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マンション・家を「売る」か「貸す」か迷ったら|住宅ローン中に貸すリスクを解説

「売るか貸すか迷ったら|住宅ローン中に貸すリスクを解説」と解説するゆめ部長キャラクターのアイキャッチ画像。3つの判断基準と住宅ローン中に無断で貸す契約違反リスクを解説した記事。

住まなくなったマンションや家を「売るべきか、貸すべきか」──転勤・住み替え・相続など、理由はさまざまでも、多くの売主さまが同じ悩みを抱えています。

▼この記事でわかること(結論)
  • 「売る」か「貸す」かは、将来の居住予定・ローン残債・賃貸経営の覚悟の3つで判断する
  • 住宅ローン中に無断で貸すと契約違反になり、残債の一括返済を求められるリスクがある
  • 「貸せば安心」は誤解。空室リスク・確定申告・心理的瑕疵など、想像以上にハードルが高い
  • 迷っているなら売却がおすすめ。ただし不動産会社選びが成否を分ける

「貸せば家賃収入が入るし、資産も残る」──そう考える方は多いのですが、実は大手の比較記事では触れられていない重大なリスクがあります。

住宅ローン中に無断で賃貸に出すと「契約違反」になること、ご存知ですか?

不動産仲介20年超の宅建マイスター、ゆめ部長が「大手が書かない切り口」で解説します。

※本記事は2026年3月の最新情報に対応しています。

→ 売却の全体像は「マンション・家の売却の流れと手順」で詳しく解説しています。

「売る」か「貸す」かを決める3つの判断基準

住まなくなった不動産をどうするか。ネットで調べると「メリット・デメリット比較」ばかり出てきますが、まず確認すべきは次の3つです。

判断基準①:将来また住む予定があるか?

最もシンプルで、最も重要な判断基準です。

「3年後に戻ってくる予定がある」など、再び住む可能性が明確なら賃貸を検討する価値があります。この場合は、契約期間を限定できる「定期借家契約(ていきしゃっかけいやく)」を選ぶことで、戻りたいタイミングで確実に物件を取り戻せます。

一方、「戻るかどうかわからない」「たぶん戻らない」という場合は、売却を優先的に検討すべきです。普通借家契約(ふつうしゃっかけいやく)で貸してしまうと、借主の権利が強く保護されるため、貸主の都合で退去してもらうことが非常に難しくなります。

判断基準②:住宅ローンは完済しているか?

ここが最大の落とし穴です。

住宅ローンが完済済みであれば、売却と賃貸を純粋に比較検討できます。しかし、ローンが残っている状態で賃貸に出すことは原則としてできません。無断で貸した場合、契約違反となり、残債の一括返済を求められるリスクがあります。

「ローンが残っているけど貸したい」と思っている方は、次のセクションで解説する重大なリスクを必ず読んでください。

判断基準③:賃貸経営の手間とコストを許容できるか?

「貸す」を選ぶということは、小さな不動産事業を始めるということです。

入居者の募集、賃貸借契約の締結、家賃の集金、設備の修繕対応、退去時のリフォーム、クレーム対応──これらを自分でやるか、管理会社に委託するかを決める必要があります。管理会社に委託する場合、家賃の約5%が管理手数料としてかかります。

さらに、家賃収入には所得税・住民税がかかるため、毎年の確定申告も必要になります。会社員の方は「確定申告なんてやったことがない」という方がほとんどでしょう。この手間とコストを許容できるかどうかは、事前にしっかり考えておくべきポイントです。

住宅ローン中に貸すのは契約違反──「同僚がみんなやってる」は言い訳にならない

この記事で最も伝えたいことを書きます。大手の比較記事では「金融機関に相談しましょう」程度でサラッと流されていますが、現場で売主さまと向き合ってきたゆめ部長は、もっとはっきり伝えます。

住宅ローンは「自分が住む家」のための融資

住宅ローンは、金融機関と借主の間で結ぶ「金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)」に基づいて実行されます。この契約には「借主本人またはその家族が居住する」という融資条件が明記されています。

つまり、住宅ローンの低金利は「自分が住むから」という前提で提供されている特別な条件です。変動金利で0.3%台という数字は、不動産投資ローンの1.5〜3.0%台と比較すれば破格の優遇であることがわかります。

