マンション・家の売却の流れと手順|不動産仲介20年超のプロが全9STEPで解説
マンションや家の売却を考え始めたけれど、何から手をつければいいのかわからない。そんな不安を抱えていませんか?
不動産売却は人生で何度も経験するものではありません。「不動産会社に任せておけば大丈夫」と思いたいところですが、売主自身が流れを理解しているかどうかで、売却の結果は大きく変わります。
- 売却相談から引渡・確定申告まで、全9STEPの流れがわかる
- 各STEPで売主が「やるべきこと」と「注意すべき落とし穴」がわかる
- 不動産会社選びが売却成果を左右する理由がわかる
- 両手仲介の罠など、業界の構造的な問題点を理解できる
- ゆめ部長の進め方と一般的な不動産会社との違いがわかる
実は、売却の流れを解説するサイトはたくさんありますが、「現場で実際に何が起きているか」まで踏み込んで書いている記事はほとんどありません。
不動産仲介20年超・宅建マイスターのゆめ部長が、財閥系大手から零細企業まで経験した現場目線で、売却の全体像をわかりやすく解説します。
【 お知らせ 】
※本記事は2026年3月の最新情報に対応しています。
※この記事は売主さま向けです。売買専門の不動産会社「真っ直ぐ不動産」が運営しています。
STEP1 はじめの1歩 ─ 成功ストーリーを描こう
不動産売却の最初のステップは、「いくらで売れるか」を調べることではありません。家族で「成功ストーリー」を共有することから始まります。
家族で話し合う5つのこと
売却を始める前に、家族で次の5つを話し合ってみてください。
- 売却する理由は?──住み替え・相続・離婚・転勤など、理由によって最適な売り方が変わります
- 売却スタート・ゴールの時期は?──「3月末までに引渡したい」と「急がない」では戦略が全く違います
- 目標の売却価格は?──住宅ローンの残債、次の住まいの資金、諸費用を踏まえて「手残りいくら必要か」を考えます
- どんな不動産会社に依頼する?──大手の安心感か、サービスの充実度か、仲介手数料の安さか
- どんな担当者を選ぶ?──会社が良くても、担当者が悪ければ結果は出ません
この5つに優先順位をつけてみてください。優先順位の「上位3つ」を満たせるかどうかに焦点を当てて不動産会社を選ぶと、後悔の少ない売却になります。
話し合った結果を訪問査定の際に不動産会社へ伝えれば、的確なアドバイスがもらえます。逆に、ここが曖昧なまま査定を依頼すると、不動産会社のペースに巻き込まれてしまいます。
→ 詳しくは 不動産売却のはじめの1歩 で解説しています。
→ 売却か賃貸か迷っている方は 売るか貸すか迷ったら を先に読んでみてください。
不動産屋さん選びが売却成果を決める
会社の規模ではなく、「担当者がどれだけ本気か」で売却成果は決まります。大手・中堅・零細すべてで働いた経験から断言します。大手の看板があっても担当者の質にバラつきがあり、逆に零細企業でもアタリの担当者はレベルが高い。妥協せず、「会社」と「担当者」の両方を見て選んでください。
→ 具体的な選び方の基準は 不動産会社の選び方5つの基準 で解説しています。
STEP2 査定 ─ 適正価格を見極める
不動産会社を探しながら、並行して査定を依頼します。査定は「机上査定」と「訪問査定」の2段階があり、精度は 机上査定 < 訪問査定 です。
【 このセクションのポイント 】
査定金額は不動産会社によって大きく異なります。「高い査定=高く売れる」ではありません。査定金額の根拠を自分で検証できるようになることが、適正価格で売却する第一歩です。
机上査定と訪問査定の違い
机上査定は、物件情報をもとに簡易的な査定金額を算出する方法です。現地確認を行わないため精度は低いですが、メール・電話だけで金額を知ることができるため、最初の1歩として始めやすい方法です。
訪問査定は、実際に現地を見て精度を高めます。設備・仕様・使用状況(キズ・汚れ・不具合)・陽当り・バルコニーからの景色・周辺環境などを確認し、机上査定の金額を補正します。
おすすめの流れは「まずメールで机上査定を3〜5社に依頼し、対応が良かった会社に訪問査定を依頼する」です。
