと闇がある業界です。

手口㉚:買主と面談して購入にふさわしいか判断

【 現場で起きていること 】

港区の高級マンションを案内する際に営業マンから言われたことです。

話を聞いてみると、売主さまはこだわりの強い方で、このマンションに住むに相応しい買主かどうかを確認する。とのことでした。たしかに、そんなことを言う売主さまもいます。でも、面談まで求めるという話は初めてでした。

買主さまにこの話をしたら、「上から目線で気持ち悪いですね。このマンションは内覧不要です。」と言われてしまいました。まぁ、納得ですよね。

【 なぜこの手口を使うのか 】

売主さまの面談を口実にすれば、他社の買主さまの内覧を断りやすくなります。「売主さまの意向」という建前があるため、他社は反論できません。

また、他社から申込が入って面談に至っても、「このお客さまは少し気になる点がありましたね…」と売主さまに耳打ちすれば、拒否するように誘導できてしまいます。

めったにない手口ですけど、こんな手口もあるということを紹介したくて、最後の㉚にしました。

パターン6(手口⑲〜㉚)の共通点は、申込段階で、売主さまの見えない場所から他社の買主さまを排除することです。

申込を握りつぶす。返事を曖昧にする。条件を引き上げる。値上げで他社を引き剥がす。「売主さまが選びました」と建前を使う。手口は違っても、狙いは1つ。両手仲介を成立させるためです。

しかも、これらの手口は売主さまにはほとんど見えません。レインズには登録されている。担当者は熱心に動いてくれているように見える。販売活動報告書には「内覧○件・問い合わせ○件」と記載されている。それなのに、なぜか売れない——気づいた時には、他社の申込はすべて握りつぶされた後です。

だからこそ、パターン6は売主さまが自分で見破ることが極めて難しい囲い込みなのです。

30の手口を見終えたところで、売主さまから寄せられる質問にお答えします。

不動産売却の囲い込み手口に関するよくある質問(FAQ)

ここまで30の手口を見てきました。最後に、売主さまから繰り返し寄せられる質問に答えていきます。

囲い込みされるとどれくらい損をしますか?

数百万円の損失につながるケースがあります。

囲い込みで他社の申込が排除され、売却期間が長引くと、売主さまは「売れないのかな…」と不安になり値下げに応じやすくなります。5,000万円の物件が4,500万円に値下げされれば500万円の損失。最終的に買取業者に売ることになれば、市場価格の70〜90%まで下がります。
→ 詳細は不動産業界の闇|高値査定→干す→値こなし→業者買取→専任返しで売主を搾取する仕組みで解説しています。

一般媒介なら囲い込みされないのでは?

一般媒介でも囲い込みは起こります。

手口③「心の専任」で解説した通り、一般媒介で1社のみに依頼し、レインズにも登録しないケースがあります。一般媒介にはレインズ登録義務がないため、むしろ囲い込みしやすいとも言えます。複数社に依頼すればリスクは下がりますが、各社のモチベーションが分散するデメリットもあります。

囲い込みを見破る最も確実な方法は?

完璧に見破る方法は存在しません。

カテゴリA(レインズ未登録)やカテゴリB-パターン3〜4(広告・問い合わせ妨害)は、レインズの確認や知り合いの不動産会社への依頼で発見できる可能性があります。しかしパターン6(申込妨害)は売主さまが見破ることが極めて難しいのが現実です。クイック診断でも完璧には見破れません。なぜなら、レインズに登録されていた、資料もすぐに提供してくれた、案内もさせてくれた——それでも最後の最後で自社で買主さまが見つかり、両手仲介できるチャンスが巡ってきた時点で囲い込みが発動することがあるからです。

だからこそ、囲い込みが「できない」仕組みを最初から選ぶことが最も確実な対策です。

囲い込みされていたら媒介契約を解除できますか?

解除できます。

専任媒介契約でも、不動産会社側に義務違反があれば、3ヶ月の契約期間中でも解除可能です。レインズ未登録や業務報告義務の不履行は明確な義務違反に該当します。ただし、パターン6の申込妨害は立証が難しいため、義務違反を理由にした解除が難しいケースもあります。

まとめ

30の手口、すべて防げるでしょうか? 答えは「ノー」です。だから仕組みで守るのです。

「客付けなんかさせるかよ」——他社に買主さまを紹介させない、という意味のこの言葉を聞いてから20年。手口は変わっても、構造は変わっていません。だから「しません」ではなく「できない」仕組みを選ぶ。これがゆめ部長が20年超の現場経験から導き出した結論です。

▼この記事のポイント
  • 囲い込みの手口は2カテゴリ、6パターン・30種類に分類できる
  • カテゴリA:レインズ登録なし(パターン1・2)
  • カテゴリB:レインズ登録あり(パターン3・4・5・6)
  • パターン6(申込妨害)は売主さまが見破ることが極めて難しい
  • クイック診断でも完璧には見破れない
  • だから「しない」という約束ではなく「できない」仕組みを選ぶことが重要

では、ここから何をすればいいのか。選択肢は2つです。

①ちゃんとした不動産会社を味方につける

信頼できる営業マンを見つけて、その人に売却を任せる。ただし、人を見抜くのは難しい。「囲い込みしません」と言う営業マンほど囲い込みをするのが、この業界の現実です。

②囲い込みが「できない」仕組みを利用する

囲い込みの構造そのものを成立させない売却プランを選ぶ。仕組みを正しく理解して逆に使えば、売主さまの仲介手数料を無料にすることだってできます。

→ 詳細:「囲い込みしません」を信じられますか?|囲い込みできないオープン売却プラン

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