この優遇を受けておきながら、第三者に貸して家賃収入を得るのは、契約の趣旨に完全に反する行為です。

無断で貸すと何が起きる?──期限の利益喪失のリアル

住宅ローン中に金融機関に無断で賃貸に出した場合、発覚すると次のような対応を求められます。

段階1:金融機関からの指導
まず金融機関から「契約違反である」と指導が入ります。自宅に戻るか、賃貸をやめるよう求められます。

段階2:優遇金利の取り消し
0.3%台だった変動金利が2%以上に引き上げられるケースがあります。毎月の返済額が数万円単位で跳ね上がることになります。

段階3:期限の利益喪失──残債の一括返済請求
それでも改善しない場合、金銭消費貸借契約に記載されている「期限の利益喪失条項(きげんのりえきそうしつじょうこう)」が発動します。

「期限の利益」とは、借主が毎月の分割返済を続けられる権利のことです。この権利を失うと、金融機関は住宅ローンの残債全額を一括で返済するよう請求できるようになります。

残債が3,000万円あれば、3,000万円を一括で返せということです。当然、払えない場合がほとんどでしょう。その先に待っているのは、競売(けいばい)による自宅の強制売却です。

段階4:信用情報の毀損
一括返済請求や延滞が発生すると、個人信用情報に記録されます。いわゆる「ブラックリスト」です。将来の住宅ローン、自動車ローン、クレジットカードの審査に大きな影響が出ます。

「同僚がみんなやってる」は免責事由にならない

ゆめ部長が現場で感じるのは、「会社の同僚もローン返済中に貸してるから大丈夫でしょ」という認識の甘さです。

2025年1月のYahooニュースでは、ある大手金融機関が「無断貸しの発覚が年間数百件に上っている」と回答したことが報じられています。金融機関は転送不要郵便物の返送、現地調査、他の取引状況の確認など、複数の方法で居住実態をチェックしています。

「バレていないだけ」の人が、ある日突然バレる。それが現実です。

そして万が一バレたとき、「同僚がみんなやっていた」は何の免責事由にもなりません。金銭消費貸借契約は借主と金融機関の1対1の契約であり、他人がやっていることは一切関係がないからです。

やむを得ない事情で認められるケース(転勤等)

ただし、すべてのケースで賃貸が禁止されるわけではありません。

転勤・介護・海外赴任など、ローン契約時に予測できなかった「やむを得ない事情」がある場合は、金融機関に事前相談することで賃貸への転用を認められることがあります。

金銭消費貸借契約書に「融資対象物件を賃貸物件とする場合には、あらかじめ銀行の承諾を得るものとする」と記載されていれば、交渉の余地があります。

ポイントは「事前に」「正直に」相談すること。無断で貸した後に発覚してから相談しても、金融機関の対応は厳しくなります。

なお、住宅金融支援機構(フラット35)の場合は、やむを得ない事情であれば3年以内に限り、住宅ローンのまま賃貸を認めてもらえる制度があります。

「売る」場合のメリット・デメリット

判断基準とリスクを理解したうえで、ここからは「売る」「貸す」それぞれの具体的なメリット・デメリットを整理します。

売るメリット:まとまった資金・維持費からの解放・税制優遇

売却の最大のメリットは、まとまった現金を一度に手にできることです。住み替えの頭金、教育資金、老後資金など、使い道を自由に決められます。

もう1つ見逃せないのが、維持費からの完全な解放です。住んでいなくても、マンションを所有している限り以下の費用がかかり続けます。

  • 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
  • 固定資産税・都市計画税
  • 火災保険料
  • 室内の劣化を防ぐための管理コスト

売却すれば、これらの支払いがすべてなくなります。

さらに、マイホームの売却には税制優遇があります。「居住用財産の3,000万円特別控除」を使えば、譲渡所得(売却益)が3,000万円までは非課税です。多くの売主さまは、この特例により譲渡所得税がゼロになります。

売るデメリット:資産を手放す・譲渡所得税・売却の手間

当然ですが、売却すると資産を完全に手放すことになります。「やっぱり戻りたい」と思っても、同じ物件を買い戻すことはほぼ不可能です。

売却益が3,000万円を超える場合は譲渡所得税が発生します。所有期間が5年以下なら約39%、5年超なら約20%の税率がかかるため、高額物件ほど注意が必要です。ただし、先ほどの3,000万円特別控除と組み合わせれば、実際に課税されるケースは限定的です。