ゆめ部長の場合、訪問査定には最低1時間30分、できれば2時間の時間をもらっています。高値成約を実現するための考え方を説明しつつ、売主さまの売却理由や要望もしっかり伺いたいからです。「室内を見て3分で帰る」ような査定では、適正な金額は出せません。
査定で確認される項目
物件種別によって調査内容は異なります。
マンションの場合:
- 管理規約・総会議事録(直近3期分)
- 長期修繕計画に関する資料
- 管理費・修繕積立金の額と滞納の有無
- 耐震診断の実施状況・結果
一戸建て・土地の場合:
- 道路種類の確認・接道状況
- 境界票と越境の確認
- ライフライン(上水・下水・ガス)
- 法律・条例の制限
- 測量・登記の必要性
特に一戸建て・土地は、物件調査の結果で査定金額が大きく変わることがあります。
→ 査定の詳しい仕組みは マンションの査定方法 で解説しています。
→ 住宅ローンが残っている方は 住宅ローンの残債があっても売却できる? を確認してください。
AI査定・一括査定の落とし穴
AI査定の精度は高くありません。AI査定はデータベース上の成約事例を統計処理するため、眺望の良し悪し、管理組合の財政状況、室内のリフォーム状態など、現地でしか確認できない要素が反映されません。同じマンションでも数百万円のズレが出ることがあります。不動産会社がWebページに集客するための手段として流行していますが、結果をそのまま信用するのは危険です。
一括査定は、売却戦略そのものが歪む原因になります。一括査定サイトは、登録した不動産会社が紹介料を支払う仕組みです。不動産会社は紹介料の元を取るために「高い査定金額で媒介契約を取り、あとで値下げさせる」戦略に走りやすくなります。営業がしつこいだけでなく、最初から売却の方向性がズレてしまうのです。営業されるのが苦手なら利用してはいけません。
→ 詳しくは 一括査定をオススメしない理由 をどうぞ。
STEP3 売却準備 ─ 大切な商品を磨く
査定が終わり、依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結する前に売却準備を進めます。準備の質が売却成果に直結するため、このSTEPは手を抜かないでください。
【 このセクションのポイント 】
売却準備は「室内を整える」と「物件資料を揃える」の2軸で進めます。さらに、トラブルの大半を占める「付帯設備表」「物件状況報告書」を販売開始前に作成するのがプロの仕事です。
室内を整えて「商品」として磨く
売却する不動産は「高額な商品」です。購入を検討する人は細かい部分まで厳しくチェックします。
準備のポイントは次の通りです。
- 清潔感:水回りを中心にクリーニング、カーテンの洗濯、細かい箇所のホコリ取り
- 広さの演出:荷物が多いなら処分するか、実家やトランクルームへ移動
- 小物の準備:スリッパ、観葉植物、芳香剤(スティックタイプ)など
- 破損個所のリペア:壁の穴、落書き、フローリングのキズ
空室の場合は、電気・水道を使える状態のまま、照明器具とエアコンはできるだけ残してください。
ゆめ部長の経験では、ここまで準備した物件は内覧に来たお客さまの反応が明らかに良くなり、平均的な物件より少ない内覧回数で成約に至っています。
物件資料を揃えて資産価値を伝える
購入を検討している人は、建物の構造・仕様・保証・修繕履歴・地盤の強さなど、資産としての価値を裏付ける情報を求めています。
事前に準備しておきたい主な資料はこちらです。
- 固定資産税の納税通知書と課税明細書
- 購入時の重要事項説明書
- 設計図書一式
- 分譲時パンフレット(マンションの場合)
- 長期修繕計画(マンションの場合)
- 管理規約・使用細則、直近3期分の総会議事録(マンションの場合)
ゆめ部長の場合、物件資料を先に預かり、すべてPDF化しています。分譲時パンフレットには物件の魅力が詰め込まれていますから、そこから高値成約に結びつく情報を抜き出して販売図面に盛り込みます。ここまで準備する不動産会社は少数派です。
→ 書類の詳細リストは 売却に必要な書類一覧 で確認できます。
付帯設備表・物件状況報告書を先に作る理由
不動産売買のトラブルの大半は「付帯設備表」と「物件状況報告書」に関するものです。
「付帯設備表」は、設備の有無・故障不具合の有無・残置するか撤去するかを取り決める書類です。「物件状況報告書」は、建物の不具合・周辺環境の問題・事件事故の履歴など、買主が知っておくべき情報を記載する書類です。
多くの不動産会社は、この2つの書類を売買契約の場で売主さまに記入させています。これは絶対にダメです。その場で慌てて書けば、正しい情報を記載できません。
ゆめ部長の場合、販売開始前に売主さまと一緒に現地で1つ1つ確認しながら作成します。先に伝えれば「誠実」と好印象になるのに、後出しにすれば「不誠実」とトラブルの火種になる。だからこそ、販売を開始する前にこの書類と向き合うべきです。
→ 準備の全体像は 不動産売却は準備で差がつく! で詳しく解説しています。
→ 付帯設備表の詳細 / 物件状況報告書の詳細 はこちら。
STEP4 媒介契約 ─ 売却活動をスタートする契約
売却準備が整ったら、不動産会社と媒介契約(不動産会社に売却を依頼する契約)を締結します。この契約で売却活動がスタートします。
媒介契約には「専属専任」「専任」「一般」の3種類がありますが、実質的には「専任」か「一般」の2択で考えれば十分です。ゆめ部長は、良い不動産会社を見つけて専任で任せることが最善だと考えています。
また、仲介手数料は法定の「上限」であって定価ではありません。契約期間・解約条件・追加費用の有無もあわせて確認してください。
重要:訪問査定の直後に媒介契約を迫る会社がいますが、準備が整う前に市場へ出ると第一印象が悪くなり、挽回が困難です。「準備が完了してから契約する」──この順番を守ってください。
→ 3種類の媒介契約の違い・契約書の確認ポイントは 媒介契約とは?仕組み・種類・締結方法を不動産のプロが徹底解説 で深掘りしています。
STEP5 売却活動 ─ 情報を拡散して買主を探す
媒介契約が完了したら、いよいよ売却活動の開始です。情報をどれだけ広く拡散できるかが、内覧数と成約スピードを左右します。
【 このセクションのポイント 】
レインズとポータルサイトの2つのルートで情報を拡散し、内覧につなげます。売れないときは「価格が原因か、不動産会社が原因か」を見極めることが重要です。
レインズとポータルサイトへの登録
媒介契約を締結すると、レインズ(不動産会社同士が売却情報を共有するネットワーク)やポータルサイトに物件情報が登録され、売却活動が本格的にスタートします。レインズ登録後に発行される「登録証明書」は必ず受け取り、自分の物件情報が公開されているか確認してください。
→ レインズの仕組み・登録義務・囲い込みとの関係は レインズ(REINS)とは?売主が知るべき仕組みと囲い込みとの関係 で詳しく解説しています。
内覧対応のコツ
販売情報が拡散されると、土曜日・日曜日・祝日を中心にお客さまが内覧するようになります。はじめての内覧は緊張するかもしれませんが、コツを押さえれば大丈夫です。
売主さまだからこそわかる「生活者目線の情報」を丁寧に伝えてください。
- 小学校の評判、親切な小児科、安いスーパー
- ゴミ当番や町内会の様子
- 隣人さんの人柄
設備・仕様・リフォーム履歴などの専門的な話は不動産会社に任せ、売主さまは「住んでいるからこそわかること」を担当しましょう。「あんなに親切な人が住んでいたお家なら安心だね!」と思ってもらえたら、成約率は格段に上がります。
内覧前の準備チェックリスト:
- 30分前に空気を入れ替え、エアコンをつけておく
- 照明をすべて点灯、カーテンと扉を全て開ける
- 直前にトイレを使わない、洗濯機を回さない
- お風呂・キッチンの水を拭いておく
- スリッパを綺麗に並べる、靴・傘はしまっておく
内覧の目安を押さえておきましょう。
- 内覧1回あたりの所要時間:15分〜30分
- 成約までの平均内覧件数:10組〜20組
- 成約までの平均期間:3ヶ月〜6ヶ月
早ければレインズ登録当日に申込が入ることもありますし、粘り勝ちで1年半かかった事例もあります。
ゆめ部長の場合、はじめての内覧がある当日は30分前に訪問し、おもてなしの準備ができているかを確認しています。内覧の順番、売主さまにお話に参加してもらうタイミングまで事前に打ち合わせをします。「わたし…人見知りなんです!」という売主さまでも安心してもらえるよう、ゆめ部長から売主さまを紹介するようにしています。
→ 内覧対策の詳細は 内覧対策完全ガイド をどうぞ。
→ 売却期間の目安は 売却期間はどれくらい? で解説しています。