また、売却活動には一定の時間と手間がかかります。査定から売買契約まで一般的には3〜6ヶ月、物件によっては1年以上かかることもあります。「すぐに現金化したい」という方は、スケジュールに余裕を持って動き出す必要があります。

「貸す」場合のメリット・デメリット

次に「貸す」場合を見ていきます。家賃収入が入ってくるイメージばかりが先行しがちですが、現実はそう甘くありません。

貸すメリット:家賃収入・資産保有・将来また住める

最大のメリットは、入居者がいる限り毎月の家賃収入を得られることです。立地が良く賃貸需要の高いエリアであれば、安定した収入源になる可能性があります。

また、所有権はそのまま残るため、将来の選択肢を残せます。定期借家契約で期間を限定すれば、契約満了後に自分が戻ることも、改めて売却することもできます。

相続の観点でも、不動産という資産を子どもや孫に残せるのはメリットといえるでしょう。

貸すデメリット:空室リスク・管理の手間・確定申告・心理的瑕疵・災害リスク

ここからが本題です。「貸す」を選ぶ前に、以下のデメリットをすべて理解しておいてください。

空室リスク

入居者がいなければ家賃収入はゼロです。しかし、空室の間も管理費・修繕積立金・固定資産税の支払いは続きます。ゆめ部長の現場経験では、退去から次の入居者が決まるまで1〜3ヶ月程度かかるケースが多く、その間は完全な持ち出しになります。

管理の手間とコスト

設備の故障対応、入居者からのクレーム、退去時の原状回復──オーナーとしてこれらに対処する責任が生じます。管理会社に委託すれば手間は軽減されますが、家賃の約5%の管理手数料がかかります。入居者募集時には仲介手数料(家賃1ヶ月分が上限)も発生します。

確定申告の義務

家賃収入は「不動産所得」として課税対象になります。不動産所得が年間20万円を超える場合、毎年の確定申告が必要です。会社員であっても例外はありません。給与所得と合算して課税されるため、所得税・住民税が増えることになります。

なお、「同僚が貸しているけど確定申告なんてしていないらしい」という話を聞くことがありますが、それは単に脱税しているだけです。申告しなければ無申告加算税(最大20%)や延滞税が課され、悪質と判断されれば重加算税(35〜40%)の対象にもなります。税務署は不動産の登記情報や賃貸管理会社への照会から家賃収入の存在を把握できるため、貸すのであれば確定申告は避けて通れない義務だと理解しておいてください。

心理的瑕疵のリスク

あまり語られませんが、ゆめ部長が現場で実際に経験しているリスクです。貸している間に入居者が室内で亡くなった場合、その物件は「心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)」になる可能性があります。こうなると、売却時の価格は大幅に下がり、次の入居者募集も困難になります。高齢の入居者に限った話ではなく、孤独死は年齢を問わず起こりうるのが現実です。

災害リスク

近年、地震だけでなく台風や集中豪雨による水害リスクも高まっています。貸している物件が被災した場合、修繕費用は貸主の負担です。火災保険でカバーできる範囲には限りがあり、自己負担が発生するケースも少なくありません。自分が住んでいない物件の修繕に数百万円を投じる覚悟があるかどうか、冷静に考えてみてください。

普通借家契約の解約制限

普通借家契約で貸した場合、借主の権利が強く保護されます。「やっぱり売りたい」「自分が住みたい」と思っても、貸主の都合で退去してもらうことは極めて難しく、高額な立退料が発生するケースもあります。

売るか貸すかを迷ったら──ゆめ部長の結論

ここまで判断基準・リスク・メリット・デメリットを解説してきました。最後に、不動産仲介20年超のゆめ部長として、率直な結論をお伝えします。

迷っているなら売却をおすすめする3つの理由

「売るか貸すか、どっちがいいですか?」と聞かれたら、ゆめ部長の答えは明確です。迷っているなら売却をおすすめします。

理由1:「貸す」は明確な目的がある人の選択肢
「3年後に確実に戻る」「賃貸経営を本格的にやりたい」──こうした明確な目的がある人にとって、賃貸は合理的な選択肢です。しかし「なんとなく貸しておけば安心」という動機で始めると、空室・管理・確定申告・心理的瑕疵といったリスクに直面したとき、後悔する可能性が高いです。