売れないときの対処法
売却活動が長引くと、不動産会社から「値下げしましょう!」と提案があるはずです。しかし、値下げの前に確認すべきことがあります。
売れない原因は「価格」なのか?「不動産会社の動き」なのか?──媒介報告の中身を自分でチェックする習慣をつけてください。
専任媒介なら2週間に1度、不動産会社から「媒介報告(販売活動報告)」があります。問い合わせ数・内覧数・検討者数・担当者のアドバイスがまとめられていますので、しっかり確認してください。この報告がなければ宅建業法違反です。報告すらしない不動産会社なら、囲い込みも平然としている可能性があります。
値下げ提案を受ける場合は、「なぜ値下げしなければいけないのか」の根拠を必ず示してもらい、納得してから判断しましょう。
ゆめ部長の場合、「すぐに値下げしましょう!」と積極的に提案することはしていません。販売が長引いた場合は、売主さまと面談して戦略を練る「作戦会議」を開催します。
作戦会議で実際に解決した事例を紹介します。
- 現在の売却方法で3ヶ月耐える
- 段階的に値下げする
- 空室後にリフォームする
- 写真撮り直し+1ヶ月販売休止
不動産売却は1人に売れればOKです。だから、いろんなやり方があっていい。ゆめ部長は売主さまに寄り添い、一緒に最善策を考えます。
STEP6 購入申込・条件交渉 ─ 1番手を大事にする
内覧を重ねて、ついに購入希望のお客さまから申込が入りました。ここからが売却の山場です。条件交渉の判断を誤ると、せっかくのチャンスを逃してしまいます。
【 このセクションのポイント 】
購入申込書の内容を冷静に分析し、「絶対に譲れない条件」を1つ決めて交渉に臨みましょう。そして、1番手を大事にしてください。両手仲介を狙った不動産会社が申込を潰すケースがあることも知っておくべきです。
購入申込書の見方
購入希望のお客さまから「不動産購入申込書」と「住宅ローン事前審査の内定通知書」を受領します。
購入申込書に記載されている主な項目はこちらです。
- 購入希望価格
- 手付金額
- 売買契約希望日
- 引渡時期
- 住宅ローン特約の期限
- 残置物に関する希望
- その他、特約事項
購入申込者の属性(勤務先・勤続年数・年収・自己資金など)が記載されていない場合は、必ず不動産会社にヒアリングしてもらってください。特に、複数の購入申込が入った場合は、属性情報が比較検討の重要な判断材料になります。
条件交渉の進め方
購入申込書は、お客さまの「購入希望条件」をまとめただけの書類です。希望条件を全部受け入れる必要はありません。
「一部OK・一部NG」として返答し、何度かキャッチボールしながら条件を詰めていくのが一般的な進め方です。ズバッと「OK」「NG」の結論を出しても問題ありません。
交渉のポイントは、「絶対に譲れない条件」を1つ決めることです。高い金額で購入してくれるなら、引渡日や残置物は買主さまの都合に合わせてもいいと思いませんか?
「全部自分の希望通りで買ってくれる人を探したい」と考えて良い条件の申込を断り、結局損してしまった……という失敗をゆめ部長は何度も見てきました。冷静な判断をしてください。
1番手を大事にしましょう。条件交渉がまとまった後に、別の申込が満額で入ったとしても、1番手を断ると契約がまとまらないことが多々あります。これは「不動産あるある」です。1番手に買い上がれないか確認するのはOKですが、1番手を切って2番手に乗り換えるのはおすすめしません。
→ 番手の詳しいルールは 購入申込の1番手・2番手 で解説しています。
両手仲介の罠 ─ 味方のフリをした敵
売却を依頼した不動産会社が、買主側も同時に担当すると「両手仲介」になり、仲介手数料が2倍になります。すると、売主さまに不利な条件でも自社の利益を優先する「二重の利益相反」が起きます。満額の申込があったのに知らされず、値引き後の自社顧客で契約された──そんな事例は珍しくありません。
→ 両手仲介・片手仲介の構造と具体的なリスクは 両手仲介・片手仲介とは?「二重の利益相反」と本当のリスク で詳しく解説しています。
STEP7 売買契約 ─ 手付金を受領して正式な約束
条件交渉がまとまったら、次は売買契約です。売買契約は「仮契約」ではありません。署名・捺印と手付金の授受で正式に成立する、法的拘束力のある契約です。
【 このセクションのポイント 】
売買契約では「重要事項説明書」「売買契約書」「付帯設備表・物件状況報告書」の3つの書類を確認します。手付金の意味を理解し、契約当日の持ち物を事前に準備しておきましょう。
売買契約で確認する書類
売買契約では次の書類を確認します。
- 重要事項説明書:物件調査の結果を宅建士がまとめた書類。法律上の制限や権利関係など、購入の判断に影響する重要な情報が記載されています
- 売買契約書:売買価格・手付金・引渡日・違約条項など、取引の条件を定めた書類
- 付帯設備表・物件状況報告書:STEP3で先に作成した書類の最終版。交渉で決まった条件を反映させます
ゆめ部長が売却担当の場合、重要事項説明書・売買契約書はゆめ部長が作成します。相手側の不動産会社が作る場合は、売主さまに不利な条件が付いていないかを真剣にチェックし、問題があれば修正を依頼します。修正に応じない場合は、契約しないことをおすすめすることもあります。
契約書類の説明・読み合わせは、わかりやすさを重視します。最近の契約書類は内容が増えていますから、特に大事な部分へ重点的に時間を使うなど、メリハリをつけた説明を心掛けています。時間は2時間〜3時間30分が平均です。
手付金の意味と相場
手付金の相場は売買価格の5%〜10%です。
手付金には「解約手付」の性質があります。売買契約書で定めた期日までは、買主さまは手付金を放棄して解除でき、売主さまは手付金を返還してさらに同額を支払うことで解除できます。手付金が低いと気軽にキャンセルされるリスクがあり、高すぎると本当に解除が必要なときに困ります。
ただし、ATMの1日出金制限が50万円の場合など、やむを得ない事情があれば100万円程度で設定することもあります。手付金は現金授受が基本ですので、売買契約後は多額の現金を持ち歩くことになります。十分に気をつけてください。
→ 手付金の詳しい解説 / 手付解除の仕組み
売買契約当日の持ち物と流れ
売買契約当日に売主さまが用意するものはこちらです。
- 権利証(または登記識別情報通知)
- 実印+印鑑証明書
- 住民票
- 運転免許証(顔写真付きの本人確認資料)
当日の流れを簡単にまとめます。
- 重要事項説明書の読み合わせ
- 売買契約書の読み合わせ
- 付帯設備表・物件状況報告書の最終確認
- 署名・捺印
- 印紙を貼付して消印
- 手付金受領 → 領収証交付
不動産会社によっては、売買契約時に仲介手数料の半金を請求します。ゆめ部長の場合は、すべての仕事が完了した後に請求するため、売買契約時に仲介手数料は必要ありません。
→ 売買契約の詳細は 売買契約の解説記事 で深掘りしています。
STEP8 引渡準備 ─ ゴールに向けた最後の仕事
売買契約が終わるとホッとして気が緩みがちですが、引渡までにやるべきことはまだあります。住宅ローンの一括返済手続き、各種解約、現地立会い、最後のお掃除。不動産会社の案内に合わせて、一つひとつ進めていきましょう。
【 このセクションのポイント 】
住宅ローンの一括返済は「残代金で自動引落」が基本。各種手続きは買主の本審査内定後に進めます。現地立会いで付帯設備表との相違がないか確認し、最後は感謝の気持ちでお掃除をして引渡に臨みましょう。
住宅ローン一括返済の手続き
住宅ローンの融資を受けている場合、銀行へ一括返済の連絡が必要です。流れを簡単にまとめます。
- 引渡日が確定したら、銀行へ「一括返済する」と電話連絡
- 銀行との書類手続き(窓口面談 or 郵送)
- 残代金決済当日、住宅ローン返済口座に残代金が振り込まれる
- 残債・当月分の利息・一括返済手数料が自動引落
- 司法書士が抵当権抹消手続き
銀行への連絡は通常2週間前で間に合いますが、1ヶ月前に連絡が必要な金融機関もありますので注意してください。
ここで大事なポイントです。住宅ローンの残債があっても、買主さまから受け取る売買代金で一括返済できます。実際の流れとしては、たとえば残代金が5,000万円で残債が3,500万円の場合、返済口座に5,000万円が入金され──一瞬だけお金持ち気分を味わえますが──即座に3,500万円が引き落とされ、手元に残るのは1,500万円、という形です。
→ 残債がある場合の売却については 住宅ローンの残債があっても売却できる? で詳しく解説しています。