理由2:時間が経つほど不利になるリスクがある
建物は築年数が経過するほど資産価値が下がるのが一般的です。「とりあえず貸しておいて、いつか売ろう」と先延ばしにしている間に、売却価格が下がる可能性があります。賃貸で得た家賃収入よりも、売却価格の下落幅の方が大きかった──そんなケースも珍しくありません。

理由3:売却の方がスッキリ次に進める
住まなくなった不動産を持ち続けるのは、精神的にも負担になります。管理会社からの連絡、入居者トラブルの対応、毎年の確定申告──これらから解放されて、次のライフステージに集中できるのは、売却ならではのメリットです。

ゆめ部長自身、2018年に購入した自宅マンションを8年間住んだ後に売却した経験があります。売却額から購入額を差し引くと約2,200万円のプラス。ここから8年間の保有コスト(管理費・修繕積立金・住宅ローン金利・固定資産税など約700万円)を引くと、実質の利益は約1,500万円です。

一方、もしこの8年間を賃貸で暮らしていたら? 家賃20万円×12ヶ月×8年+更新料で約2,000万円の支出です。この支出がなかったことを加味すると、「購入して住み、売却した」選択は賃貸暮らしと比べて約3,500万円の差を生んだ計算になります。

なお、売却には別途諸費用が約700万円かかっています(賃貸暮らしでも引越し費用・敷金礼金・更新料などの初期コストがかかるため、単純に3,500万円から引く比較にはなりません)。ゆめ部長は自社の「0円売却プラン」を使ったため仲介手数料(約250万円相当)がゼロになり、その分手残りが増えました。

もちろん、これは不動産価格が上昇していた時期だからこその結果です。すべての人に同じことが起きるとは言いません。ただ、仮に不動産価格が横ばい、あるいは多少下がっていたとしても、賃料2,000万円の支出がなかった分だけ手残りは多く、しかも賃貸よりも充実した設備で快適に暮らせていたことになります。

これはあくまで一事例です。ですが、「住宅を購入して住み、適切なタイミングで売却する」という選択肢が、経済的にも悪くないことは伝わるのではないでしょうか。

売却するなら不動産会社選びが成否を分ける

売却を決めたら、次に重要なのは「どの不動産会社に依頼するか」です。

ゆめ部長がこの仕事を20年以上続けてきて断言できるのは、同じ物件でも、担当する不動産会社によって売却結果は大きく変わるということ。

特に注意してほしいのが「囲い込み(かこいこみ)」です。これは、売主さまから預かった物件を他社に紹介せず、自社で買主も見つけることで両方から仲介手数料を得ようとする行為です。囲い込みをされると、本来もっと高く・早く売れたはずの物件が、安値で長期間売れ残ることになります。

不動産会社を選ぶ際は、囲い込みをしない会社かどうか、売主の利益を最優先にしてくれる会社かどうかを見極めてください。

「売るか貸すか」に関するよくある質問(FAQ)

住宅ローンが残っているのに賃貸に出したらどうなる?

本文の「住宅ローン中に貸すのは契約違反」で詳しく解説していますが、一言でいえば──金融機関に無断で貸した場合、優遇金利の取り消しや期限の利益喪失(残債の一括返済請求)のリスクがあります。必ず事前に金融機関へ相談してください。

転勤の場合は住宅ローンのまま貸せる?

本文の「やむを得ない事情で認められるケース」で解説していますが、転勤など予測できなかった事情がある場合、金融機関への事前相談で賃貸が認められることがあります。フラット35は3年以内の制限あり。金融機関によって判断が異なるため、必ず事前に確認してください。

売却と賃貸、手取りが多いのはどっち?

ケースバイケースですが、一般論として「短期間で確実にまとまった金額を得たい」なら売却、「長期間にわたって少しずつ収入を得たい」なら賃貸です。ただし賃貸の場合、空室期間・管理費・修繕費・税金を差し引くと、手取りは想像より少なくなります。10年20年と長期で貸す場合は家賃の下落や大規模修繕の負担も考慮が必要です。「家賃収入=まるごと利益」ではないことを理解しておいてください。

まとめ

この記事のポイント:
  • 判断基準は「将来の居住予定・ローン残債・賃貸経営の覚悟」の3つ
  • 住宅ローン中の無断賃貸は契約違反で期限の利益喪失のリスクあり
  • 「貸せば安心」は誤解──迷っているなら売却を優先的に検討してください。

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