住宅ローン本審査の内定と各種手続き
住宅ローン審査は「事前審査」と「本審査」の2段階に分かれます。売買契約時点では事前審査しか通っていないのが一般的です。
本審査が内定してから、各種手続きを進めてください。稀にですが、本審査が否決されて白紙解除になることがあるためです。早すぎず、遅すぎずのタイミングが大切です。
本審査内定後に進める手続きはこちらです。
- 電気・水道:引渡日の前日まで使えるようにしておく(現地立会い・リフォーム業者の確認で必要)
- ガス:現地立会いが終わったら停止してOK
- 駐車場・駐輪場・トランクルーム(マンション):解約通知を提出
- 引越:引渡日の1週間前までに完了するのが理想
- 火災保険:引渡日の当日まで加入しておく
引越は1週間前に完了してもらえると安心です。大型家具を移動したら壁に大きな穴が見つかった、洗濯機をどかしたら水漏れで木材が腐食していた……というケースがあります。引渡直前に発覚すると対応が間に合いません。
現地立会い ─ トラブルを未然に防ぐ
引渡日に近い日程で、売主さま・買主さま・不動産会社が現地に集まり、付帯設備表の記載内容と実際の状態に相違がないかを確認します。これが「現地立会い」です。
よくあるトラブルを挙げてみます。
- 設備の故障・不具合を認識していなかった
- 設備の故障・不具合を隠していた
- 引越してみたらキズ・汚れ・不具合が見つかった
- 契約後〜引渡時に新しいキズ・汚れ・不具合が生じた
たとえば、床暖房のコントローラーのボタンが壊れているけれど、何度か押すと動くから問題ないと思っていた……というケース。売主さまにとっては「大したことない。コツが必要なだけ」でも、買主さまにとっては「わかっていたら価格交渉していた!」という話になります。
現地立会いでは、室内の採寸、引越業者の見積もり、リフォーム業者の室内確認を同時に行うことが多いため、短くて1時間、長いと3時間以上かかることがあります。なるべく長めに時間を空けておいてください。
→ 契約が解除になるケース も事前に確認しておくと安心です。
最後のお掃除 ─ 感謝の気持ちでバトンを渡す
引越後にプロのハウスクリーニングを入れる必要はありません。常識的な範囲のお掃除で十分です。
想像してみてください。買主さまが一大決心をしてマイホームを購入し、ワクワクしながら鍵を開けたら……埃が積もり、小さなゴミがたくさん落ちていた。せっかくのテンションが下がってしまいますよね。
だから、引渡日の少し前に、今まで住んだお家への感謝の気持ちを込めて、1時間くらいお掃除してあげてください。
- クイックルワイパーで床を拭く
- 雑巾で窓を軽く拭く
- 玄関・バルコニーを掃く
きっと、お家も喜んでくれます。
→ お掃除のポイントは 引渡し前の掃除はどこまで? で詳しく解説しています。
STEP9 残代金決済・引渡 ─ そして確定申告
いよいよ最後のステップです。残代金を受領し、鍵と書類を買主さまへ引き渡します。そして、翌年の確定申告を忘れずに。
【 このセクションのポイント 】
残代金決済は平日午前に行い、通常1〜2時間で完了します。司法書士の登記費用にはバックマージンが上乗せされていることがあるため注意。確定申告は利益が出ても出なくても、税理士に相談するのが鉄則です。
残代金決済当日の流れ
残代金決済は、残代金(売買金額から手付金を差し引いた金額)を受領し、所有権を移転する手続きです。
- 司法書士が登記申請に必要な書類を確認
- 買主さまから残代金の振込
- 着金確認
- 諸費用の支払い・住宅ローン一括返済
- 領収証の発行・受領
- 鍵・物件資料一式を引渡
- 解散
- 司法書士が抵当権抹消・所有権移転の登記申請
注意点:
- 銀行・法務局の手続きがあるため平日限定
- 午前中スタート(遅くても13時)
- 集まる場所は買主さま指定の銀行(ネット銀行の場合は事務所や喫茶店も可)
- 通常1時間〜1時間30分で終わる
- 印鑑証明書などを忘れると引渡できない可能性があるため、半休ではなく1日全休を推奨
マンションの場合は、残代金決済時に「区分所有者変更届」を記入します。旧所有者・新所有者が署名・捺印し、不動産会社が管理会社へ郵送する流れです。
抵当権抹消と登記費用
住宅ローンの一括返済が完了すると、銀行から「抵当権抹消書類」が発行されます。司法書士がこの書類を法務局に提出し、抵当権を抹消します。
売却の場合、抵当権抹消登記+住所変更登記で高くても5万円程度です。ただし、権利証を紛失している場合や住所を何度も移転している場合は費用が高くなります。
ここで知っておいてほしいことがあります。
司法書士の登記費用には、不動産会社のバックマージンが上乗せされていることがあります。
司法書士法で禁止されているにもかかわらず、大手の担当者でさえバックマージンをもらっていることがあるのが現実です。
【 実例 】
ゆめ部長が経験した話です。大手に勤務していた頃、提携の司法書士から担当者にビール券や商品券が渡されているのを見たことがあります。金額は小さくても、これが常態化すると登記費用に上乗せされていく。売主さま・買主さまが知らないところで、余計な費用を負担させられているのです。
真っ直ぐ不動産では、10年以上お付き合いのある司法書士に依頼しています。フットワークが軽く、費用は平均より安い。そして、ゆめ部長がバックマージンをもらうことは「100%・絶対にない」と誓います。
→ 司法書士は売主業者指定?その問題点
翌年の確定申告を忘れずに
不動産を売却したら、翌年に確定申告をしましょう。確定申告する場所は「引越先の管轄税務署」です。
利益が出た場合:譲渡所得税(所得税+住民税)が課税されます。保有期間が5年以下なら利益の約40%、5年超なら利益の約20%が目安です。ただし、利益を減らす特例の適用要件は細かく定められており、非常に複雑です。
損失が出た場合:損益通算でその年の所得税が還付される可能性があります。翌年の住民税が安くなる・非課税になる可能性もあるため、損失でも確定申告する意味はあります。
税金の計算は非常に複雑です。自分で「利益なし」と判断するのは危険です。必ず税理士に相談してください。税理士への相談料だけで大きな損失を防げるなら、費用対効果の良い出費です。
確定申告を忘れると「無申告加算税」「延滞税」がかかる場合がありますので、くれぐれも注意してください。
→ 諸費用・税金の詳細は 諸費用・税金の解説記事 で解説しています。
→ 不動産を売却したときの確定申告
不動産売却の流れに関するよくある質問(FAQ)
経験上「空室」の方が高く売れます。理由は2つ。不動産会社の案内ルートに組み込まれやすく内覧数が増えること、ゆっくり内覧できるため内覧時間が長くなることです。ただし、居住中でも売主さまの人柄や生活者目線の情報が伝わるメリットはあります。
まとめ
- 不動産売却は全9STEP。売却相談から確定申告まで、売主自身が流れを理解して主体的に動くことが大切
- 不動産会社選びが売却成果を左右する。「会社」と「担当者」を分けて判断し、妥協しない
- 売却準備の質が成約価格に直結する。付帯設備表・物件状況報告書は販売開始前に作成するのがプロ
- 両手仲介の構造的問題を理解しておく。味方のフリをした敵に売却成果を奪われないよう注意
- 確定申告は利益が出ても出なくても税理士に相談が鉄則
次の3ステップ:
- この記事で全体像を把握したら、自分の段階に合ったSTEPの詳細記事を読む
- 信頼できる不動産会社を3〜5社ピックアップして査定を依頼する
- 真っ直ぐ不動産の売却プランをチェックして、自分に合ったサービスを検討する
不動産売却の全体像が見えたら、次は「自分に合った売却プラン」を確認してみてください。
真っ直ぐ不動産では、売主さまの状況に合わせた3つの売却プランを用意しています。
- 真っ直ぐ売却プラン:売主専属エージェントが全力サポート+手数料25%OFF(上限330万円)→ 手残り最大化を目指す方に【 最推奨 】
- オープン売却プラン:手数料上限330万円+業者買取は手数料無料 → 手数料を抑えたい方に
- 0円売却プラン:手数料0円 → 手数料の負担をゼロにしたい方に
「囲い込みが絶対に嫌」「初めての売却で不安」という方には、真っ直ぐ売却プランが手残り最大化の可能性を高められます。
売却活動中で成果が出なくて悩んでいる方は、不動産売却のセカンドオピニオンを検討してください。ゆめ部長が売れない原因を詳しく診断して、解決策を一緒に考えます。
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